2014年06月30日

不眠症について(1)

●不眠症について(1)

不眠症(ふみんしょう、英:Insomnia)とは、必要に応じて入眠や眠り続けることができない睡眠障害である。

そしてそのことが持続し、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている場合には精神障害となる。



不眠症は、入眠や睡眠持続が難しかったり、睡眠の質が悪いといったことが続いているという特徴を持つ、いくつかの医学的な兆候と症状を伴う医学的また精神医学的な障害であると考えられている。

不眠症では一般的に起床中の機能障害が続いている。不眠症はどの年齢でも起きるが、特に顕著なのは高齢者である。


睡眠の問題を抱える人にしばしば睡眠薬が用いられ、たまに使用されれば役立つが、定期的に長期的に用いた場合、薬物依存症や乱用につながることがある。

不眠症は、原発性と二次性、あるいは併存の不眠症に分類される。


原発性不眠症とは、医学的、精神医学的また環境的な原因がない睡眠障害である。




●不眠症の分類

入眠時不眠症は、夜間のはじめのほうにおける入眠の困難であり、しばしば不安の症状がある。

日照時間にまで睡眠時間帯が遅れていることが原因の睡眠相後退症候群は不眠症と誤診される。


夜間覚醒から睡眠に戻るのが難しいという入眠困難であることもよくある。

これらの人々の3分の2は夜間の半ばに目覚め、半数以上は睡眠に戻れない。


早朝覚醒は、合計睡眠時間が6.5時間に達する前に、覚醒が(30分以上)早く起こり、睡眠に戻ることができない。しばしばうつ病に特徴的である。



●低い睡眠の質

低い睡眠の質は、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群やうつ病によって起こることもある。

低い睡眠の質は、回復の性質があるステージ3や、デルタ睡眠に達することができないことが原因である。

うつ病は視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)の機能を変化させ、コルチゾールが過剰に放出されることで低い睡眠の質につながることがある。

夜間の多尿症(英語版)は、睡眠をかき乱す。


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2014年06月25日

気分障害の起源

●気分障害の起源

複数の著作が、気分障害は進化的適応であるとしている。

落ち込みや抑うつは、危険や損失、無駄な努力をもたらす目標追求に対しての状況対応能力を高めるという。

そういった状況では低い動機付けが、特定の行動を抑制することによって利益が得られる。

この理論はなぜ気分障害がよく見られ、生殖年齢の頂点の人々をも襲うのかを説明するのに役立つ。

抑うつが機能不全であれば、これらの特性を説明するのは難しい。

抑うつ気分は地位の損失、離婚、あるいは子供や配偶者の死のような、人生において生じる特定の種​類のありきたりな反応である。

これらは生殖の能力や可能性の損失を知らせる出来事であり、人類の祖先の生活環境においても存在した。

抑うつ気分は、以前の(繁殖的に不成功であった)方法や行動の向きを変えるという意味で適応反応とみなすことができる。



抑うつ気分はインフルエンザのような病気の最中には一般的である。

身体活動を制限することによって回復を助ける進化した機構であると論じられてきた冬の季節に生じる低水準の抑うつ、あるいは季節性情動障害は、過去において食物が乏しい期間の身体活動を制限することへの適応であるとも考えられる。

もはや食物の入手可能性は天候に左右されないが、冬の季節に落ち込んだ気分を体験することは、人類が保ってきた本能であると論じている。




●ICD-10における気分障害

以下のように小分類される。

・躁病エピソード

・双極性障害

・うつ病エピソード

・反復性うつ病性障害

・持続性気分(感情)障害

・その他の気分(感情)障害

・詳細不明の気分(感情)障害


●DSM-IVにおける気分障害


双極性障害 - いわゆる「躁うつ病」である。

I型双極性障害、II型双極性障害、気分循環性障害、特定不能の双極性障害の4つに分けられる。

うつ病性障害 - 大うつ病性障害、気分変調性障害、特定不能のうつ病性障害、抑うつ関連症候群の4つに細分化される。

いわゆる「うつ病」は大うつ病性障害に含まれる(そのため、うつ病のことを「大うつ病」と呼ぶことがあるが、重症なうつ病という意味ではない)。

一般身体疾患を示すことによる気分障害

特定不能の気分障害

posted by ホーライ at 18:54| 北京 | 気分障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月20日

気分障害について(2)

●気分障害について(2)


●物質誘発性気分障害

気分障害は、その病因が向精神薬やほかの化学物質の直接の生理作用にさかのぼることが可能な場合、あるいは物質の毒性や離脱と同時に生じた気分障害は、物質誘発性に分類される。

気分障害が物質使用障害と併発している場合もである。

物質誘発性気分障害は、躁、軽躁、混合、あるいはうつ病エピソードの特徴を有する。

多くの物質は多様な気分障害を生じさせることができる。

例として、アンフェタミン、メタンフェタミン、コカインのような覚醒剤は躁や軽躁、混合状態、うつ病のエピソードの原因となることが可能である。



●アルコール誘発性気分障害

アルコール依存症を伴う大量飲酒者や患者では、大うつ病性障害が高率で生じる。

アルコールの乱用と抑うつの発症が、先行する抑うつの自己治療的なものであるかについては議論があった。

しかし最近の研究は、いくつかの事例では事実だろうし、アルコールの乱用は大量飲酒者の多くが抑うつを発症する直接の原因になると結論している。


参加者の生活上のストレスの多い出来事の間、気分不快尺度を用いて評価された研究が行われた。

さらに、逸脱集団への加入、失業、パートナーの物質の使用とその刑罰が評価された。

その結果、アルコールに関連した問題として高い自殺率があった。

詳細な患者の既往歴によりアルコールの摂取に関連しない抑うつと、アルコール誘発性抑うつとを区別することは可能である。

アルコール乱用関連の抑うつと他の精神的問題は、脳内化学物質の歪みに起因する可能性があり、断酒後に誘発される傾向がある。




●ベンゾジアゼピン誘発性気分障害

バリウムやリブリウムのようなベンゾジアゼピン系の長期間の使用は、抑うつに関与したり、アルコールの脳における影響に類似している可能性がある。

大うつ病性障害はまた、長期離脱症候群の一部あるいはベンゾジアゼピン系の慢性的な使用の結果として発症する。

ベンゾジアゼピン系は、不眠症、不安、筋肉けいれんの治療に広く用いられる医薬品である。

アルコールと併用した場合、セロトニンやノルエピネフリンの濃度の増加のような神経化学上のベンゾジアゼピン系の作用で、抑うつを増す反応があると考えられている。

大うつ病性障害は、ベンゾジアゼピン系の離脱症状の一部として生じる可能性がある。

ベンゾジアゼピン系の依存症を有する患者における長期間の調査研究において、2人にだけ先行した抑うつ障害があり、長期にわたるベンゾジアゼピン系医薬品により10人の患者(20%)に過量摂取があった。

段階的に離脱する計画から1年後、さらなる過量摂取をした患者はいなかった。

ベンゾジアゼピン系からの離脱の結果である抑うつは、通常は数か月後に治まるが、少数の例では6〜12か月にわたり存続する可能性がある。

posted by ホーライ at 20:45| 北京 ☀| 気分障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月19日

抑うつ性障害(depressive disorder)は

●抑うつ性障害(depressive disorder)は

プライマリ・ケアや総合病院の現場でも頻繁に見られるが、見逃されることも多い。

未認知のうつ病性障害は回復が遅れたり、身体的疾患の予後を悪化させる可能性があるため、すべての医師がこの状態を認識することができ、軽症な症例を治療し、専門的治療の必要な患者を見分けることができるようになることが重要である。


下記のようなサブタイプ(下位分類)や経過の特定用語(修飾語)が、診断学的に使用されている:非定型うつ病(atypical depression)は気分の反応性(パラドキシカルなアンヘドニア[無快楽症])とポジティブさ、著明な体重増加や食欲増進(むちゃ食い)、過剰な睡眠や眠気(過眠症)、鉛様麻痺として知られる四肢の重さの感覚、対人関係において拒絶されるという認識に対する過敏性の結果としての重大な社会的障害、などによって特徴づけられる。


このサブタイプを評価判定する難しさのために、その意義や有病率には疑問も呈されている。



●メランコリー型うつ病(melancholic depression)は、ほとんどまたはすべての活動における喜びの喪失(アンヘドニア)、楽しい刺激に対する反応性の欠如、死別や喪失体験よりも質的に深い気分の落ち込み、午前中の症状悪化、早朝覚醒、精神運動遅延、極度の体重減少(拒食症とは区別される)、あるいは過剰な自責感などによって特徴づけられる[8]。


●精神病性大うつ病(psychotic major depression)/精神病性うつ病(psychotic depression)は、大うつ病エピソードの用語で、とくにメランコリー型の性質を持つ患者にみられ、妄想、あるいは(頻度はより少ないが)幻覚など、精神病性の症候を伴うものである。

これらは多くの場合、気分に調和した(抑うつ的なテーマに符合した内容の)ものである。



●緊張病性うつ病(catatonic depression)は、大うつ病のまれな重症の型で、運動性の行動やその他の症状の欠如を伴う。

このタイプの人は無言でほとんど昏迷様で、動けないか、あるいは無目的な、あるいは奇妙な動きを呈することもある。

緊張病性の症候は、統合失調症や躁病エピソードにも出現することもあり、また悪性症候群に起因する場合もある。





●産後うつ病/産後抑うつ(postpartum depression)はDSM-IV-TRで経過の特定用語としてリストされている。

そこでは、出産後の女性に現れる、強くて持続的な、時に無能力化させるうつ状態を指している。10〜15%の女性に影響する産後のうつ状態は、典型的には分娩後3ヶ月以内に発症し、長ければ3ヶ月持続する。



女性にとって出産後はじめの数週間に短期間、疲れや悲しみの気分を経験することは非常に多いが、産後うつ病は、家庭や仕事、学校で重大な困難や機能障害、例えば家族や配偶者、友人との関係が困難になることや、新生児との絆に問題が生じることさえもあり得るという点で異なる。

母乳哺育中の産後の大うつ病やその他の単極性のうつ病の女性の治療においては、治療薬としてはノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリンが一般的にはより望ましいとされている.。


気分障害の既往歴や家族歴のある女性は特に産後うつ病になるリスクが高い。



●季節性感情障害(seasonal affective disorder)は「冬季うつ病(winter depression)」や"winter blues"といった名でも知られる特定用語である。

一部の患者は季節的なパターンを停止、うつ病性エピソードが秋または冬に来て、春には解消する。

もし2回以上のエピソードが寒冷期に起こり、2年またはそれ以上の期間にわたって寒冷期以外に起こらなければ、季節性感情障害と診断される。



よく高緯度の地域に住む人々は冬季に日光を浴びる量が少なく、そのために季節性感情障害の頻度が高いという仮説が提唱されるが、この主張を裏付ける疫学的な根拠は強くない(また、冬季に人の目に届く日光の量は、緯度のみにより規定されるわけではない)。


また季節性感情障害は若年者に多く、一般的には男性より女性に多くみられる。




●気分変調症(ディスチミア、dysthymia)/気分変調性障害(dysthymic disorder)は、同様の身体的・認知的問題が明らかであるという点で単極性うつ病に似ているが、それほど重症でなく、長期に持続する傾向がある(通常2年以上)病態である。

気分変調症の治療は、抗うつ薬による薬物療法や精神療法を含め、おおまかには大うつ病の治療と同じである。



●二重うつ病(double depression)は、2年以上続く一定の抑うつ気分(気分変調症)の期間中に、大うつ病の期間が挿入されるものと定義される。



●特定不能のうつ病性障害(depressive disorder not otherwise specified, DD-NOS)は、他の公式に特定された診断に当てはまらないものの障害を呈するうつ病性障害である。DSM-IVによれば、DD-NOSは「特定の障害の基準を満たさないうつ病性障害」を含む。

ここには下記にリストされた反復性短期抑うつ障害や小うつ病性障害の研究用診断(試案)が含まれる。



●抑うつパーソナリティ障害(depressive personality disorder)は、抑うつ的な特徴を持つパーソナリティ障害を意味する、議論の多い精神科診断である。

抑うつパーソナリティ障害はもともとDSM-IIに含まれていたが、DSM-IIIやDSM-III-Rでは取り除かれた。


最近、診断に復帰させることが再検討されている。抑うつパーソナリティ障害はDSM-IV-TRの付録Bで、今後の研究の価値があるとして記載されている。

●反復性短期抑うつ障害/反復性短期うつ病性障害(recurrent brief depressive disorder)は、主に持続期間の違いから大うつ病性障害と区別される。

反復性短期抑うつ障害では、ひと月に1回程度、それぞれは2週間に満たず典型的には2-3日以下の抑うつエピソードを呈する。

反復性短期抑うつ障害の診断は、少なくとも1年のスパンでエピソードが出現し、女性の場合は月経周期と独立している必要がある[20]。臨床的うつ病の患者がその後、反復性短期抑うつ障害になることもあれば、逆の場合もあり、双方の疾患には類似のリスクがある。


小うつ病性障害(minor depressive disorder)あるいは小うつ病は、大うつ病の基準を完全には満たさないものの、少なくとも2つの症候が2週間存在するものをいう


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2014年06月17日

強迫性障害治療のための身につける行動療法

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病


●強迫性障害治療のための身につける行動療法

「極端なことを強引にさせる治療」「心を扱わない表層的な治療」「治療パッケージとして限定されたもの」等の行動療法をめぐる誤解を払拭し,行動療法の実用性と奥深さを,難治とされる強迫の臨床を通して伝える。

身につければこれほど役に立つ技術はないと実感している著者らによる,患者の生活の“質"の変化を目指す行動療法のススメ。


行動療法を実践している人には、行動療法のコツや、うまくいかない場合の対処法など分かりやすくすぐに役立ちます。

また、行動療法を学ぼう・始めようという人にも具体的にどのような技法が必要で、どうすれば身につけられるかが書いてあります。








ラベル:行動療法
posted by ホーライ at 23:05| 北京 ☔| 強迫性障害の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

気分障害について(1)

●気分障害について(1)


気分障害(きぶんしょうがい、英: mood disorder)は、気分に関する障害を持つ精神疾患の一群である。

世界保健機関の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)においては、カッコして感情障害と記述される。



ある程度の期間にわたって持続する気分(感情)の変調により、苦痛を感じたり、日常生活に著しい支障をきたしたりする状態のことをいう。

うつ病と双極性障害など広範囲な精神的疾病がこの名称にあてはまる。


精神疾患の主要な分類法であるICD-10とDSM-IVの両者において用いられている語であり、この2者間で細かい分類の仕方は異なるものの含まれる概念はほぼ同一である。



●気分障害の分類

●抑うつ性障害

大うつ病性障害(major depressive disorder)は、大うつ病、単極性うつ病、臨床的うつ病とも呼ばれる。

大うつ病性障害の患者は、1回またはそれ以上の大うつ病エピソードを経験する。



初回のエピソード後に、「大うつ病性障害(単一エピソード)」と診断される。

1回以上のエピソードを経験すると、診断は「大うつ病性障害(反復性)」となる。

躁状態の期間のないうつ病は、気分が低い側の「極」にとどまっており、双極性障害のように高く躁的な側の「極」に上がらないという意味で、「単極性」うつ病と記述されることがある。


大うつ病エピソードや大うつ病性障害の患者は自殺のリスクが高まる。

健康の専門家に援助や治療を求めることで、個人の自殺のリスクは劇的に減少する。


抑うつ的な友人や家族に対して、自殺に関する思考があるかどうかを質問することは、リスクの有無を明らかにするために効果的な方法であり、かつ自殺の念慮を「植え付け」たり何らかの方法で自殺のリスクを増してしまうこともない、と研究により示されている。


現時点では、ヨーロッパで行われた疫学的研究から、世界の人口の概ね8.5%がうつ病性障害であろうと示唆されている。

特定の年齢の集団がうつ病から免除されることはなさそうである。

母親から分離された生後6ヶ月の乳児にもうつ病が出現したという研究報告がある。


(続く)


posted by ホーライ at 21:09| 北京 ☔| 気分障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月13日

自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。

●自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法


うつ、不安、無気力、パニック障害、対人恐怖症…。そんなあなたの「いやな気分」が少しずつほぐれていきます。

あなたをあなた自身のセラピストにし、心の力を育てる認知行動療法を紹介します。


認知行動療法は、あなた自身のセラピストにし、洞察力を高め、改善のための計画を立て、実践し、その結果を自分で審査するように指導してくれるのです。

ここで獲得し実践した新しいスキルは、生涯あなたの役に立ってくれることでしょう。

―「第一章◆『自信がない』=『自己評価が低い』」より

この本は前向きな思考の力を説く本でもないし、非現実的なほど自分に対して肯定的になりなさいと言ってるのでもありません。

あなたの弱点や欠点を、人間一般に対する好意的な見方のなかに組み込んで、「完璧」よりは「及第点」を目指すよう後押しする見方、バランスのとれたゆがみのない見方を獲得するための本なのです。

朝日新聞2010/1/15朝刊「自分で学べる認知行動療法の本」にセレクトされて話題沸騰!


うつ病と診断されて4年目、先月からまた調子が悪くなり会社を休職中しました。

その間にこの本を読みました。

自分の何が問題なのか?

そもそも何をしたいのか?

何ができるのか?



これらを知りたくて家に引きこもりながら、50冊ぐらいむさぼり読みました。

その中で『一番ためになった』のがこの本です。



他の方が書かれているようにこの本は根気がいります。

ただ読み解くだけでなく、ワークをこなす。

それも自分自身の内面を深く、深く見つめる必要があります。
(私は一週間程度かかりました)

でもそのおかげで私がずっと抱えていた悩みの正体がわかりました。

私は3年間カウンセリングに通っていますが、それでもわからなかった事です。
(かと言ってカウンセリングが無意味というわけではありません。あしからず)



私の奥深くにあったのは「私は必要な人間ではない」という思い込みです。

そのお陰で、いろいろな事で不利益・不都合をこうむってきました。

実際思い込みが消えるまでにはまだまだ時間がかかると思います。

でも、長年私を苦しめ続けてきたものの正体がわかり、そしてそれと向き合う方法を手に入れて実にすがすがしい気持ちです。


本当に自分を見つめなおしたい方。

自信を持てない方。

自己評価がいつも低くて苦しんでいる方。


必見です!!








posted by ホーライ at 01:23| 北京 | 認知療法の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病に対する認知行動療法(2)

●うつ病に対する認知行動療法

認知行動療法(にんちこうどうりょうほう、cognitive behavioral therapy、CBT)は、行動療法(学習理論に基づく行動変容法・理論の総称)と認知療法(認知や感情に焦点を当てる心理療法)との総称である。



●うつ病に対する認知行動療法の概要

認知行動療法とは?

認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種である。

考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく。

誤った認識・陥りがちな思考パターンの癖を、客観的でよりよい方向へと修正する。

鬱、PTSD、パニック障害、解離性障害、複雑性悲嘆、強迫神経症など、多種多様な精神的疾患で、その高い効果が報告されている。

自身で手引きを参考にしながら出来る、比較的、手軽な方法から、それが困難な場合には、専門の医師に治療してもらう方法まで、認知行動療法は、広義に活用されている。

ただし疾患の種類や症状の重さによっては、トラウマへの介入・想起により強い苦痛や葛藤を伴い、場合によっては悪化することもあるため、クライエントの状態を判断して治療することが重要である。



●うつ病の認知行動療法治療の進め方

治療の進め方としては、現在、医院ではクライエントに無理がないように時間をかけて、徐々に問題と向き合う方法が主に行われている。

1.患者を一人の人間として理解し、患者が直面している問題点を洗い出して治療方針を立てる

2.自動思考に焦点をあて認知の歪みを修正する

3.より心の奥底にあるスキーマに焦点を当てる

4.治療終結

こうしたことから認知行動療法とは、認知の歪みを客観的に正し、クライエントが自身で感情や考え方の安定したコントロールが出来るようにすることで、問題に囚われた精神状態から無事、脱却し、再び同じ心身状態に陥ることを防ぐ治療法といえる。



●うつ病の行動療法と認知療法

行動療法と認知療法とは切り離せないものと考えられており、今ではこの二つを合わせた「認知行動療法」と呼ばれるようになっている。

「認知行動療法」という呼び名が最初に現れたのは、ドナルド・マイケンバウムの著作のタイトルである。

行動療法では認知や感情も行動の一部であるという解釈があり、認知療法のアルバート・エリスやアーロン・ベックは積極的に行動療法的な技法を取り込んで発展させて行った。

そのため、次第にこの両者は統合あるいは折衷されていった。

それまでの行動療法が対症療法的で、個人の経験や葛藤を考慮していないために再発や別の症状が出るという批判も、認知や感情を重視するようになったためほぼ解消されたといえる。

「認知療法」、「行動療法」と分けて呼ぶ場合には「(ベックの)認知療法」と言った狭義の呼称であったり、系統的脱感作のような古典的技法を指しての「行動療法」であったりする。

なお海外では「行動認知療法(Behavioral and Cognitive Therapies)」と呼ばれることもある。

さらに近年は「マインドフルネス」と「アクセプタンス」を共通の治療要素とする第三世代の行動療法が展開されている。


認知行動療法のテクニックは、人それぞれが持つ認知構造やスキーマと呼ばれるものが、人生において出会ういろいろな状況に反応したり適応したりする方法を形づくるという想定の下にある。



●うつ病に対する認知行動療法の効果

イギリスやアメリカではうつ病と不安障害の治療ガイドラインで第一選択肢になっている。

薬物療法と効果は同等であり、効果の持続時間はそれ以上であることが承認されている。

多くの臨床研究によりうつ病と不安障害に対して効果が高いというエビデンスがある。



●うつ病に対する認知行動療法の効果に関する議論

認知行動療法(CBT)に関する概念や効果研究の方法について、諸問題が提起されています。


1. CBTの基礎概念では、マイナス思考がうつ病の原因であるとされています。

しかし、医学・精神医学の中では、症状が病気の原因になっているのはこれが 唯一の例です。 

また、「私はどうでもいい人間」や「私はだめな人間」のようなマイナス思考が、うつ病の根底にある憂うつ気分の二次的な反応という解釈もできます。

希望や支えを与えると患者は楽になりますが、うつ病そのものは治療されません。

また、うつ病の臨床試験の場合、プラセボ(薬理効果をもたらす成分が入っていない偽薬)の投与群でも、うつ症状がある程度改善することがよく知られています。

そのため、効果的な薬剤を服用している希望や期待によってマイナス思考が改善したと思われ、CBT効果と同じ現象ではないかと示唆されます。




2. CBTの効果研究の方法が、ダブルブラインド(二重盲検)でないことが問題とされています。

患者と治療者の両方が治療内容がCBTであることを明確に認識 している場合(ダブルブラインドでない)、それによってバイアス(希望による期待)が生じる。

そのため、明らかにCBTでない対象群より、よくなりたい患者の症状の方がある程度和らげられ、結果として「CBTがより効果的だ」という誤った結論になってしまいます。

また、研究の評価者は治療内容を認識していないが、患者と治療者の両者が認識しているシングルブラインド(単盲検)の効果研究方法は妥当性に欠けてしまいます。



2010年に行った過去の 研究をまとめた調査によると、治療内容を認識している研究とある程度しか認識していない研究を比較すると、患者や治療者が治療内容を認識すればするほど、 CBTが優位な結果となりました。

これは、バイアスが原因ではないかと強く示唆されています。


逆に、患者や治療者が治療内容を認識しなければしないほど、うつ病に対する効果がほとんどなくなります。




3. 軽症うつ病の患者が重症患者より多く、病気なのか、または性格やストレスによるうつ気分なのかが区別しにくくなります。

軽症うつの患者は希望や期待に作用されやすく、上記のように症状がある程度容易に和らげられます。

また、このような患者は重症のうつ病がはっきりしている患者と比べて効果研究に参加しやすく、客観的な結果が得られにくくなります。



結論:

1. CBTによって心理的な機能(主にマイナス思考による不快感)がある程度まで改善できる。

2. CBTはうつ病やその他精神科疾患の治療として、その効果が医学的に証明されていない。

その上、CBT効果研究のダブルブラインド(二重盲検性)を調査した研究によると、うつ病に対するCBTの効果は極めて低い。

3. CBTは、中途度より重いうつ病に対しては単独治療にすべきでない。

4.主に二重盲検効果研究の実施は不可能なため、CBTの効果研究は「根拠に基づいた医療」(Evidence-Based Medicine)とはいえず、これまでのデータは、「統制されていない研究結果」にすぎない。

5.重度の症状が有る場合は、苦痛を伴う事が少なからず有る事で、苦痛に耐えきれず中途で断念する人が少なからずいる。


なお、抗うつ薬の二重盲検試験にも、副作用の有無によって医師と被験者に抗うつ薬と偽薬のどちらを投与したか見破られるという問題がある。

また、医薬品の単盲検試験では被験者に割付群を知らせないが、心理療法のランダム化比較試験(RCT)における単盲検では効果の評価者に割付群を知らせないという違いがある。

心理療法のRCTの問題を克服する手法も開発されており、評価者がブラインド化された研究では効果量が50〜100%高く出ることもない。



以上


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2014年06月12日

うつと不安の認知療法練習帳(ガイドブック)

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。

●うつと不安の認知療法練習帳(ガイドブック)

人間の感情や感じ方というのは、そのとき直面している問題や状況を、その人がどう捉え、どう考えるかによって大きく変わってくる。

したがって考え方を変えることによって、抱えている問題を乗り越えることは可能なのだ。

本書は、いまアメリカの心理療法の分野で大きな勢力をもち、日本でも急速に広まりつつある認知療法を、うつや不安のなどの症状を抱える一般の読者が、自分で使えるように工夫された練習帳である。


認知療法は、実際にノートに書き出すことが大切なのだと思います。

この練習帳は段階を追ってこれを実践できるようになっています。

思考・気分・行動・身体の関係を調べてみたり、気分を%で測ってみたり…目に見えないものを視覚化することによって、今までもやもやしていた自分象が見えるようになりました。

鬱は辛く苦しい病気だけれど、今では自分を真正面から見つめ直すという貴重な機会を与えられたのだと思っています。

この練習帳で身につけたことは今後の人生でもずっと役に立ってくれることと思います。



認知療法について、3人の主人公が持つそれぞれの悩みと回復の物語を通して、わかりやすく説明されている本です。

僕は自身の生活が本当に苦しい時に、この本やデビッド・D.バーンズ 氏の「いやな気分よ、さようなら」(こちらは、かなり分厚いです)などをよく読んでいました。

ただ、一口に認知療法と言っても、現在ではさまざまな方法や考え方に進歩してきているらしく、必ずしもこれらの本に出ているアプローチだけではないそうです。

いくつかの専門家の方のサイトでは「良い本ではあるものの決して万能ではなく、やはり専門家のアドバイスに従って、人それぞれの症状にあわせたステップを踏むべきだ」といったコメントが載せられていました。

実際のところ、個人的にはこれらの本にずいぶんと助けてもらい、出会えたからこそ何とか乗りこえてこれた…と本当に感謝しているのですが、僕の周囲の人で同じように「悩みを抱えている人」には薦めましたが、受け入れられてもらえなかったのも事実です。

この本のやり方がその人にあっているかどうかだけではなく、本を読む行為そのものが、そういう心理状態の場合簡単ではないことも多いのかもしれません。



この本の通りに進めば、患者さんが一人でも認知療法をしていくことができる本。

専門家向けではないだけに、専門用語は日常用語に置き換えられ、シンプルですっきりと分かりやすく書かれている。

説明文も簡単なので、一般の人が読んでもほぼ100%理解することが可能。

値段も安めなので、うつや不安で困っている人は是非一度読んでみると良いだろう。









J
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抗うつ薬によるうつ病の治療(3)

●●●抗うつ薬によるうつ病の治療(3)


精神疾患治療薬(7)「抗うつ薬(2)」三環系抗うつ薬


三環系抗うつ薬(さんかんけいこううつやく、英: Tricyclic Antidepressants, TCA)は、抗うつ薬の種類の一つ。

名称は、構造中にベンゼン環を両端に含む環状構造が3つあることを共通に特徴とする事に由来する。

第1世代、第2世代抗うつ薬とも分類される。

三環系抗うつ薬はノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質に関与する神経細胞受容体に作用し、遊離するノルアドレナリン、セロトニンを増やす(正確には神経細胞による再取り込みを阻害する)働きをする。

また、臨床効果が現れるのに飲み始めてから1〜2週間はかかるため、そのことに留意して服用する必要がある。

一般に、選択的作用が比較的低い。

副作用(主に口渇、便秘、排尿困難など)を伴う場合がある。

また、この排尿困難の副作用を逆手に取り、夜尿症の治療に三環系抗うつ薬を用いるケースもある。

他の抗うつ薬の分類として、四環系抗うつ薬(第2世代)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI、第3世代)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI、第4世代)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) などがある。

これらは副作用は少ないものの、薬効は低くなる傾向にある(セロトニン選択性が高くなるかわりに抗ヒスタミン作用が低下し、不眠や鎮静への作用が減るなど)。

近年、これら以外の薬理作用を示す抗うつ剤(トリアゾロピリジン系など)も登場している。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある



●第1世代

塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)

塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)

塩酸クロミプラミン (アナフラニール)

マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)

塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)



●第2世代

アモキサピン (アモキサン)

塩酸ドスレピン (プロチアデン)

塩酸ロフェプラミン (アンプリット)



●アミトリプチリン

アミトリプチリン(Amitriptyline)は、抗うつ薬、睡眠導入剤として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C20H23N。水、エタノール、酢酸に溶けやすくジエチルエーテルに溶けにくい。苦く麻痺性がある。

脳内においてノルエピネフリン及びセロトニンの再取り込みを抑制し、シナプス領域のモノアミンが増量することにより、抗うつ作用を示す。

三環系抗うつ薬の一種で、アミトリプチリン塩酸塩は、日医工よりトリプタノールR、山之内製薬(現在は、藤沢薬品工業を吸収合併したためアステラス製薬に改称)からラントロンR、沢井製薬からノーマルンRという商品名で発売されている。うつ病・うつ状態、不眠症、夜尿症の治療薬に使用される。適応症ではないが線維筋痛症にも用いられることがある。

トリプタノールについては後発医薬品が発売されているが、ラントロンおよびノーマルンについては、トリプタノールとは一部成分が異なることから、先発薬扱いとされており、この2社(アステラスのラントロン、沢井のノーマルン)に関する後発薬は特許期限が到達していないことから発売されていない。


抗コリン作用が強く、口渇・便秘・めまい・眠気・排尿障害などの三環系抗うつ薬にありがちな副作用が強く現れやすい。

ただ、効果も高いとされているので、他の抗うつ薬で思わしい効果が出ない場合に処方されやすい。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療に使用される。

アミトリプチリンは、うつ病・不安障害・注意欠陥多動性障害・偏頭痛の予防・摂食障害・双極性障害・ポスト神経痛・不眠症などに用いられる。

アミトリプチリンの断薬は徐々に行う必要があり、それは全体で3ヶ月を超えてはいけない。(It should be gradually withdrawn at the end of the course, which overall should be of no more than three months)

ランダム化比較試験において、有痛性糖尿病性神経障害に対し、アミトリプチリン、デュロキセチンおよびプレガバリンの三者は同等の効果がみられた。

抗うつ作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、脳内におけるノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

アミトリプチリンは、ラット脳においてノルアドレナリンの再取り込み、およびマウス脳切片でのセロトニンの再取り込みを抑制することが確認されている。

また、レセルピン及びテトラベナジンに対する拮抗作用があり、アミトリプチリンはマウスにおいて、レセルピンによる体温降下、およびテトラベナジンによる鎮静作用を抑制する。

加えて、麻酔イヌにおけるノルアドレナリンの昇圧反応を、アミトリプチリンは増強する



●イミプラミン

イミプラミン (imipramine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。分子式は C19H24N2。

塩酸塩は無臭で水に溶けやすい。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態、夜尿症の治療に用いられる。

イミプラミン塩酸塩は、アルフレッサファーマからトフラニール、田辺三菱製薬からイミドールなどの商品名で販売されている。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

CYP1A2による脱メチル化を受け、活性代謝物のデシプラミンとなる。




●クロミプラミン

クロミプラミン(clomipramine)は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H23ClN2。

酢酸に極めて溶けやすく、酢酸エチル、ジエチルエーテルに溶けにくい。

塩酸塩は白色または微黄色結晶。融点192?196℃。

1960年代にスイスのガイギー社(現・ノバルティス)によって開発された。

脳内のセロトニンおよびノルアドレナリンの神経終末への取り込みを阻害する。

三環系抗うつ薬の一種で、アルフレッサファーマから塩酸塩が「アナフラニール」という商品名で発売されている。

うつ病・うつ状態、強迫性障害、夜尿症、不眠症の治療薬に使用される。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療薬として使用される。




●ノルトリプチリン

ノルトリプチリン (nortriptyline) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H21N。

CAS登録番号 は [72-69-5]。

無臭で水に不溶。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態などの治療に用いられる。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

塩酸塩が、大日本住友製薬からノリトレンという商品名で販売されている。

作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

ラット脳シナプトゾームにおいては、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す (in vitro)。

また、レセルピンによる体温下降作用に対し抑制作用を示す (マウス、腹腔内投与)。

二重盲検比較試験および一般臨床試験における有効性についての評価症例数は508例であり、 精神科領域におけるうつ病およびうつ状態疾患に対し、有効以上が52% (262/508)、やや有効以上が73% (372/508) であった。




●アモキサピン

アモキサピン (Amoxapine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C17H16ClN3O、CAS登録番号は [14028-44-5] で、白色または淡黄白色の結晶。無味で、無臭または特異臭。水にはほとんど不溶。

日本ではワイス(現ファイザー)製造販売元、武田薬品販売でアモキサンの商品名で唯一販売されている。

特許は切れているが、ジェネリックは発売されていない。

脳内神経末端へのノルアドレナリン、セロトニンの再取り込み阻害作用を有すが、活性代謝物である7-hydroxy体は強力なドパミン2受容体遮断作用をもつ。

この代謝物の作用により、抗精神病薬に類似した錐体外路症状(EPS)や悪性症候群が現れることがある。

第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。

うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症などの治療に用いられる。

従来の三環系抗うつ剤に対し、妄想性うつ病に効果発現が早いとされるが、一般的に効果の発現には2~3週間かかるとされる。

抗うつ作用はSSRIやSNRIと比較して強力とされるが、すぐに効果が現れないからといって服用を中止することなく、服用を継続したうえで治療効果について医師と相談していくべきである。また突然の服用中止は重大な副作用を誘発する危険性があるため、薬剤師による服薬指導を遵守すべきである。



以上

posted by ホーライ at 01:32| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月10日

うつ病の治療の概要

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法 


うつ病は、この記事では大うつ病として知られる精神疾患を指す。

患者は、通常外来患者として評価・管理し、患者が自分自身や他人に危険をもたらすと考えられる場合のみ精神福祉部門に入院させる。

もっともうつ病で共通する治療は、休養・心理療法・薬物療法・電気ショック療法(重度の場合)である。




●うつ病の治療の概要

抗うつ薬が普及する前、アメリカ国立精神衛生研究所(英語版)(NIMH)は、うつ病は自然回復し、再発は滅多にない、と公式に述べていた。

1964年、NIMHのジョナサン・コール(Jonathan Cole)は「うつ病は、全体的に、治療の有無にかかわらず、最終的には回復する予後が最良な精神状態の一つです。ほとんどのうつ病は治療しなくても長期的には回復します」と述べている。

また、NIMHの専門家たちは、抗うつ薬が回復までの時間短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率の上昇には役立たないと考えている。

その理由について、1974年、NIMHのうつ病部門長であるディーン・シュイラー(Dean Schuyler)は、ほとんどのうつ病は「特別な治療をしなくても事実上完治するという経過をたどります」と説明している。

数ヶ月以内の自然回復率が50%を越えるため、各種治療法の有効性の判断は難しい。




●うつ病の薬物療法

抗うつ薬

1999年のガイドラインでは、最も効果のある薬物治療を見つけるため、薬の種類と量は頻繁に調整すべきであり、違った抗うつ薬の組み合わせ、別種の薬物を試すことが求められ、最初の薬物への反応率は50%程度と低い、とされる。

抗うつ薬は統計的にプラセボよりも優れているが、しかし全体的な効果は低から中程度である。

多くの場合、国立健康臨床研究所による臨床有意基準を満たせない。

とりわけ、中程度のうつには効用は非常に小さいが、非常に深刻なうつの場合臨床的有意性は上がっている。





●うつ病の睡眠衛生

うつ病は一般的に睡眠不足(入眠困難、早朝覚醒、日中の一般的な倦怠感)に関連付けられている。

抑うつと睡眠不足の2つの相互作用により症状を悪化させる。

良い睡眠衛生によってこの悪循環を断ち切ることが重要な助けとなる。

それには標準就寝時間の確保、カフェイン等の覚醒物質を絶つ、睡眠時無呼吸のような外乱要素の治療などがある。

皮肉にも、睡眠短縮(断眠療法など)はうつ病の一時的な治療である。

断眠療法は効果が持続しにくく、その場合、薬物療法や光療法を併用する。



●うつ病の高照度光照射療法

全米精神科医協会による高照度光照射療法についてのメタアナリシス調査では、季節性情動障害と非季節性情動障害の両方においてプラセボよりも効果が確認され、効果は標準の抗うつ薬治療と類似であった。

非季節性情動障害では、標準の抗うつ薬治療に追加で光療法を行うことは効果的でなかった(not effective.)



●うつ病の鍼治療

2004年のコクランレビューでは、低い品質のエビデンスベースだが、鍼治療がうつ病の治療に効果があるかどうかのエビデンスはinsufficientと結論付けている。

臨床試験では、鍼灸の効果はアミトリプチリンと同等の効果が示されている。

加えて、とりわけ電気鍼では更に効果があり、うつ病患者の 3-methyl-4-hydroxy-phenylglycol (中央神経伝達物質ノルエピネフリンの主な代謝物) の減少をもたらす。

一方で、デキサメタゾン抑制試験では、アミトリプチリンはその抑制では更に効果があった。

鍼は体内のエンドルフィン生産レベルを引き上げることが証明されている。




●うつ病の冷水治療

Nikolai Shevchukによる研究では、冷たいシャワーを浴びることはうつの治療を助ける効果があると主張している。

氏は冷たいシャワーは脳の主要なノルエピネフリン元である locus ceruleus や blue spot を刺激するという生物学的説を主張している。

またβ-エンドルフィンのレベルに影響するとしている。



●うつ病の治療に使われる漢方薬

漢方薬では、柴胡加竜骨牡蛎湯・半夏厚朴湯・加味帰脾湯(焦燥感の強い場合は悪化の恐れあり注意)・加味逍遙散が主に用いられる。

治療有効例では約2週間ほどで効果を示すことが多いが、効果のない場合でも4-6週間の経過を見た方がよい場合もある。

西洋薬から漢方薬への切り替えは困難なことが多く、少なくとも急激な断薬はしてはならない。

エビデンスレベルは高くない。



●うつ病に対するトリプトファン

アミノ酸であるトリプトファンは、セロトニン・メラトニンといったモノアミン神経伝達物質などの前駆体として重要である。

コクラン共同計画のメタアナリシスではトリプトファンについての108の臨床試験のうち2つの試験しか十分な精度を有していないことを明らかにした。

その結果、トリプトファンの十分な効果の証拠が認められないのでうつ病治療に推奨できないと結論付けた。

米国ではトリプトファンを含むサプリメントは販売禁止である。

posted by ホーライ at 00:16| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月05日

精神疾患治療薬(6)「抗うつ薬(1)」

●●●抗うつ薬によるうつ病の治療(1)

抗うつ薬(こううつやく、antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害に用いられる精神科の薬である。

不安障害のうち全般性不安障害(GAD)やパニック障害、強迫性障害にも処方される。


投薬による結果がよくないため非推奨であるものに、摂食障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)がある。


添付文書にて適応が認められていない慢性痛、月経困難症などの適用外用途への処方が行われる場合がある。

ほかにADHD、薬物乱用による抑うつ、いびき、偏頭痛の場合もある。

適用外用途の処方には議論がある。

場合によっては、アメリカでは司法省による制裁が行われている。



多くの抗うつ薬は、効果の発現が2〜6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。

しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある。

日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している。



抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は一次選択にはなっていない。

また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる。

2010年には、精神科領域の4学会により、医師に対して不適切な多剤大量処方に対する注意喚起がなされている。



抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性機能障害など様々な#副作用が併存する可能性がある。

2型糖尿病の危険性を増加させる。

さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある。



急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症状に酷似した離脱症状を生じさせる可能性がある。

離脱症状は、少なくとも2〜3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1〜2週間でおさまる。

離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある。


製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した。

その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた。



●主な抗うつ薬

*選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ジェイゾロフト)、シタロプラム(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。

三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が若干少ないとされる。

急に服薬をやめるとSSRI離脱症候群が発現する恐れがある。

強迫性障害、社交不安障害、パニック障害に適応がある。

躁うつ病には禁忌である。中等度から重症の大うつ病では第一選択となる。

効果発現に2週間程度必要である。

投与初期(1?2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。

セロトニン受容体に対する急性刺激と考えられている。

少量ではセロトニン選択性であるが、高用量となるとノルアドレナリンの再取り込みも阻害するようになる。




*セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

第四世代の抗うつ薬と言われるもので、ミルナシプラン(トレドミン)、ヴェンラファキシン(エフェクサー)(日本では開発中止)、デュロキセチン(サインバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。

SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。

TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルアドレナリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。

頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。




*三環系抗うつ薬(TCA)

もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。

セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。

第1世代としては塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)、塩酸クロミプラミン (アナフラニール)、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)。

第2世代としてはアモキサピン (アモキサン)、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。

第3世代としての選択的セロトニン再取り込み阻害薬が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。

その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70?80%と非常に高いことが理由にあげられる。

TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。

抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。

特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。

鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。

起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。

またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。

危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある。


・アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)抗コリン作用、鎮静作用が最も強いTCAである。

若年者で入眠障害がある患者で好まれる傾向がある。

就寝前に多く飲ませることが多い。


・イミプラミン (イミドール、トフラニール)

最初に作られたTCAである。

アミトリプチリン よりも抗コリン作用、鎮静作用が弱いがノルトリプチリンよりは強い。

起立性低血圧も比較的少ない。

パニック障害に効果があることもある。


・クロミプラミン (アナフラニール)

セロトニンの再取り込み阻害作用が強い。

痙攣がおこる頻度が他のTCAよりも強いため、抗けいれん作用の強い抗不安薬を併用することが多い。

注射薬があるため、うつ病による不穏、焦燥に対して3時間程度で25mgを点滴静注することもある。


・ノルトリプチリン(ノリトレン)

セロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込みを強く抑制する。

焦燥感を起こすことが少ない。有効治療量の幅が狭く処方が難しい。


・アモキサピン (アモキサン)

第二世代のTCAであり、副作用、特に抗コリン作用が軽減されている。

他のTCAよりも効果発現が早いといわれている。



*四環系抗うつ薬

ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。

抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。

塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。


・ミアンセリン(テトラミド)

α2受容体を遮断することでノルアドレナリンの放出を促進する。

抗ヒスタミン作用が強い薬物である。

心毒性がないため非常に使いやすい抗うつ薬である。

呼吸抑制と鎮静という副作用がある。

SSRIとの併用による増強効果が報告されている数少ない薬物である。


・セチプチリン(テシプール)

ミアンセリンを改良した薬物。

中枢性セロトニン作用をもつ。

鎮静の副作用はまれ。


・トリアゾロピリジン系抗うつ薬(SARI)

塩酸トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)が有名である。

5-HTの取り込みを阻害する薬物である。


・モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。

パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。



・ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。

2009年9月7日から使用が開始された。

これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる。

これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。

すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。

また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。

・ミルタザピン - 2009年9月7日に国内での処方が解禁された。

開発元のN.V.オルガノンと統合したシェリング・プラウ(現在は合併してMSD)からレメロン、Meiji Seika ファルマからリフレックスとして発売されている。

2009年9月現在、90カ国で使用されている。

うつ病患者を対象としたミルタザビンの日本での臨床試験(プラセボ対照比較試験)では、投与1週目から有意に高い改善効果が示されており、長期投与試験では、52週まで抗うつ効果が維持されることが確認されている。

こうした試験結果から、従来薬に比べて、効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されている。

ただし国内の臨床試験で、82.7%に何らかの副作用が認められたことに留意する必要がある。

高頻度に認められたのは、傾眠(50%)、口渇(20.6%)、倦怠感(15.2%)、便秘(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(12.4%)などであり、重大な副作用としては、セロトニン症候群、無顆粒球症、好中球減少症、痙攣、肝機能障害、黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が報告されている。



*ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)

日本国内においては未承認である。

塩酸ブプロピオン(商品名ウェルブトリン)が知られている。




*選択的セロトニン再取り込み促進薬(SSRE)

日本国内においては未承認である。

チアネプチン(en:Tianeptine)が知られている。


(続く)

ラベル:抗うつ薬
posted by ホーライ at 03:39| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月01日

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法 「認知療法」

認知療法(Cognitive Therapy)とは、アーロン・ベック(認知療法、もしくは認知行動療法)やアルバート・エリス(論理療法)やドナルド・マイケンバウム(自己教示訓練)によって、それぞれ独立に始められた心理療法の総称である。

ベックとエリスは、それぞれ精神分析学を学んだ精神科医と心理学者であり、マイケンバウムは行動療法を行っていた心理学者である。

彼等の共通点は、外的な出来事が感情や身体反応を直接引き起こすのではなく、そうした出来事をどのように認知するかによって身体反応や感情、行動が異なってくるとし、精神疾患やそれに対する心理療法における「認知」の役割を重視した点にある。



●認知とは

認知療法における認知とはたいていの場合「言語化された思考」を指す。

これは認知心理学の認知と必ずしも一致しない臨床上の緩やかな概念である。

本稿では便宜的に単に認知と書いた場合、認知療法としての認知を指すこととする。



人間は世界のありのままを観ているのではなく、その一部を抽出し、解釈し、帰属させているなど「認知」しているのであって、その認知には必ず個人差があり、客観的な世界そのものとは異なっている。

それゆえ、誤解や思い込み、拡大解釈などが含まれた自らに不都合な認知をしてしまい、結果として様々な嫌な気分(怒り、悲しみ、混乱、抑うつ)が生じてくると仮定している。

認知療法では不快な気分や不適切な行動の背景として「考え方」つまり「認知」に着目し、この不都合な認知⇒気分の流れを紙などに書いて把握すること、また、それらに別の観点を見つけるべく紙に書いて修正を試みる事が根幹である。

そのために根拠を問うたりする。

それらの気分を生じさせる拡大解釈やなどをアーロン・ベックに学んだデビッド・D. バーンズ(英語版)の1989年の著作The Feeling Good Handbookでは "Cognitive distortion"(認知の歪み)いう。




●認知療法

認知療法では認知の歪みに対し、反証や多面的解釈を生み出す手助けをする。

このように自らが認知を修正することによって、身体反応が軽減したり、苦しみの少ない方向に情動が変化したり、より建設的な方向に行動出来るようになったりするとの説がある。

認知療法には、クライエントの「認知」に働きかける数多くの技法が存在する。

ネガティブな思考の記録(いわゆるコラム法)、思考の証拠さがし、責任帰属の見直し、損得比較表(元々、フランクリンの表と呼ばれるもの)、認知的歪みの同定、誇張的表現や逆説の利用、症状や苦痛の程度についてスケール(尺度)で表現、イメージの置き換え、認知的リハーサル、自己教示法、思考中断法、気晴らしの利用、直接的な論争……。

他にも、活動スケジュールを記録する等、行動療法で使われてきた多くの技法についてもベックもエリスも当初から積極的に自らの療法に取り入れていった。



●認知療法の課題

一般的に鬱病の治療として薬物療法とは別のアプローチとして利用されている。

但しコラム法は自動思考と分析という時間と体力、気力を多大に必要としている。

それ故に鬱病の急性期としては適切な治療方法として利用しにくい。

コラム式は思い込みの自己否定思考している場合は有効だが自動思考で自分の行動に正当性があり自分を責めないケースでは使えない。



●認知療法による治療

治療は一般的に医師や心理カウンセラーのもとで行われるが、最近では、認知療法を対話形式で行うことができる書籍も出版されている。

書籍やメディアでもてはやされるほどには、治療者がいないのが現状である。



●認知療法の効果

うつ病や不安障害に科学的に証明された確実な効果が認められている。

他の治療法より短い時間で効果が大きいことが証明されている。

アメリカの保険会社やイギリス政府は治療効果を承認している。



●認知療法の効果に関する議論

認知行動療法(CBT)に関する概念や効果研究の方法について、諸問題が提起されています。

1. CBTの基礎概念では、マイナス思考がうつ病の原因であるとされています。

しかし、医学・精神医学の中では、症状が病気の原因になっているのはこれが 唯一の例です。 

また、「私はどうでもいい人間」や「私はだめな人間」のようなマイナス思考が、うつ病の根底にある憂うつ気分の二次的な反応という解釈もできます。

希望や支えを与えると患者は楽になりますが、うつ病そのものは治療されません。

また、うつ病の臨床試験の場合、プラセボ(薬理効果をもたらす成分が入っていない偽薬)の投与群でも、うつ症状がある程度改善することがよく知られています。

そのため、効果的な薬剤を服用している希望や期待によってマイナス思考が改善したと思われ、CBT効果と同じ現象ではないかと示唆されます。



2. CBTの効果研究の方法が、ダブルブラインド(二重盲検)でないことが問題とされています。

患者と治療者の両方が治療内容がCBTであることを明確に認識 している場合(ダブルブラインドでない)、それによってバイアス(希望による期待)が生じる。

そのため、明らかにCBTでない対象群より、よくなりたい患者の症状の方がある程度和らげられ、結果として「CBTがより効果的だ」という誤った結論になってしまいます。

また、研究の評価者は治療内容を認識していないが、患者と治療者の両者が認識しているシングルブラインド(単盲検)の効果研究方法は妥当性に欠けてしまいます。

2010年に行った過去の 研究をまとめた調査によると、治療内容を認識している研究とある程度しか認識していない研究を比較すると、患者や治療者が治療内容を認識すればするほど、 CBTが優位な結果となりました。

これは、バイアスが原因ではないかと強く示唆されています。


逆に、患者や治療者が治療内容を認識しなければしないほど、うつ病に対する効果がほとんどなくなります。




3. 軽症うつ病の患者が重症患者より多く、病気なのか、または性格やストレスによるうつ気分なのかが区別しにくくなります。

軽症うつの患者は希望や期待に作用されやすく、上記のように症状がある程度容易に和らげられます。

また、このような患者は重症のうつ病がはっきりしている患者と比べて効果研究に参加しやすく、客観的な結果が得られにくくなります。




結論:

1. CBTによって心理的な機能(主にマイナス思考による不快感)がある程度まで改善できる。

2. CBTはうつ病やその他精神科疾患の治療として、その効果が医学的に証明されていない。

その上、CBT効果研究のダブルブラインド(二重盲検性)を調査した研究によると、うつ病に対するCBTの効果は極めて低い。

3. CBTは、中途度より重いうつ病に対しては単独治療にすべきでない。

4.主に二重盲検効果研究の実施は不可能なため、CBTの効果研究は「根拠に基づいた医療」(Evidence-Based Medicine)とはいえず、これまでのデーターは、「統制されていない研究結果」にすぎない。

なお、抗うつ薬の二重盲検試験にも、副作用の有無によって医師と被験者に抗うつ薬と偽薬のどちらを投与したか見破られるという問題がある。

また、医薬品の単盲検試験では被験者に割付群を知らせないが、心理療法のランダム化比較試験(RCT)における単盲検では効果の評価者に割付群を知らせないという違いがある。

心理療法のRCTの問題を克服する手法も開発されており、評価者がブラインド化された研究では効果量が50〜100%高く出ることもない。

posted by ホーライ at 03:52| 北京 ☔| 認知療法による治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『図解 やさしくわかる認知行動療法』

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。


■こころの病気や日常の落ち込んだ気分に効果的な心理療法

うつ病や不安障害などのこころの病気の治療には、薬物療法が多く行われていますが、薬で一時的に症状を改善できても、再びその症状に悩まされる人が少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んで行われているのが、認知行動療法です。

考え方のクセを見直し、ものごとの捉え方を変えて行動してみることで、つらい気分の原因を解消していきます。

本書では、認知行動療法の基本的な考え方と治療の流れをわかりやすく解説しました。




■自分で取り組める実践法を紹介

認知行動療法は、病気ではないけれど、こころのつらさを感じている人、ストレスに悩む人にも役立つ方法です。

本書では自分でできる実践法を詳しく紹介しています。気軽に取り組めるよう、実際の治療で使用されるものをアレンジしたワークシートを掲載しました。



■認知行動療法の様々な種類を症状別に紹介

病気や症状にあわせて行われる認知行動療法のバリエーションを紹介しているので、専門家のもとで認知行動療法を受けてみたいと考えている人、認知行動療法を専門的に学びたいと思っている人にも役立つ一冊です。

【目次】

第1章 認知行動療法とは―考えかたと治療の流れ

第2章 【自分でおこなう認知行動療法1】思考パターンを変えてみよう

第3章 【自分でおこなう認知行動療法2】行動を変えてみよう

第4章 【自分でおこなう認知行動療法3】考え方のクセを見直そう

第5章 症状にあわせておこなう、その他の認知行動療法

第6章 疾患別・より効果的なアプローチ法


うつ病で心療内科に行ったときにカウンセラーから勧められて買いました。

とても読みやすく、分かりやすかったです。

自分で取組みやすいものだけしかやりませんでしたが、おかげで精神的に落ち着きました。

リラックス方法なども書いているのでうつ病とまで行かなくてもストレスが多い人にもおすすめです。

認知行動療法をすることによって自分を第三者目線で客観的に振り返ることができるようになりました。

いろんな方法が紹介されているので1つでも自分に合う方法が見つかると良いと思います。


この本には、図が沢山挿入されている為、言葉がすんなりと頭に入ってくる。

克服したいけど、怖くて出来ない。一回、挑戦したけど失敗したからもう二度とイヤだ!

そんな気持ちになった人にもゆっくりでいいよ、やってみよ!と、背中を押してくれる本です。

私は、実際パニックで日常生活に支障をきたしている所もありますが克服したコトも沢山あります。また、克服して生きてる喜びを感じれたら思います。



カウンセラーに認知行動療法をすすめられたので購入しました。

○認知行動療法とは、考えかたと治療の流れ。

○自分で行う認知行動療法、'@思考パターンを変える。'A行動を変える。'B考え方のクセを見直す。

○症状にあわせておこなう、その他の認知行動療法。

○疾患別・より効果的な治療法。

上記のような内容が図解とともに分かり易く書いてあります。

認知(考え方のクセ)を変えると、つらい気持ちが楽になる。日常の落ち込んだ気分にも、鬱病や不安障害にも効く、とのことです。おすすめです。









posted by ホーライ at 03:41| 北京 ☔| 認知療法の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

抗うつ薬によるうつ病の治療(3)

三環系抗うつ薬(さんかんけいこううつやく、英: Tricyclic Antidepressants, TCA)は、抗うつ薬の種類の一つ。

名称は、構造中にベンゼン環を両端に含む環状構造が3つあることを共通に特徴とする事に由来する。

第1世代、第2世代抗うつ薬とも分類される。

三環系抗うつ薬はノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質に関与する神経細胞受容体に作用し、遊離するノルアドレナリン、セロトニンを増やす(正確には神経細胞による再取り込みを阻害する)働きをする。

また、臨床効果が現れるのに飲み始めてから1〜2週間はかかるため、そのことに留意して服用する必要がある。

一般に、選択的作用が比較的低い。

副作用(主に口渇、便秘、排尿困難など)を伴う場合がある。

また、この排尿困難の副作用を逆手に取り、夜尿症の治療に三環系抗うつ薬を用いるケースもある。

他の抗うつ薬の分類として、四環系抗うつ薬(第2世代)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI、第3世代)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI、第4世代)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) などがある。

これらは副作用は少ないものの、薬効は低くなる傾向にある(セロトニン選択性が高くなるかわりに抗ヒスタミン作用が低下し、不眠や鎮静への作用が減るなど)。

近年、これら以外の薬理作用を示す抗うつ剤(トリアゾロピリジン系など)も登場している。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある



●第1世代

塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)

塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)

塩酸クロミプラミン (アナフラニール)

マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)

塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)



●第2世代

アモキサピン (アモキサン)

塩酸ドスレピン (プロチアデン)

塩酸ロフェプラミン (アンプリット)



●アミトリプチリン

アミトリプチリン(Amitriptyline)は、抗うつ薬、睡眠導入剤として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C20H23N。水、エタノール、酢酸に溶けやすくジエチルエーテルに溶けにくい。苦く麻痺性がある。

脳内においてノルエピネフリン及びセロトニンの再取り込みを抑制し、シナプス領域のモノアミンが増量することにより、抗うつ作用を示す。

三環系抗うつ薬の一種で、アミトリプチリン塩酸塩は、日医工よりトリプタノールR、山之内製薬(現在は、藤沢薬品工業を吸収合併したためアステラス製薬に改称)からラントロンR、沢井製薬からノーマルンRという商品名で発売されている。うつ病・うつ状態、不眠症、夜尿症の治療薬に使用される。適応症ではないが線維筋痛症にも用いられることがある。

トリプタノールについては後発医薬品が発売されているが、ラントロンおよびノーマルンについては、トリプタノールとは一部成分が異なることから、先発薬扱いとされており、この2社(アステラスのラントロン、沢井のノーマルン)に関する後発薬は特許期限が到達していないことから発売されていない。


抗コリン作用が強く、口渇・便秘・めまい・眠気・排尿障害などの三環系抗うつ薬にありがちな副作用が強く現れやすい。

ただ、効果も高いとされているので、他の抗うつ薬で思わしい効果が出ない場合に処方されやすい。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療に使用される。

アミトリプチリンは、うつ病・不安障害・注意欠陥多動性障害・偏頭痛の予防・摂食障害・双極性障害・ポスト神経痛・不眠症などに用いられる。

アミトリプチリンの断薬は徐々に行う必要があり、それは全体で3ヶ月を超えてはいけない。(It should be gradually withdrawn at the end of the course, which overall should be of no more than three months)

ランダム化比較試験において、有痛性糖尿病性神経障害に対し、アミトリプチリン、デュロキセチンおよびプレガバリンの三者は同等の効果がみられた。

抗うつ作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、脳内におけるノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

アミトリプチリンは、ラット脳においてノルアドレナリンの再取り込み、およびマウス脳切片でのセロトニンの再取り込みを抑制することが確認されている。

また、レセルピン及びテトラベナジンに対する拮抗作用があり、アミトリプチリンはマウスにおいて、レセルピンによる体温降下、およびテトラベナジンによる鎮静作用を抑制する。

加えて、麻酔イヌにおけるノルアドレナリンの昇圧反応を、アミトリプチリンは増強する



●イミプラミン

イミプラミン (imipramine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。分子式は C19H24N2。

塩酸塩は無臭で水に溶けやすい。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態、夜尿症の治療に用いられる。

イミプラミン塩酸塩は、アルフレッサファーマからトフラニール、田辺三菱製薬からイミドールなどの商品名で販売されている。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

CYP1A2による脱メチル化を受け、活性代謝物のデシプラミンとなる。




●クロミプラミン

クロミプラミン(clomipramine)は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H23ClN2。

酢酸に極めて溶けやすく、酢酸エチル、ジエチルエーテルに溶けにくい。

塩酸塩は白色または微黄色結晶。融点192?196℃。

1960年代にスイスのガイギー社(現・ノバルティス)によって開発された。

脳内のセロトニンおよびノルアドレナリンの神経終末への取り込みを阻害する。

三環系抗うつ薬の一種で、アルフレッサファーマから塩酸塩が「アナフラニール」という商品名で発売されている。

うつ病・うつ状態、強迫性障害、夜尿症、不眠症の治療薬に使用される。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療薬として使用される。




●ノルトリプチリン

ノルトリプチリン (nortriptyline) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H21N。

CAS登録番号 は [72-69-5]。

無臭で水に不溶。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態などの治療に用いられる。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

塩酸塩が、大日本住友製薬からノリトレンという商品名で販売されている。

作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

ラット脳シナプトゾームにおいては、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す (in vitro)。

また、レセルピンによる体温下降作用に対し抑制作用を示す (マウス、腹腔内投与)。

二重盲検比較試験および一般臨床試験における有効性についての評価症例数は508例であり、 精神科領域におけるうつ病およびうつ状態疾患に対し、有効以上が52% (262/508)、やや有効以上が73% (372/508) であった。




●アモキサピン

アモキサピン (Amoxapine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C17H16ClN3O、CAS登録番号は [14028-44-5] で、白色または淡黄白色の結晶。無味で、無臭または特異臭。水にはほとんど不溶。

日本ではワイス(現ファイザー)製造販売元、武田薬品販売でアモキサンの商品名で唯一販売されている。

特許は切れているが、ジェネリックは発売されていない。

脳内神経末端へのノルアドレナリン、セロトニンの再取り込み阻害作用を有すが、活性代謝物である7-hydroxy体は強力なドパミン2受容体遮断作用をもつ。

この代謝物の作用により、抗精神病薬に類似した錐体外路症状(EPS)や悪性症候群が現れることがある。

第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。

うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症などの治療に用いられる。

従来の三環系抗うつ剤に対し、妄想性うつ病に効果発現が早いとされるが、一般的に効果の発現には2~3週間かかるとされる。

抗うつ作用はSSRIやSNRIと比較して強力とされるが、すぐに効果が現れないからといって服用を中止することなく、服用を継続したうえで治療効果について医師と相談していくべきである。また突然の服用中止は重大な副作用を誘発する危険性があるため、薬剤師による服薬指導を遵守すべきである。


posted by ホーライ at 03:30| 北京 ☔| 抗うつ薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

抗うつ薬によるうつ病の治療(2)

●治療効果

抗うつ薬の効果は、副作用に関連するリスクを正当化するために偽薬をしのぐべきである。

うつ病の重症度の評価にハミルトンうつ病評価尺度(英語版)(HAM-D)が、しばしば用いられる。

HAM-Dの17項目のアンケートからの最大スコアは52点である;高いスコアがより重度のうつ病である。

何が薬に対する十分な反応に相当するのかについては十分に確立されていないが、寛解あるいはすべてのうつ症状の実際の除去が目標であり、しかしながら寛解率はまれにしか公表されていない。

症状軽減の割合は、抗うつ薬による46-54%に対して偽薬では31-38%である。



234の研究から、第二世代の13種の抗うつ薬(ブプロピオン、シタロプラム、デスベンラファキシン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン(日本では未認可)、フルボキサミン、ミルタザピン、ネファゾドン、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン(日本では開発中止))にて、年齢、性別、民族、併発疾患を考慮しても、うつ病の急性期、継続期、維持期の治療に対して、ほかのものを上回る臨床的に意味のある優越は発見されなかった。

うつ病の薬物治療の有効性について、アメリカ国立精神衛生研究所によって委託されこれまでに最大規模かつ高額な費用がかかった研究、STAR*D (Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression) が実施された。

その結果の概要は以下である。

STAR*Dの各過程は14週間ごとであり、従って14週後における寛解率や脱落率を表す。

治療の最初の過程の後、2,876人の参加者のうち、27.5%がHAM-Dの点数が7点以下となり寛解に達した。

21%が脱落した。


次の治療の過程の後、残り1,439人の参加者のうち21-30%が寛解した。

310人の参加者だけが研究の継続に協力的であるか継続可能であった。

薬の切り替えでは約25%の患者が寛解に達した。

3番目の治療の過程の後、残り310人の参加者のうち、17.8%が寛解した。

4番目の治療の過程の後、残り109人の参加者のうち、10.1%が寛解した。

1年後の追跡調査で、1085人の寛解した参加者のうち、93%が再発するかこの研究を脱落した。



この研究で比較されたどの薬の間にも、寛解率、反応率、寛解あるいは反応までの期間に、統計的あるいは意味のある臨床的な違いはない。

ブプロピオン徐放錠、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードサイロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン(日本では開発中止)徐放錠が含まれる。

2008年のランダム化比較試験のレビューは、症状の改善は、SSRIを使用して1週間目の終わりが最高で、いくらかの改善は少なくとも6週間継続したと結論した。


SSRIのフルオキセチン(日本では未認可)、パロキセチン、エスシタロプラムとSNRIデュロキセチンと偽薬では、反応があった場合、偽薬のほうが改善度が緩やかだが、すべてで時間と共に改善していく傾向が見られた。

しかし、抗うつ薬に反応しなかった患者の一部、全体に対する約25%の患者は、HAM-Dスコアが高いままで、8週間では偽薬より著しく高かった。

これは抗うつ薬に反応しない場合、中止すべきことを示唆していると解釈された。


うつ病は類似した症状を呈する異なる病因の病気の集合なので、抗うつ薬の予後が悪いことを示した。

大うつ病性障害の定義は見当違いの可能性がある。

抗うつ薬はうつ病の根本にある原因に効果があるかについて、2002年のレビューは、使用を終了した場合、抗うつ薬がうつ病の再発の危険性を減少させるという根拠がないと結論した。

このレビューの執筆者らは、対人関係療法(IPT)と認知行動療法(CBT)を挙げ、抗うつ薬を心理療法と組み合わせることを提言した。




●副作用

抗うつ薬が効果を表すのは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質に作用するからであるとされている。

しかし、三環系や四環系抗うつ薬では、抗コリン作用、抗α1作用なども併せ持っており、そのために以下のような副作用が生じることがある。

副作用は薬の種類によって細かく異なる為、注意が必要である。

抗コリン作用による口渇、便秘、目のかすみ、排尿困難など

アドレナリンα1受容体遮断作用による低血圧、めまいなど

抗ヒスタミン作用による眠気、体重増加

抗ムスカリン作用による視力調節障害

手足の痙攣・振戦、全身の痺れなど(重症になると一ヶ月ほど痺れが続く場合もある)

服用開始直後の吐き気については、これについては制吐剤(ガスモチンなど)や六君子湯などの併用によって緩和することが可能である。

性欲減退についてはDNRIとの併用で解消できる場合があることが報告されている。


posted by ホーライ at 03:29| 北京 ☔| 抗うつ薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

抗うつ薬によるうつ病の治療(1)

抗うつ薬(こううつやく、antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害に用いられる精神科の薬である。

不安障害のうち全般性不安障害(GAD)やパニック障害、強迫性障害にも処方される。


投薬による結果がよくないため非推奨であるものに、摂食障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)がある。


添付文書にて適応が認められていない慢性痛、月経困難症などの適用外用途への処方が行われる場合がある。

ほかにADHD、薬物乱用による抑うつ、いびき、偏頭痛の場合もある。

適用外用途の処方には議論がある。

場合によっては、アメリカでは司法省による制裁が行われている。



多くの抗うつ薬は、効果の発現が2〜6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。

しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある。

日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している。



抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は一次選択にはなっていない。

また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる。

2010年には、精神科領域の4学会により、医師に対して不適切な多剤大量処方に対する注意喚起がなされている。



抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性機能障害など様々な#副作用が併存する可能性がある。

2型糖尿病の危険性を増加させる。

さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある。



急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症状に酷似した離脱症状を生じさせる可能性がある。

離脱症状は、少なくとも2〜3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1〜2週間でおさまる。

離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある。


製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した。

その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた。



●主な抗うつ薬

*選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ジェイゾロフト)、シタロプラム(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。

三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が若干少ないとされる。

急に服薬をやめるとSSRI離脱症候群が発現する恐れがある。

強迫性障害、社交不安障害、パニック障害に適応がある。

躁うつ病には禁忌である。中等度から重症の大うつ病では第一選択となる。

効果発現に2週間程度必要である。

投与初期(1?2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。

セロトニン受容体に対する急性刺激と考えられている。

少量ではセロトニン選択性であるが、高用量となるとノルアドレナリンの再取り込みも阻害するようになる。




*セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

第四世代の抗うつ薬と言われるもので、ミルナシプラン(トレドミン)、ヴェンラファキシン(エフェクサー)(日本では開発中止)、デュロキセチン(サインバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。

SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。

TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルアドレナリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。

頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。




*三環系抗うつ薬(TCA)

もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。

セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。

第1世代としては塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)、塩酸クロミプラミン (アナフラニール)、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)。

第2世代としてはアモキサピン (アモキサン)、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。

第3世代としての選択的セロトニン再取り込み阻害薬が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。

その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70?80%と非常に高いことが理由にあげられる。

TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。

抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。

特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。

鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。

起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。

またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。

危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある。


・アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)抗コリン作用、鎮静作用が最も強いTCAである。

若年者で入眠障害がある患者で好まれる傾向がある。

就寝前に多く飲ませることが多い。


・イミプラミン (イミドール、トフラニール)

最初に作られたTCAである。

アミトリプチリン よりも抗コリン作用、鎮静作用が弱いがノルトリプチリンよりは強い。

起立性低血圧も比較的少ない。

パニック障害に効果があることもある。


・クロミプラミン (アナフラニール)

セロトニンの再取り込み阻害作用が強い。

痙攣がおこる頻度が他のTCAよりも強いため、抗けいれん作用の強い抗不安薬を併用することが多い。

注射薬があるため、うつ病による不穏、焦燥に対して3時間程度で25mgを点滴静注することもある。


・ノルトリプチリン(ノリトレン)

セロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込みを強く抑制する。

焦燥感を起こすことが少ない。有効治療量の幅が狭く処方が難しい。


・アモキサピン (アモキサン)

第二世代のTCAであり、副作用、特に抗コリン作用が軽減されている。

他のTCAよりも効果発現が早いといわれている。



*四環系抗うつ薬

ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。

抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。

塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。


・ミアンセリン(テトラミド)

α2受容体を遮断することでノルアドレナリンの放出を促進する。

抗ヒスタミン作用が強い薬物である。

心毒性がないため非常に使いやすい抗うつ薬である。

呼吸抑制と鎮静という副作用がある。

SSRIとの併用による増強効果が報告されている数少ない薬物である。


・セチプチリン(テシプール)

ミアンセリンを改良した薬物。

中枢性セロトニン作用をもつ。

鎮静の副作用はまれ。


・トリアゾロピリジン系抗うつ薬(SARI)

塩酸トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)が有名である。

5-HTの取り込みを阻害する薬物である。


・モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。

パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。



・ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。

2009年9月7日から使用が開始された。

これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる。

これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。

すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。

また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。

・ミルタザピン - 2009年9月7日に国内での処方が解禁された。

開発元のN.V.オルガノンと統合したシェリング・プラウ(現在は合併してMSD)からレメロン、Meiji Seika ファルマからリフレックスとして発売されている。

2009年9月現在、90カ国で使用されている。

うつ病患者を対象としたミルタザビンの日本での臨床試験(プラセボ対照比較試験)では、投与1週目から有意に高い改善効果が示されており、長期投与試験では、52週まで抗うつ効果が維持されることが確認されている。

こうした試験結果から、従来薬に比べて、効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されている。

ただし国内の臨床試験で、82.7%に何らかの副作用が認められたことに留意する必要がある。

高頻度に認められたのは、傾眠(50%)、口渇(20.6%)、倦怠感(15.2%)、便秘(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(12.4%)などであり、重大な副作用としては、セロトニン症候群、無顆粒球症、好中球減少症、痙攣、肝機能障害、黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が報告されている。



*ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)

日本国内においては未承認である。

塩酸ブプロピオン(商品名ウェルブトリン)が知られている。




*選択的セロトニン再取り込み促進薬(SSRE)

日本国内においては未承認である。

チアネプチン(en:Tianeptine)が知られている。

posted by ホーライ at 03:25| 北京 ☔| 抗うつ薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする