2014年05月21日

うつ病の原因(2)

■■■■■ うつ病の原因(2) ■■■■■

●脳の海馬領域における神経損傷仮説

うつ病の神経損傷仮説:

近年MRIなどの画像診断の進歩に伴い、うつ病において、脳の海馬領域での神経損傷があるのではないかという仮説が唱えられている。

そして、このような海馬の神経損傷には、遺伝子レベルでの基礎が存在するとも言われている。


心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となるという仮説:

また、海馬の神経損傷は幼少期の心的外傷体験を持つ症例に認められるとの研究結果から、神経損傷が幼少期の体験によってもたらされ、それがうつ病発病の基礎となっているとの仮説もある。

コルチゾール(cortisol) は副腎皮質ホルモンであり、ストレスによっても発散される。

分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。

また、このコルチゾールは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の脳のMRIなどを例として観察されている。

心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。




【心理学的仮説】

●病前性格論

心理学的仮説としては、フーベルトゥス・テレンバッハの唱えたメランコリー親和型性格が有名である。

これは、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに仕事の範囲が広がると、責任感から無理を重ね、うつ病を発症するという仮説である。

しかし、このような生活上の悩みがうつの原因になるとしても、すべての症例がこの仮説によって説明できるわけではない。

例えば、家族の一員の死により深刻なうつ症状に陥る人もいれば、短期間で乗り越える人もいる。

一方で、特段の理由もなく深刻なうつを発症するケースもある。



うつ病患者にメランコリー親和型性格者が有意に多いという統計学的エビデンスは数多く報告されているが、それらの値は現代に近づくにつれて減少傾向を示しており、現在ではうつ病患者に特徴的な性格傾向はほとんど見られなくなっている。


うつ病にかかりやすい病前性格として、日本では主にメランコリー親和型性格、執着性格、循環性格などが提唱されてきた。

しかし、近年ではうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、これらの性格に該当しないディスチミア親和型と呼ばれる一群の患者が増加しているとされる。

ディスチミア親和型はパーソナリティ障害ないし、パーソナリティ障害傾向を持つ人々が多く、自己愛的・回避的な問題を抱えるケースが報告されている。


なお、現代ではDSMの普及によって大うつ病性障害にはあらゆる抑うつ症状が混合してしまっており、病前性格の評価そのものが困難になってきている。

成因を問わない操作診断によって生じた混乱に対し、ハゴップ・アキスカルやジャーマン・ベリオスをはじめとした英米圏の学者達は連名でうつ病概念を整理する必要性を説いており、大うつ病性障害からメランコリアを切り離すことについて提言を行っている。





【その他うつ病の発症・経過に影響する因子】

●薬物・アルコールとの関連

DSM-IVでは、その原因が「物質の直接的な精神的作用」に起因すると判断される場合は、気分障害の診断を下すことはできないとしている。

大うつ病に似た症状が物質乱用や薬物有害反応によって起こされていると判断される場合、それは"substance-induced mood disturbance"と定義される。


アルコール依存症または過度のアルコール消費は、大幅に大うつ病の発症リスクを増加させる。

また、逆にうつ病が原因となってアルコール依存症になる場合もある。



ベンゾジアゼピンは不安障害や不眠症の人が服用する薬である。

アルコールと同様に、ベンゾジアゼピンはうつ病発症リスクを増加させる。

この種類の薬は不眠・不安・筋肉痙攣に広く使用されている。

このリスク増加はセロトニンとノルエピネフリンの減少など、薬物の神経化学への効果が一因である可能性がある。

ベンゾジアゼピン系の慢性使用も抑うつを悪化させ、うつ症状は長期離脱症候群の1つである可能性がある。


厚生労働科学研究によれば、実際には睡眠導入剤、抗不安薬としてベンゾジアゼピン系などが多く処方されているが、長期の安全性については疑問符があるため、適正使用ガイドライン等が検討課題であると述べられている。



●社会的要因

貧困と社会的孤立は、一般的に精神衛生上の問題のリスク増加と関連している。

児童虐待(物理的、感情的、性的、またはネグレクト)も、後年になってうつ病を発症するリスクの増加に関連付けられている。

成人では、ストレスの多い生活上の出来事が強く大うつ病エピソードの発症に関連付けられている。

生活上のストレスがうつ病につながる可能性が増加したり、社会的支援の欠如がうつ病につながる可能性がある。

後述する認知行動療法は、考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていくものである。

ライフイベントの影響(閉経、財政難、仕事の問題、人間関係のトラブル、近親者との死別による分離等



posted by ホーライ at 05:35| 北京 | うつ病の解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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