厚生労働省によれば、うつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は世界では1〜8%、日本では12カ月有病率が1〜〜%である。
また、生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、川上によれば3〜16%である。
日本では、水野らによれば12ヶ月有病率は3.1パーセント、川上によれば生涯有病率6.7パーセントとされている。
これらの研究結果から、ある時点ではだいたい50人から35人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると考えられている。
●性差
男性より女性のほうが2倍ほどうつ病になりやすいとされている。
閉経や子どもの自立による喪失体験、PMSによるストレス、男性より寿命が長いことによる配偶者との死別などによる部分も少なくはないと思われ、社会生活によるストレスが多い男性にも普通に見られる。
女性の発症率の高さについては、妊娠・出産期・閉経期・月経前(PMS、PMDD、セロトニンの減少)の女性ホルモン、セロトニンの激減がマタニティブルーや産後うつに関与している可能性がある。
産後うつは乳児の育児時の睡眠不足もある。
日本ではうつ病が増加傾向にあるが、女性の高齢化による自然増もある。
●患者数とその推移
日本の患者数の少なさについては、受診率の低さが原因としてあげられる。
日本の患者数の年度ごとの増加傾向には、高齢化やうつ病についての啓発活動による受診率の増加が原因としてあげられる。
うつ病の患者数が20世紀になって増加していることについて、SSRIの導入後6年間で2倍に増えるという経験則があり、製薬会社のキャンペーンが影響している、とした説もある。
「副作用の少ない」抗うつ薬の普及に伴い、うつ病と診断される患者数が増加している側面がある。
●子どものうつ病
子どもでもうつになる場合があり、子どもの大うつ病の時点有病率は児童期で0.1から2.6パーセント、青年期で0.7から4.7パーセントとされている。
いじめ等の自殺行為は、重度に発展したうつ病による可能性もある。
うつ気分が、イライラする、怒りっぽくなる、落ち着きがなくなるなどの形で表現されることも多い。
●自殺企図者とうつ病の統計
重大な自殺を図った者の75%に精神疾患があり、その46%はうつ病である。
●喫煙との関連
製薬会社のファイザーが2009年6月に10年以上の喫煙歴がある40 - 90歳の男女計600人を対象にインターネットで行った調査によると、ニコチン依存症の人の16.8パーセントにはうつ病やうつ状態の疑いがあり、ニコチン依存症でない人でのその割合は6.3パーセントのため、ニコチン依存症の人ほど、うつ病・うつ状態の可能性が高いと報告している。
また、典型的な抗うつ薬であるイミプラミンについて、喫煙者は効果が半減するとの指摘がなされている。
ただし、喫煙者であって重症のうつ病の間の禁煙は医師との相談が必要である。
ニコチン離脱時にうつ病が再燃しやすい。
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