2014年06月10日

うつ病の治療の概要

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法 


うつ病は、この記事では大うつ病として知られる精神疾患を指す。

患者は、通常外来患者として評価・管理し、患者が自分自身や他人に危険をもたらすと考えられる場合のみ精神福祉部門に入院させる。

もっともうつ病で共通する治療は、休養・心理療法・薬物療法・電気ショック療法(重度の場合)である。




●うつ病の治療の概要

抗うつ薬が普及する前、アメリカ国立精神衛生研究所(英語版)(NIMH)は、うつ病は自然回復し、再発は滅多にない、と公式に述べていた。

1964年、NIMHのジョナサン・コール(Jonathan Cole)は「うつ病は、全体的に、治療の有無にかかわらず、最終的には回復する予後が最良な精神状態の一つです。ほとんどのうつ病は治療しなくても長期的には回復します」と述べている。

また、NIMHの専門家たちは、抗うつ薬が回復までの時間短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率の上昇には役立たないと考えている。

その理由について、1974年、NIMHのうつ病部門長であるディーン・シュイラー(Dean Schuyler)は、ほとんどのうつ病は「特別な治療をしなくても事実上完治するという経過をたどります」と説明している。

数ヶ月以内の自然回復率が50%を越えるため、各種治療法の有効性の判断は難しい。




●うつ病の薬物療法

抗うつ薬

1999年のガイドラインでは、最も効果のある薬物治療を見つけるため、薬の種類と量は頻繁に調整すべきであり、違った抗うつ薬の組み合わせ、別種の薬物を試すことが求められ、最初の薬物への反応率は50%程度と低い、とされる。

抗うつ薬は統計的にプラセボよりも優れているが、しかし全体的な効果は低から中程度である。

多くの場合、国立健康臨床研究所による臨床有意基準を満たせない。

とりわけ、中程度のうつには効用は非常に小さいが、非常に深刻なうつの場合臨床的有意性は上がっている。





●うつ病の睡眠衛生

うつ病は一般的に睡眠不足(入眠困難、早朝覚醒、日中の一般的な倦怠感)に関連付けられている。

抑うつと睡眠不足の2つの相互作用により症状を悪化させる。

良い睡眠衛生によってこの悪循環を断ち切ることが重要な助けとなる。

それには標準就寝時間の確保、カフェイン等の覚醒物質を絶つ、睡眠時無呼吸のような外乱要素の治療などがある。

皮肉にも、睡眠短縮(断眠療法など)はうつ病の一時的な治療である。

断眠療法は効果が持続しにくく、その場合、薬物療法や光療法を併用する。



●うつ病の高照度光照射療法

全米精神科医協会による高照度光照射療法についてのメタアナリシス調査では、季節性情動障害と非季節性情動障害の両方においてプラセボよりも効果が確認され、効果は標準の抗うつ薬治療と類似であった。

非季節性情動障害では、標準の抗うつ薬治療に追加で光療法を行うことは効果的でなかった(not effective.)



●うつ病の鍼治療

2004年のコクランレビューでは、低い品質のエビデンスベースだが、鍼治療がうつ病の治療に効果があるかどうかのエビデンスはinsufficientと結論付けている。

臨床試験では、鍼灸の効果はアミトリプチリンと同等の効果が示されている。

加えて、とりわけ電気鍼では更に効果があり、うつ病患者の 3-methyl-4-hydroxy-phenylglycol (中央神経伝達物質ノルエピネフリンの主な代謝物) の減少をもたらす。

一方で、デキサメタゾン抑制試験では、アミトリプチリンはその抑制では更に効果があった。

鍼は体内のエンドルフィン生産レベルを引き上げることが証明されている。




●うつ病の冷水治療

Nikolai Shevchukによる研究では、冷たいシャワーを浴びることはうつの治療を助ける効果があると主張している。

氏は冷たいシャワーは脳の主要なノルエピネフリン元である locus ceruleus や blue spot を刺激するという生物学的説を主張している。

またβ-エンドルフィンのレベルに影響するとしている。



●うつ病の治療に使われる漢方薬

漢方薬では、柴胡加竜骨牡蛎湯・半夏厚朴湯・加味帰脾湯(焦燥感の強い場合は悪化の恐れあり注意)・加味逍遙散が主に用いられる。

治療有効例では約2週間ほどで効果を示すことが多いが、効果のない場合でも4-6週間の経過を見た方がよい場合もある。

西洋薬から漢方薬への切り替えは困難なことが多く、少なくとも急激な断薬はしてはならない。

エビデンスレベルは高くない。



●うつ病に対するトリプトファン

アミノ酸であるトリプトファンは、セロトニン・メラトニンといったモノアミン神経伝達物質などの前駆体として重要である。

コクラン共同計画のメタアナリシスではトリプトファンについての108の臨床試験のうち2つの試験しか十分な精度を有していないことを明らかにした。

その結果、トリプトファンの十分な効果の証拠が認められないのでうつ病治療に推奨できないと結論付けた。

米国ではトリプトファンを含むサプリメントは販売禁止である。

posted by ホーライ at 00:16| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする