●主観的な不眠症
一部の不眠症は、実は不眠症ではない。
睡眠状態の誤解(英語版)は、正常な時間帯で寝ているのに入眠にかかる時間をまだ過剰に見積もる。
その場合、実際には8時間じっくり寝たのに、4時間しか眠れていないなどと考えていることがある。
●不眠症の診断
DSM-IV(『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版)による他に原因がない不眠症である原発性不眠症の診断基準に従えば、診断基準Dの他の疾患が原因でなく、診断基準Eの医薬品や他の乱用薬物が原因でなく、診断基準Aの1か月以上持続しており、そして診断基準Bの臨床的に著しい苦痛、または重要な領域における機能の障害を引き起こしている場合である。
正常な短眠者や、正常な範囲の睡眠の乱れは、臨床的に著しい苦痛や機能の障害を起こさないため、頻繁に問題が生じ何か月にもわたり持続し、臨床的に著しい苦痛を伴ったり、少なくない機能の障害を引き起こしているものが不眠症である。
因果関係の知識は、診断のために必要ではない。
睡眠医学(英語版)の専門家は、多くの異なる睡眠障害を診断するための資格を有する。
睡眠相後退症候群といった様々な障害を持つ患者は、頻繁に原発性不眠症と誤診されている。
●不眠症の鑑別診断
多くの場合、不眠症は他の障害や、医薬品の副作用、心理的な問題との併存である。
不眠症と診断された約半数は精神障害に関連している。
うつ病では多くの場合、不眠症は二次的なものというより、併存とみなされるべきであり、よく精神障害に先行する。
実際に、続く精神障害の表れであることがある。
DSMによる物質誘発性睡眠障害には、薬物依存、薬物乱用、薬物中毒、そして離脱が原因となることが指摘されている。
不眠の原因として多いのは、物質の使用あるいは離脱によるもので、原因として最も多いのはカフェインであり、娯楽薬や処方薬も原因となりうる。
カフェインでは量に比例して(用量依存的に)睡眠時間が短くなる。
バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系の鎮静催眠剤からの離脱中に薬物誘発性不眠症が生じることがあり、薬の中止から1か月後までに発症し、数ヶ月間、強度を減じながら持続する可能性がある。
特に、バルビツール酸系や非バルビツール酸系では、慢性使用により作用に耐性を生じ不眠症に陥ることがあるが、薬剤を増量すると今度は日中に物質誘発性過眠症を生じうる。
不眠症は甲状腺機能亢進症に伴って起こりうる。
過眠症は睡眠が十分であっても日中に眠気がある状態である。
入眠に問題があるが、正常な睡眠規則がある場合には、概日リズム睡眠障害の可能性がある。