不眠症の治療を決定する前に、医学的、心理学的な原因を特定したり除外することが重要である。
認知行動療法(CBT)は、慢性の不眠症の短期治療として医薬品と同様の有効性があり、薬とは異なり、治療を終えても有益な効果があることが分かっている。
薬理学的な治療は急性の不眠症における症状を減少させるために主に用いられてきた;慢性の不眠症の管理における役割は不明である。
いくつかの異なる種類の医薬品は不眠症の治療に効果的であるが、多くの医師は処方睡眠薬の長期的な使用を推奨しない。
うつ病、呼吸の問題、慢性的な痛みのような不眠症の原因となることがある他の医学的な状態を特定し治療することが重要である。
不眠症専門外来を設けている所もあり、そこでは不眠症を含む様々な異なった睡眠障害を診断でき、認知行動療法などの心理療法を提供している場合がある。
●不眠症の非薬物療法
非薬理学的な手法は、睡眠薬に比較しても同様の効果があり、また継続的な効果がある。
睡眠薬は、短期的な使用にだけ推奨されており、中止時の反跳性離脱作用を伴う依存症や耐性の形成となるためである。
非薬理学的な手法は、一次選択として、また不眠症の管理における長期的な方法として推奨されており長期的な改善をもたらす。
そのような手法には、 睡眠衛生(英語版)への注意、刺激制御(英語版)、行動的な介入、睡眠制限療法、患者教育とリラクゼーション療法がある。
脳に流れる血液の温度を下げると、脳の代謝速度を下げることで不眠症を軽減する。
いくつかの例では、日誌をつけたり、ベッドで起きたまま費やす時間を制限したり、リラクゼーション法の実施や、規則的な睡眠習慣と起床時間の維持である。
行動療法は、睡眠の質と統合を改善するために新しい睡眠行動を促すよう患者を支援することができる。
行動療法には、睡眠時のリラックスのための健康的な睡眠習慣の学習や、光療法によって体内時計を規則化させたり心配軽減法を併用するといったものがある。
脳波フィードバック(英語版)は、不眠症の睡眠時間の改善と、睡眠の質にも有効性を実証している。
刺激制御法は、ベッドや睡眠一般に関連した患者の否定的な反応に対する治療である。
刺激制御法は、よく睡眠衛生の考えと交互に用いられ、睡眠環境の管理の手順を含んでいる。
このような環境改善には以下のようなものがあり、ベッドを睡眠とセックスにのみ用い、読書やテレビを見るといった活動には用いない。
また、週末においても毎朝同じ時間に起きる。また眠気が生じてきて眠れそうな時にのみベッドに行く。またベッドに入ってから合理的な時間(〜20分)で睡眠にならないなら、ベッドを離れて他の場所で活動する。
そして、眠りに落ちるための主観的な試みと労力を減少させる。
また夜間の明るい光への暴露を避け、そして昼寝をなくす。
瞑想は不眠症の治療に推奨されている。
瞑想の師であるゴータマ・シッダールタ、またの名であるブッダは、慈悲の瞑想の実践をリラックスと安眠をもたらす方法として推奨していることが記録されている―瞑想の功徳の一覧に最初に書かれているものである。
最近の研究が結論している。マインドフルネスな実践は、心と体の落ち着きのなさと不眠症の自覚症状を減少させる。
またマインドフルネス認知療法は、落ち着きのなさや、心配を含む機能不全な睡眠関連の思考と減少させることで睡眠を促す。
●予防
不眠症は、短期的あるいは長期的である。
睡眠障害の予防には、同じような時刻での起床と入眠を保つといような一定した睡眠予定の維持が含まれる。
また睡眠時刻の8時間前からカフェイン飲料を避けるべきである。
運動は不可欠で睡眠への過程の助力となるが、就寝時間の前には、運動しないことは重要でそれゆえ静かな環境を整えるようにする。
自分の寝床は、睡眠とセックスのためにのみ用いることにすべきである。これは睡眠衛生を含むいくつかの要点である。