あまり生活に支障をきたさないような軽症例から、自殺企図など生命に関わるような症状を呈するものまである。
DSM-IVにおける大うつ病性障害の診断基準では、「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」2つの主要症状が基本となる。
また、精神症状と共に身体的な症状を生じる。身体的な症状は、診断に先立って訴えられることもある。
●精神症状
ボーっとすることが多くなり、口数が少なくなる。
学校・会社・部活動では、休みがちになったり、不登校になる。
集中力、気力、意欲がなくなり、運動神経や記憶力が低下し、勉強ができなくなる。
人の話を聞けなくなる。「どうせ自分なんか価値の無い存在だ」と考えるようになるなど、自尊心が低下する。
「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどである。
「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態である。
この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされている。
これら主要症状に加えて、「抑うつ気分」と類似した症状として、「自分には何の価値もないと感じる無価値感」、「罪悪感」、「自殺念慮・希死念慮」などがあり、その結果として自殺に至る例もある。
●身体的症状
頭が割れるような頭痛。
不眠症などの睡眠障害。
吐き気。少しの動作で疲れるようになってしまう。
消化器系の疾患で急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍。摂
食障害に伴い、食欲不振と体重の減少あるいは過食による体重増加。
全身の様々な部位の痛み(腰痛、頭痛など)訴えとしては「食欲がなく体重も減り、眠れなくて、いらいらしてじっとしていられない」もしくは「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも眠たく寝てばかりいて、体を動かせない」というものである。
睡眠状態と食欲状態はうつ病の問診項目である。
うつ病の約8割に不眠が、1割に過眠が見られる。
不眠症によりうつ病は2.1倍になる。
●その他人
付き合いを避けるようになるなど、対人関係が悪化し、さらに病気を悪化させるという悪循環が起きやすい。
不眠症の放置により、生活リズムが乱れやすい。
疾患にともなう作業能力の低下、失職、学業不振、退学等、生活適応面に及ぼす影響も甚大である。