2014年05月21日

うつ病の診断

■■■■■ うつ病の診断 ■■■■■

●DSM-IV-TRとICD-10の診断基準

抑うつについて最も広く用いられる診断基準は、アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計の手引き改訂4版(DSM-IV-TR)と、世界保健機関の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)である。

前者は米国および非ヨーロッパ諸国で多く用いられ、後者はヨーロッパで多く用いられる。

双方の製作はお互いに反映し合いながら行われている。



ICD-10では「大うつ病」という用語を使用していないが、(軽度・中等度・重度)うつ病エピソードの診断のために、DSM-IVの大うつ病に非常に類似した症状のリストが使用される。

複数のうつ病エピソードが存在し、躁病のないものにはrecurrent depressive disorder(再発性うつ病性障害)という名称が用いられる。


双方のガイドラインでは典型的な抑うつ徴症を示している。


ICD-10では3つの抑うつ徴症(depressed mood, anhedonia, and reduced energy)を示し、そのうち2つはうつ病の診断確定に必須である。

DSM-IV-TRでは2つの主な抑うつ徴症(depressed mood, anhedonia)を示し、少なくともひとつが大うつ病の診断確定に必須である。

DSM-IV-TRでは大うつ病は気分障害に分類される。

診断は単発または繰り返される大うつ病エピソードに基づく。

追加の情報はその他の障害と区別するために用いられている。

特定不能うつ病性障害(en:Depressive Disorder Not Otherwise Specified)は、抑うつエピソードが大うつ病エピソードを満たしていない場合に診断される。




●大うつ病エピソード(DSM-IV-TR)

大うつ病エピソードとは、少なくとも2週間以上の深刻な抑うつ気分の愁訴によって特徴付けられる。

もし患者が躁病や軽躁病のエピソードを持っていれば、診断は代わりに双極性障害となる。

DSM-IV-TRでは症状が死別によるものである場合は除外しているが、しかしその気分が長期化し大うつ病エピソードの特徴付けられる要素がある場合は、死別を原因として抑うつエピソードに入る可能性があるとしている。

DSM-5では死別もうつ病の原因になった。



●臨床評価

大うつ病の診断を行う前に、一般的に医師によって医学的検査と幾つかの調査が他の症状を除外するために行われる。

血液の甲状腺刺激ホルモン(TSH)とチロキシン測定によっての甲状腺機能低下症除外、基礎電解質と血中カルシウム測定で代謝障害の除外、全血球算定(赤血球沈降速度ESRを含む)により全身性疾患や慢性疾患の除外など。

薬物の副作用やアルコール乱用も同様に除外される。

男性の抑うつの場合、テストステロンのレベル測定によって性腺機能低下症も除外される。

客観的認知についての問題が老人の抑うつに現れることがあるが、それはアルツハイマー病などの痴呆性疾患の可能性がある。

認知テストと脳画像イメージによって認知症とうつ病を区別する助けとなる。

CTスキャンは精神病患者の脳病理を除外することができ、また異常兆候を迅速に判断できる。

生物的テストでは大うつ病の診断を行う方法はない。

一般的に、医学的な問題がない限りその後検査を繰り返す必要はない。

パーソナリティ障害や不安障害、不眠症の合併の有無を確認する。



●鑑別疾患

本当のうつ病に該当するもの以外にも、うつ状態を呈するものとして、次のような原因によって引き起こされる。

・一過性の心理的なストレスに起因するもの(心因性のうつ、適応障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) など)

・双極性障害、統合失調症、自律神経失調症、パニック障害など、他の疾患の症状としてのもの

・物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、明らかに身体疾患によるもの

また、器質的疾患からうつ状態となることもある(器質性気分障害)。




●双極性障害との鑑別

うつ病の診断においては、軽躁と鬱を繰り返す双極II型障害を単極性・反復性と誤診するなど、双極性障害と見分けがつきにくいケースが多い。

患者側も、睡眠時間が短くてもすんでしまうなど現代の過酷な社会環境にむしろ適応的であり、ばりばりと働けたなどの充実感などのため、軽躁状態を異常と認識せず、主治医に申告しないこともある。

そのため、大うつ病性障害など「うつ病として」受診に来た患者を診断する場合、初診で躁病エピソードの既往症(軽躁エピソードは特に)を確認し、双極性障害でないかどうか明確に鑑別しておくことが何よりも重要であるとの指摘がある。

これは、大うつ病性障害などの単極性の気分障害と双極性障害は、治療法が根本的に異なるためである。



また、長期経過の中で、うつ状態に加えて躁状態も生じる場合にも、双極性障害(いわゆる躁うつ病)の可能性がある。

そのため、躁状態に転じることを常に注意し、素早く対応することが必要であるとも指摘されている。

若年者は、双極性障害のうつ病相や統合失調症の好発年齢であり、安易に「非定型うつ病」と決めつけることは“誤診”につながる。



うつ病を繰り返し生じる場合には、反復性うつ病と呼ばれており、これも、遺伝研究などによって、躁うつ病と根本的には同一の疾患であるとされている。

一方、再発のないうつ病は、単一エピソードうつ病と呼ばれ、躁うつ病とは異なった疾患であると考えられている。




近年、最先端医療の分野で光トポグラフィーを用いた科学的な診断方法が注目を浴びているが、ごく一部の医療機関でしか行われていない。

うつ病、統合失調症、双極性障害の判断区別を行う事も可能とされる。

先進医療であり保険は未承認。

データの蓄積が少なく、研究途上という性格が強く、現在では検査入院などの専門家による精査とセットでないと実際の診断には難しいというのが実情である。

2012年現在の日本では、「鑑別診断補助」の位置づけである。検査結果は、診断や治療の参考になるよう紹介精神科医へフィードバックされる。



●器質性気分障害

下記のような器質的疾患からうつ状態となることがあり、診察時には注意を要する。

・中枢神経系(脳血管障害、パーキンソン病、脳腫瘍 など)

・内分泌系(副腎疾患(アジソン病など)、甲状腺疾患 (橋本病など)、副甲状腺疾患 など)

・炎症性疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス など)

・歯科治療用重金属中毒



posted by ホーライ at 07:30| 北京 | うつ病の診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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