複数の著作が、気分障害は進化的適応であるとしている。
落ち込みや抑うつは、危険や損失、無駄な努力をもたらす目標追求に対しての状況対応能力を高めるという。
そういった状況では低い動機付けが、特定の行動を抑制することによって利益が得られる。
この理論はなぜ気分障害がよく見られ、生殖年齢の頂点の人々をも襲うのかを説明するのに役立つ。
抑うつが機能不全であれば、これらの特性を説明するのは難しい。
抑うつ気分は地位の損失、離婚、あるいは子供や配偶者の死のような、人生において生じる特定の種類のありきたりな反応である。
これらは生殖の能力や可能性の損失を知らせる出来事であり、人類の祖先の生活環境においても存在した。
抑うつ気分は、以前の(繁殖的に不成功であった)方法や行動の向きを変えるという意味で適応反応とみなすことができる。
抑うつ気分はインフルエンザのような病気の最中には一般的である。
身体活動を制限することによって回復を助ける進化した機構であると論じられてきた冬の季節に生じる低水準の抑うつ、あるいは季節性情動障害は、過去において食物が乏しい期間の身体活動を制限することへの適応であるとも考えられる。
もはや食物の入手可能性は天候に左右されないが、冬の季節に落ち込んだ気分を体験することは、人類が保ってきた本能であると論じている。
●ICD-10における気分障害
以下のように小分類される。
・躁病エピソード
・双極性障害
・うつ病エピソード
・反復性うつ病性障害
・持続性気分(感情)障害
・その他の気分(感情)障害
・詳細不明の気分(感情)障害
●DSM-IVにおける気分障害
双極性障害 - いわゆる「躁うつ病」である。
I型双極性障害、II型双極性障害、気分循環性障害、特定不能の双極性障害の4つに分けられる。
うつ病性障害 - 大うつ病性障害、気分変調性障害、特定不能のうつ病性障害、抑うつ関連症候群の4つに細分化される。
いわゆる「うつ病」は大うつ病性障害に含まれる(そのため、うつ病のことを「大うつ病」と呼ぶことがあるが、重症なうつ病という意味ではない)。
一般身体疾患を示すことによる気分障害
特定不能の気分障害