2014年06月12日

抗うつ薬によるうつ病の治療(3)

●●●抗うつ薬によるうつ病の治療(3)


精神疾患治療薬(7)「抗うつ薬(2)」三環系抗うつ薬


三環系抗うつ薬(さんかんけいこううつやく、英: Tricyclic Antidepressants, TCA)は、抗うつ薬の種類の一つ。

名称は、構造中にベンゼン環を両端に含む環状構造が3つあることを共通に特徴とする事に由来する。

第1世代、第2世代抗うつ薬とも分類される。

三環系抗うつ薬はノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質に関与する神経細胞受容体に作用し、遊離するノルアドレナリン、セロトニンを増やす(正確には神経細胞による再取り込みを阻害する)働きをする。

また、臨床効果が現れるのに飲み始めてから1〜2週間はかかるため、そのことに留意して服用する必要がある。

一般に、選択的作用が比較的低い。

副作用(主に口渇、便秘、排尿困難など)を伴う場合がある。

また、この排尿困難の副作用を逆手に取り、夜尿症の治療に三環系抗うつ薬を用いるケースもある。

他の抗うつ薬の分類として、四環系抗うつ薬(第2世代)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI、第3世代)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI、第4世代)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) などがある。

これらは副作用は少ないものの、薬効は低くなる傾向にある(セロトニン選択性が高くなるかわりに抗ヒスタミン作用が低下し、不眠や鎮静への作用が減るなど)。

近年、これら以外の薬理作用を示す抗うつ剤(トリアゾロピリジン系など)も登場している。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある



●第1世代

塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)

塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)

塩酸クロミプラミン (アナフラニール)

マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)

塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)



●第2世代

アモキサピン (アモキサン)

塩酸ドスレピン (プロチアデン)

塩酸ロフェプラミン (アンプリット)



●アミトリプチリン

アミトリプチリン(Amitriptyline)は、抗うつ薬、睡眠導入剤として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C20H23N。水、エタノール、酢酸に溶けやすくジエチルエーテルに溶けにくい。苦く麻痺性がある。

脳内においてノルエピネフリン及びセロトニンの再取り込みを抑制し、シナプス領域のモノアミンが増量することにより、抗うつ作用を示す。

三環系抗うつ薬の一種で、アミトリプチリン塩酸塩は、日医工よりトリプタノールR、山之内製薬(現在は、藤沢薬品工業を吸収合併したためアステラス製薬に改称)からラントロンR、沢井製薬からノーマルンRという商品名で発売されている。うつ病・うつ状態、不眠症、夜尿症の治療薬に使用される。適応症ではないが線維筋痛症にも用いられることがある。

トリプタノールについては後発医薬品が発売されているが、ラントロンおよびノーマルンについては、トリプタノールとは一部成分が異なることから、先発薬扱いとされており、この2社(アステラスのラントロン、沢井のノーマルン)に関する後発薬は特許期限が到達していないことから発売されていない。


抗コリン作用が強く、口渇・便秘・めまい・眠気・排尿障害などの三環系抗うつ薬にありがちな副作用が強く現れやすい。

ただ、効果も高いとされているので、他の抗うつ薬で思わしい効果が出ない場合に処方されやすい。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療に使用される。

アミトリプチリンは、うつ病・不安障害・注意欠陥多動性障害・偏頭痛の予防・摂食障害・双極性障害・ポスト神経痛・不眠症などに用いられる。

アミトリプチリンの断薬は徐々に行う必要があり、それは全体で3ヶ月を超えてはいけない。(It should be gradually withdrawn at the end of the course, which overall should be of no more than three months)

ランダム化比較試験において、有痛性糖尿病性神経障害に対し、アミトリプチリン、デュロキセチンおよびプレガバリンの三者は同等の効果がみられた。

抗うつ作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、脳内におけるノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

アミトリプチリンは、ラット脳においてノルアドレナリンの再取り込み、およびマウス脳切片でのセロトニンの再取り込みを抑制することが確認されている。

また、レセルピン及びテトラベナジンに対する拮抗作用があり、アミトリプチリンはマウスにおいて、レセルピンによる体温降下、およびテトラベナジンによる鎮静作用を抑制する。

加えて、麻酔イヌにおけるノルアドレナリンの昇圧反応を、アミトリプチリンは増強する



●イミプラミン

イミプラミン (imipramine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。分子式は C19H24N2。

塩酸塩は無臭で水に溶けやすい。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態、夜尿症の治療に用いられる。

イミプラミン塩酸塩は、アルフレッサファーマからトフラニール、田辺三菱製薬からイミドールなどの商品名で販売されている。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

CYP1A2による脱メチル化を受け、活性代謝物のデシプラミンとなる。




●クロミプラミン

クロミプラミン(clomipramine)は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H23ClN2。

酢酸に極めて溶けやすく、酢酸エチル、ジエチルエーテルに溶けにくい。

塩酸塩は白色または微黄色結晶。融点192?196℃。

1960年代にスイスのガイギー社(現・ノバルティス)によって開発された。

脳内のセロトニンおよびノルアドレナリンの神経終末への取り込みを阻害する。

三環系抗うつ薬の一種で、アルフレッサファーマから塩酸塩が「アナフラニール」という商品名で発売されている。

うつ病・うつ状態、強迫性障害、夜尿症、不眠症の治療薬に使用される。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療薬として使用される。




●ノルトリプチリン

ノルトリプチリン (nortriptyline) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H21N。

CAS登録番号 は [72-69-5]。

無臭で水に不溶。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態などの治療に用いられる。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

塩酸塩が、大日本住友製薬からノリトレンという商品名で販売されている。

作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

ラット脳シナプトゾームにおいては、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す (in vitro)。

また、レセルピンによる体温下降作用に対し抑制作用を示す (マウス、腹腔内投与)。

二重盲検比較試験および一般臨床試験における有効性についての評価症例数は508例であり、 精神科領域におけるうつ病およびうつ状態疾患に対し、有効以上が52% (262/508)、やや有効以上が73% (372/508) であった。




●アモキサピン

アモキサピン (Amoxapine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C17H16ClN3O、CAS登録番号は [14028-44-5] で、白色または淡黄白色の結晶。無味で、無臭または特異臭。水にはほとんど不溶。

日本ではワイス(現ファイザー)製造販売元、武田薬品販売でアモキサンの商品名で唯一販売されている。

特許は切れているが、ジェネリックは発売されていない。

脳内神経末端へのノルアドレナリン、セロトニンの再取り込み阻害作用を有すが、活性代謝物である7-hydroxy体は強力なドパミン2受容体遮断作用をもつ。

この代謝物の作用により、抗精神病薬に類似した錐体外路症状(EPS)や悪性症候群が現れることがある。

第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。

うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症などの治療に用いられる。

従来の三環系抗うつ剤に対し、妄想性うつ病に効果発現が早いとされるが、一般的に効果の発現には2~3週間かかるとされる。

抗うつ作用はSSRIやSNRIと比較して強力とされるが、すぐに効果が現れないからといって服用を中止することなく、服用を継続したうえで治療効果について医師と相談していくべきである。また突然の服用中止は重大な副作用を誘発する危険性があるため、薬剤師による服薬指導を遵守すべきである。



以上

posted by ホーライ at 01:32| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月10日

うつ病の治療の概要

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法 


うつ病は、この記事では大うつ病として知られる精神疾患を指す。

患者は、通常外来患者として評価・管理し、患者が自分自身や他人に危険をもたらすと考えられる場合のみ精神福祉部門に入院させる。

もっともうつ病で共通する治療は、休養・心理療法・薬物療法・電気ショック療法(重度の場合)である。




●うつ病の治療の概要

抗うつ薬が普及する前、アメリカ国立精神衛生研究所(英語版)(NIMH)は、うつ病は自然回復し、再発は滅多にない、と公式に述べていた。

1964年、NIMHのジョナサン・コール(Jonathan Cole)は「うつ病は、全体的に、治療の有無にかかわらず、最終的には回復する予後が最良な精神状態の一つです。ほとんどのうつ病は治療しなくても長期的には回復します」と述べている。

また、NIMHの専門家たちは、抗うつ薬が回復までの時間短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率の上昇には役立たないと考えている。

その理由について、1974年、NIMHのうつ病部門長であるディーン・シュイラー(Dean Schuyler)は、ほとんどのうつ病は「特別な治療をしなくても事実上完治するという経過をたどります」と説明している。

数ヶ月以内の自然回復率が50%を越えるため、各種治療法の有効性の判断は難しい。




●うつ病の薬物療法

抗うつ薬

1999年のガイドラインでは、最も効果のある薬物治療を見つけるため、薬の種類と量は頻繁に調整すべきであり、違った抗うつ薬の組み合わせ、別種の薬物を試すことが求められ、最初の薬物への反応率は50%程度と低い、とされる。

抗うつ薬は統計的にプラセボよりも優れているが、しかし全体的な効果は低から中程度である。

多くの場合、国立健康臨床研究所による臨床有意基準を満たせない。

とりわけ、中程度のうつには効用は非常に小さいが、非常に深刻なうつの場合臨床的有意性は上がっている。





●うつ病の睡眠衛生

うつ病は一般的に睡眠不足(入眠困難、早朝覚醒、日中の一般的な倦怠感)に関連付けられている。

抑うつと睡眠不足の2つの相互作用により症状を悪化させる。

良い睡眠衛生によってこの悪循環を断ち切ることが重要な助けとなる。

それには標準就寝時間の確保、カフェイン等の覚醒物質を絶つ、睡眠時無呼吸のような外乱要素の治療などがある。

皮肉にも、睡眠短縮(断眠療法など)はうつ病の一時的な治療である。

断眠療法は効果が持続しにくく、その場合、薬物療法や光療法を併用する。



●うつ病の高照度光照射療法

全米精神科医協会による高照度光照射療法についてのメタアナリシス調査では、季節性情動障害と非季節性情動障害の両方においてプラセボよりも効果が確認され、効果は標準の抗うつ薬治療と類似であった。

非季節性情動障害では、標準の抗うつ薬治療に追加で光療法を行うことは効果的でなかった(not effective.)



●うつ病の鍼治療

2004年のコクランレビューでは、低い品質のエビデンスベースだが、鍼治療がうつ病の治療に効果があるかどうかのエビデンスはinsufficientと結論付けている。

臨床試験では、鍼灸の効果はアミトリプチリンと同等の効果が示されている。

加えて、とりわけ電気鍼では更に効果があり、うつ病患者の 3-methyl-4-hydroxy-phenylglycol (中央神経伝達物質ノルエピネフリンの主な代謝物) の減少をもたらす。

一方で、デキサメタゾン抑制試験では、アミトリプチリンはその抑制では更に効果があった。

鍼は体内のエンドルフィン生産レベルを引き上げることが証明されている。




●うつ病の冷水治療

Nikolai Shevchukによる研究では、冷たいシャワーを浴びることはうつの治療を助ける効果があると主張している。

氏は冷たいシャワーは脳の主要なノルエピネフリン元である locus ceruleus や blue spot を刺激するという生物学的説を主張している。

またβ-エンドルフィンのレベルに影響するとしている。



●うつ病の治療に使われる漢方薬

漢方薬では、柴胡加竜骨牡蛎湯・半夏厚朴湯・加味帰脾湯(焦燥感の強い場合は悪化の恐れあり注意)・加味逍遙散が主に用いられる。

治療有効例では約2週間ほどで効果を示すことが多いが、効果のない場合でも4-6週間の経過を見た方がよい場合もある。

西洋薬から漢方薬への切り替えは困難なことが多く、少なくとも急激な断薬はしてはならない。

エビデンスレベルは高くない。



●うつ病に対するトリプトファン

アミノ酸であるトリプトファンは、セロトニン・メラトニンといったモノアミン神経伝達物質などの前駆体として重要である。

コクラン共同計画のメタアナリシスではトリプトファンについての108の臨床試験のうち2つの試験しか十分な精度を有していないことを明らかにした。

その結果、トリプトファンの十分な効果の証拠が認められないのでうつ病治療に推奨できないと結論付けた。

米国ではトリプトファンを含むサプリメントは販売禁止である。

posted by ホーライ at 00:16| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月05日

精神疾患治療薬(6)「抗うつ薬(1)」

●●●抗うつ薬によるうつ病の治療(1)

抗うつ薬(こううつやく、antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害に用いられる精神科の薬である。

不安障害のうち全般性不安障害(GAD)やパニック障害、強迫性障害にも処方される。


投薬による結果がよくないため非推奨であるものに、摂食障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)がある。


添付文書にて適応が認められていない慢性痛、月経困難症などの適用外用途への処方が行われる場合がある。

ほかにADHD、薬物乱用による抑うつ、いびき、偏頭痛の場合もある。

適用外用途の処方には議論がある。

場合によっては、アメリカでは司法省による制裁が行われている。



多くの抗うつ薬は、効果の発現が2〜6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。

しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある。

日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している。



抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は一次選択にはなっていない。

また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる。

2010年には、精神科領域の4学会により、医師に対して不適切な多剤大量処方に対する注意喚起がなされている。



抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性機能障害など様々な#副作用が併存する可能性がある。

2型糖尿病の危険性を増加させる。

さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある。



急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症状に酷似した離脱症状を生じさせる可能性がある。

離脱症状は、少なくとも2〜3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1〜2週間でおさまる。

離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある。


製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した。

その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた。



●主な抗うつ薬

*選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ジェイゾロフト)、シタロプラム(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。

三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が若干少ないとされる。

急に服薬をやめるとSSRI離脱症候群が発現する恐れがある。

強迫性障害、社交不安障害、パニック障害に適応がある。

躁うつ病には禁忌である。中等度から重症の大うつ病では第一選択となる。

効果発現に2週間程度必要である。

投与初期(1?2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。

セロトニン受容体に対する急性刺激と考えられている。

少量ではセロトニン選択性であるが、高用量となるとノルアドレナリンの再取り込みも阻害するようになる。




*セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

第四世代の抗うつ薬と言われるもので、ミルナシプラン(トレドミン)、ヴェンラファキシン(エフェクサー)(日本では開発中止)、デュロキセチン(サインバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。

SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。

TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルアドレナリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。

頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。




*三環系抗うつ薬(TCA)

もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。

セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。

第1世代としては塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)、塩酸クロミプラミン (アナフラニール)、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)。

第2世代としてはアモキサピン (アモキサン)、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。

第3世代としての選択的セロトニン再取り込み阻害薬が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。

その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70?80%と非常に高いことが理由にあげられる。

TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。

抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。

特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。

鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。

起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。

またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。

危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある。


・アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)抗コリン作用、鎮静作用が最も強いTCAである。

若年者で入眠障害がある患者で好まれる傾向がある。

就寝前に多く飲ませることが多い。


・イミプラミン (イミドール、トフラニール)

最初に作られたTCAである。

アミトリプチリン よりも抗コリン作用、鎮静作用が弱いがノルトリプチリンよりは強い。

起立性低血圧も比較的少ない。

パニック障害に効果があることもある。


・クロミプラミン (アナフラニール)

セロトニンの再取り込み阻害作用が強い。

痙攣がおこる頻度が他のTCAよりも強いため、抗けいれん作用の強い抗不安薬を併用することが多い。

注射薬があるため、うつ病による不穏、焦燥に対して3時間程度で25mgを点滴静注することもある。


・ノルトリプチリン(ノリトレン)

セロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込みを強く抑制する。

焦燥感を起こすことが少ない。有効治療量の幅が狭く処方が難しい。


・アモキサピン (アモキサン)

第二世代のTCAであり、副作用、特に抗コリン作用が軽減されている。

他のTCAよりも効果発現が早いといわれている。



*四環系抗うつ薬

ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。

抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。

塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。


・ミアンセリン(テトラミド)

α2受容体を遮断することでノルアドレナリンの放出を促進する。

抗ヒスタミン作用が強い薬物である。

心毒性がないため非常に使いやすい抗うつ薬である。

呼吸抑制と鎮静という副作用がある。

SSRIとの併用による増強効果が報告されている数少ない薬物である。


・セチプチリン(テシプール)

ミアンセリンを改良した薬物。

中枢性セロトニン作用をもつ。

鎮静の副作用はまれ。


・トリアゾロピリジン系抗うつ薬(SARI)

塩酸トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)が有名である。

5-HTの取り込みを阻害する薬物である。


・モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。

パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。



・ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。

2009年9月7日から使用が開始された。

これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる。

これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。

すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。

また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。

・ミルタザピン - 2009年9月7日に国内での処方が解禁された。

開発元のN.V.オルガノンと統合したシェリング・プラウ(現在は合併してMSD)からレメロン、Meiji Seika ファルマからリフレックスとして発売されている。

2009年9月現在、90カ国で使用されている。

うつ病患者を対象としたミルタザビンの日本での臨床試験(プラセボ対照比較試験)では、投与1週目から有意に高い改善効果が示されており、長期投与試験では、52週まで抗うつ効果が維持されることが確認されている。

こうした試験結果から、従来薬に比べて、効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されている。

ただし国内の臨床試験で、82.7%に何らかの副作用が認められたことに留意する必要がある。

高頻度に認められたのは、傾眠(50%)、口渇(20.6%)、倦怠感(15.2%)、便秘(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(12.4%)などであり、重大な副作用としては、セロトニン症候群、無顆粒球症、好中球減少症、痙攣、肝機能障害、黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が報告されている。



*ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)

日本国内においては未承認である。

塩酸ブプロピオン(商品名ウェルブトリン)が知られている。




*選択的セロトニン再取り込み促進薬(SSRE)

日本国内においては未承認である。

チアネプチン(en:Tianeptine)が知られている。


(続く)

タグ:抗うつ薬
posted by ホーライ at 03:39| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月01日

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法 「認知療法」

認知療法(Cognitive Therapy)とは、アーロン・ベック(認知療法、もしくは認知行動療法)やアルバート・エリス(論理療法)やドナルド・マイケンバウム(自己教示訓練)によって、それぞれ独立に始められた心理療法の総称である。

ベックとエリスは、それぞれ精神分析学を学んだ精神科医と心理学者であり、マイケンバウムは行動療法を行っていた心理学者である。

彼等の共通点は、外的な出来事が感情や身体反応を直接引き起こすのではなく、そうした出来事をどのように認知するかによって身体反応や感情、行動が異なってくるとし、精神疾患やそれに対する心理療法における「認知」の役割を重視した点にある。



●認知とは

認知療法における認知とはたいていの場合「言語化された思考」を指す。

これは認知心理学の認知と必ずしも一致しない臨床上の緩やかな概念である。

本稿では便宜的に単に認知と書いた場合、認知療法としての認知を指すこととする。



人間は世界のありのままを観ているのではなく、その一部を抽出し、解釈し、帰属させているなど「認知」しているのであって、その認知には必ず個人差があり、客観的な世界そのものとは異なっている。

それゆえ、誤解や思い込み、拡大解釈などが含まれた自らに不都合な認知をしてしまい、結果として様々な嫌な気分(怒り、悲しみ、混乱、抑うつ)が生じてくると仮定している。

認知療法では不快な気分や不適切な行動の背景として「考え方」つまり「認知」に着目し、この不都合な認知⇒気分の流れを紙などに書いて把握すること、また、それらに別の観点を見つけるべく紙に書いて修正を試みる事が根幹である。

そのために根拠を問うたりする。

それらの気分を生じさせる拡大解釈やなどをアーロン・ベックに学んだデビッド・D. バーンズ(英語版)の1989年の著作The Feeling Good Handbookでは "Cognitive distortion"(認知の歪み)いう。




●認知療法

認知療法では認知の歪みに対し、反証や多面的解釈を生み出す手助けをする。

このように自らが認知を修正することによって、身体反応が軽減したり、苦しみの少ない方向に情動が変化したり、より建設的な方向に行動出来るようになったりするとの説がある。

認知療法には、クライエントの「認知」に働きかける数多くの技法が存在する。

ネガティブな思考の記録(いわゆるコラム法)、思考の証拠さがし、責任帰属の見直し、損得比較表(元々、フランクリンの表と呼ばれるもの)、認知的歪みの同定、誇張的表現や逆説の利用、症状や苦痛の程度についてスケール(尺度)で表現、イメージの置き換え、認知的リハーサル、自己教示法、思考中断法、気晴らしの利用、直接的な論争……。

他にも、活動スケジュールを記録する等、行動療法で使われてきた多くの技法についてもベックもエリスも当初から積極的に自らの療法に取り入れていった。



●認知療法の課題

一般的に鬱病の治療として薬物療法とは別のアプローチとして利用されている。

但しコラム法は自動思考と分析という時間と体力、気力を多大に必要としている。

それ故に鬱病の急性期としては適切な治療方法として利用しにくい。

コラム式は思い込みの自己否定思考している場合は有効だが自動思考で自分の行動に正当性があり自分を責めないケースでは使えない。



●認知療法による治療

治療は一般的に医師や心理カウンセラーのもとで行われるが、最近では、認知療法を対話形式で行うことができる書籍も出版されている。

書籍やメディアでもてはやされるほどには、治療者がいないのが現状である。



●認知療法の効果

うつ病や不安障害に科学的に証明された確実な効果が認められている。

他の治療法より短い時間で効果が大きいことが証明されている。

アメリカの保険会社やイギリス政府は治療効果を承認している。



●認知療法の効果に関する議論

認知行動療法(CBT)に関する概念や効果研究の方法について、諸問題が提起されています。

1. CBTの基礎概念では、マイナス思考がうつ病の原因であるとされています。

しかし、医学・精神医学の中では、症状が病気の原因になっているのはこれが 唯一の例です。 

また、「私はどうでもいい人間」や「私はだめな人間」のようなマイナス思考が、うつ病の根底にある憂うつ気分の二次的な反応という解釈もできます。

希望や支えを与えると患者は楽になりますが、うつ病そのものは治療されません。

また、うつ病の臨床試験の場合、プラセボ(薬理効果をもたらす成分が入っていない偽薬)の投与群でも、うつ症状がある程度改善することがよく知られています。

そのため、効果的な薬剤を服用している希望や期待によってマイナス思考が改善したと思われ、CBT効果と同じ現象ではないかと示唆されます。



2. CBTの効果研究の方法が、ダブルブラインド(二重盲検)でないことが問題とされています。

患者と治療者の両方が治療内容がCBTであることを明確に認識 している場合(ダブルブラインドでない)、それによってバイアス(希望による期待)が生じる。

そのため、明らかにCBTでない対象群より、よくなりたい患者の症状の方がある程度和らげられ、結果として「CBTがより効果的だ」という誤った結論になってしまいます。

また、研究の評価者は治療内容を認識していないが、患者と治療者の両者が認識しているシングルブラインド(単盲検)の効果研究方法は妥当性に欠けてしまいます。

2010年に行った過去の 研究をまとめた調査によると、治療内容を認識している研究とある程度しか認識していない研究を比較すると、患者や治療者が治療内容を認識すればするほど、 CBTが優位な結果となりました。

これは、バイアスが原因ではないかと強く示唆されています。


逆に、患者や治療者が治療内容を認識しなければしないほど、うつ病に対する効果がほとんどなくなります。




3. 軽症うつ病の患者が重症患者より多く、病気なのか、または性格やストレスによるうつ気分なのかが区別しにくくなります。

軽症うつの患者は希望や期待に作用されやすく、上記のように症状がある程度容易に和らげられます。

また、このような患者は重症のうつ病がはっきりしている患者と比べて効果研究に参加しやすく、客観的な結果が得られにくくなります。




結論:

1. CBTによって心理的な機能(主にマイナス思考による不快感)がある程度まで改善できる。

2. CBTはうつ病やその他精神科疾患の治療として、その効果が医学的に証明されていない。

その上、CBT効果研究のダブルブラインド(二重盲検性)を調査した研究によると、うつ病に対するCBTの効果は極めて低い。

3. CBTは、中途度より重いうつ病に対しては単独治療にすべきでない。

4.主に二重盲検効果研究の実施は不可能なため、CBTの効果研究は「根拠に基づいた医療」(Evidence-Based Medicine)とはいえず、これまでのデーターは、「統制されていない研究結果」にすぎない。

なお、抗うつ薬の二重盲検試験にも、副作用の有無によって医師と被験者に抗うつ薬と偽薬のどちらを投与したか見破られるという問題がある。

また、医薬品の単盲検試験では被験者に割付群を知らせないが、心理療法のランダム化比較試験(RCT)における単盲検では効果の評価者に割付群を知らせないという違いがある。

心理療法のRCTの問題を克服する手法も開発されており、評価者がブラインド化された研究では効果量が50〜100%高く出ることもない。

posted by ホーライ at 03:52| 北京 ☔| 認知療法による治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『図解 やさしくわかる認知行動療法』

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。


■こころの病気や日常の落ち込んだ気分に効果的な心理療法

うつ病や不安障害などのこころの病気の治療には、薬物療法が多く行われていますが、薬で一時的に症状を改善できても、再びその症状に悩まされる人が少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んで行われているのが、認知行動療法です。

考え方のクセを見直し、ものごとの捉え方を変えて行動してみることで、つらい気分の原因を解消していきます。

本書では、認知行動療法の基本的な考え方と治療の流れをわかりやすく解説しました。




■自分で取り組める実践法を紹介

認知行動療法は、病気ではないけれど、こころのつらさを感じている人、ストレスに悩む人にも役立つ方法です。

本書では自分でできる実践法を詳しく紹介しています。気軽に取り組めるよう、実際の治療で使用されるものをアレンジしたワークシートを掲載しました。



■認知行動療法の様々な種類を症状別に紹介

病気や症状にあわせて行われる認知行動療法のバリエーションを紹介しているので、専門家のもとで認知行動療法を受けてみたいと考えている人、認知行動療法を専門的に学びたいと思っている人にも役立つ一冊です。

【目次】

第1章 認知行動療法とは―考えかたと治療の流れ

第2章 【自分でおこなう認知行動療法1】思考パターンを変えてみよう

第3章 【自分でおこなう認知行動療法2】行動を変えてみよう

第4章 【自分でおこなう認知行動療法3】考え方のクセを見直そう

第5章 症状にあわせておこなう、その他の認知行動療法

第6章 疾患別・より効果的なアプローチ法


うつ病で心療内科に行ったときにカウンセラーから勧められて買いました。

とても読みやすく、分かりやすかったです。

自分で取組みやすいものだけしかやりませんでしたが、おかげで精神的に落ち着きました。

リラックス方法なども書いているのでうつ病とまで行かなくてもストレスが多い人にもおすすめです。

認知行動療法をすることによって自分を第三者目線で客観的に振り返ることができるようになりました。

いろんな方法が紹介されているので1つでも自分に合う方法が見つかると良いと思います。


この本には、図が沢山挿入されている為、言葉がすんなりと頭に入ってくる。

克服したいけど、怖くて出来ない。一回、挑戦したけど失敗したからもう二度とイヤだ!

そんな気持ちになった人にもゆっくりでいいよ、やってみよ!と、背中を押してくれる本です。

私は、実際パニックで日常生活に支障をきたしている所もありますが克服したコトも沢山あります。また、克服して生きてる喜びを感じれたら思います。



カウンセラーに認知行動療法をすすめられたので購入しました。

○認知行動療法とは、考えかたと治療の流れ。

○自分で行う認知行動療法、'@思考パターンを変える。'A行動を変える。'B考え方のクセを見直す。

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上記のような内容が図解とともに分かり易く書いてあります。

認知(考え方のクセ)を変えると、つらい気持ちが楽になる。日常の落ち込んだ気分にも、鬱病や不安障害にも効く、とのことです。おすすめです。









posted by ホーライ at 03:41| 北京 ☔| 認知療法の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

抗うつ薬によるうつ病の治療(3)

三環系抗うつ薬(さんかんけいこううつやく、英: Tricyclic Antidepressants, TCA)は、抗うつ薬の種類の一つ。

名称は、構造中にベンゼン環を両端に含む環状構造が3つあることを共通に特徴とする事に由来する。

第1世代、第2世代抗うつ薬とも分類される。

三環系抗うつ薬はノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質に関与する神経細胞受容体に作用し、遊離するノルアドレナリン、セロトニンを増やす(正確には神経細胞による再取り込みを阻害する)働きをする。

また、臨床効果が現れるのに飲み始めてから1〜2週間はかかるため、そのことに留意して服用する必要がある。

一般に、選択的作用が比較的低い。

副作用(主に口渇、便秘、排尿困難など)を伴う場合がある。

また、この排尿困難の副作用を逆手に取り、夜尿症の治療に三環系抗うつ薬を用いるケースもある。

他の抗うつ薬の分類として、四環系抗うつ薬(第2世代)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI、第3世代)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI、第4世代)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) などがある。

これらは副作用は少ないものの、薬効は低くなる傾向にある(セロトニン選択性が高くなるかわりに抗ヒスタミン作用が低下し、不眠や鎮静への作用が減るなど)。

近年、これら以外の薬理作用を示す抗うつ剤(トリアゾロピリジン系など)も登場している。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある



●第1世代

塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)

塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)

塩酸クロミプラミン (アナフラニール)

マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)

塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)



●第2世代

アモキサピン (アモキサン)

塩酸ドスレピン (プロチアデン)

塩酸ロフェプラミン (アンプリット)



●アミトリプチリン

アミトリプチリン(Amitriptyline)は、抗うつ薬、睡眠導入剤として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C20H23N。水、エタノール、酢酸に溶けやすくジエチルエーテルに溶けにくい。苦く麻痺性がある。

脳内においてノルエピネフリン及びセロトニンの再取り込みを抑制し、シナプス領域のモノアミンが増量することにより、抗うつ作用を示す。

三環系抗うつ薬の一種で、アミトリプチリン塩酸塩は、日医工よりトリプタノールR、山之内製薬(現在は、藤沢薬品工業を吸収合併したためアステラス製薬に改称)からラントロンR、沢井製薬からノーマルンRという商品名で発売されている。うつ病・うつ状態、不眠症、夜尿症の治療薬に使用される。適応症ではないが線維筋痛症にも用いられることがある。

トリプタノールについては後発医薬品が発売されているが、ラントロンおよびノーマルンについては、トリプタノールとは一部成分が異なることから、先発薬扱いとされており、この2社(アステラスのラントロン、沢井のノーマルン)に関する後発薬は特許期限が到達していないことから発売されていない。


抗コリン作用が強く、口渇・便秘・めまい・眠気・排尿障害などの三環系抗うつ薬にありがちな副作用が強く現れやすい。

ただ、効果も高いとされているので、他の抗うつ薬で思わしい効果が出ない場合に処方されやすい。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療に使用される。

アミトリプチリンは、うつ病・不安障害・注意欠陥多動性障害・偏頭痛の予防・摂食障害・双極性障害・ポスト神経痛・不眠症などに用いられる。

アミトリプチリンの断薬は徐々に行う必要があり、それは全体で3ヶ月を超えてはいけない。(It should be gradually withdrawn at the end of the course, which overall should be of no more than three months)

ランダム化比較試験において、有痛性糖尿病性神経障害に対し、アミトリプチリン、デュロキセチンおよびプレガバリンの三者は同等の効果がみられた。

抗うつ作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、脳内におけるノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

アミトリプチリンは、ラット脳においてノルアドレナリンの再取り込み、およびマウス脳切片でのセロトニンの再取り込みを抑制することが確認されている。

また、レセルピン及びテトラベナジンに対する拮抗作用があり、アミトリプチリンはマウスにおいて、レセルピンによる体温降下、およびテトラベナジンによる鎮静作用を抑制する。

加えて、麻酔イヌにおけるノルアドレナリンの昇圧反応を、アミトリプチリンは増強する



●イミプラミン

イミプラミン (imipramine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。分子式は C19H24N2。

塩酸塩は無臭で水に溶けやすい。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態、夜尿症の治療に用いられる。

イミプラミン塩酸塩は、アルフレッサファーマからトフラニール、田辺三菱製薬からイミドールなどの商品名で販売されている。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

CYP1A2による脱メチル化を受け、活性代謝物のデシプラミンとなる。




●クロミプラミン

クロミプラミン(clomipramine)は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H23ClN2。

酢酸に極めて溶けやすく、酢酸エチル、ジエチルエーテルに溶けにくい。

塩酸塩は白色または微黄色結晶。融点192?196℃。

1960年代にスイスのガイギー社(現・ノバルティス)によって開発された。

脳内のセロトニンおよびノルアドレナリンの神経終末への取り込みを阻害する。

三環系抗うつ薬の一種で、アルフレッサファーマから塩酸塩が「アナフラニール」という商品名で発売されている。

うつ病・うつ状態、強迫性障害、夜尿症、不眠症の治療薬に使用される。

獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療薬として使用される。




●ノルトリプチリン

ノルトリプチリン (nortriptyline) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C19H21N。

CAS登録番号 は [72-69-5]。

無臭で水に不溶。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態などの治療に用いられる。

脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。

塩酸塩が、大日本住友製薬からノリトレンという商品名で販売されている。

作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すと考えられている。

ラット脳シナプトゾームにおいては、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す (in vitro)。

また、レセルピンによる体温下降作用に対し抑制作用を示す (マウス、腹腔内投与)。

二重盲検比較試験および一般臨床試験における有効性についての評価症例数は508例であり、 精神科領域におけるうつ病およびうつ状態疾患に対し、有効以上が52% (262/508)、やや有効以上が73% (372/508) であった。




●アモキサピン

アモキサピン (Amoxapine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。

分子式は C17H16ClN3O、CAS登録番号は [14028-44-5] で、白色または淡黄白色の結晶。無味で、無臭または特異臭。水にはほとんど不溶。

日本ではワイス(現ファイザー)製造販売元、武田薬品販売でアモキサンの商品名で唯一販売されている。

特許は切れているが、ジェネリックは発売されていない。

脳内神経末端へのノルアドレナリン、セロトニンの再取り込み阻害作用を有すが、活性代謝物である7-hydroxy体は強力なドパミン2受容体遮断作用をもつ。

この代謝物の作用により、抗精神病薬に類似した錐体外路症状(EPS)や悪性症候群が現れることがある。

第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。

うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症などの治療に用いられる。

従来の三環系抗うつ剤に対し、妄想性うつ病に効果発現が早いとされるが、一般的に効果の発現には2~3週間かかるとされる。

抗うつ作用はSSRIやSNRIと比較して強力とされるが、すぐに効果が現れないからといって服用を中止することなく、服用を継続したうえで治療効果について医師と相談していくべきである。また突然の服用中止は重大な副作用を誘発する危険性があるため、薬剤師による服薬指導を遵守すべきである。


posted by ホーライ at 03:30| 北京 ☔| 抗うつ薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

抗うつ薬によるうつ病の治療(2)

●治療効果

抗うつ薬の効果は、副作用に関連するリスクを正当化するために偽薬をしのぐべきである。

うつ病の重症度の評価にハミルトンうつ病評価尺度(英語版)(HAM-D)が、しばしば用いられる。

HAM-Dの17項目のアンケートからの最大スコアは52点である;高いスコアがより重度のうつ病である。

何が薬に対する十分な反応に相当するのかについては十分に確立されていないが、寛解あるいはすべてのうつ症状の実際の除去が目標であり、しかしながら寛解率はまれにしか公表されていない。

症状軽減の割合は、抗うつ薬による46-54%に対して偽薬では31-38%である。



234の研究から、第二世代の13種の抗うつ薬(ブプロピオン、シタロプラム、デスベンラファキシン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン(日本では未認可)、フルボキサミン、ミルタザピン、ネファゾドン、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン(日本では開発中止))にて、年齢、性別、民族、併発疾患を考慮しても、うつ病の急性期、継続期、維持期の治療に対して、ほかのものを上回る臨床的に意味のある優越は発見されなかった。

うつ病の薬物治療の有効性について、アメリカ国立精神衛生研究所によって委託されこれまでに最大規模かつ高額な費用がかかった研究、STAR*D (Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression) が実施された。

その結果の概要は以下である。

STAR*Dの各過程は14週間ごとであり、従って14週後における寛解率や脱落率を表す。

治療の最初の過程の後、2,876人の参加者のうち、27.5%がHAM-Dの点数が7点以下となり寛解に達した。

21%が脱落した。


次の治療の過程の後、残り1,439人の参加者のうち21-30%が寛解した。

310人の参加者だけが研究の継続に協力的であるか継続可能であった。

薬の切り替えでは約25%の患者が寛解に達した。

3番目の治療の過程の後、残り310人の参加者のうち、17.8%が寛解した。

4番目の治療の過程の後、残り109人の参加者のうち、10.1%が寛解した。

1年後の追跡調査で、1085人の寛解した参加者のうち、93%が再発するかこの研究を脱落した。



この研究で比較されたどの薬の間にも、寛解率、反応率、寛解あるいは反応までの期間に、統計的あるいは意味のある臨床的な違いはない。

ブプロピオン徐放錠、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードサイロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン(日本では開発中止)徐放錠が含まれる。

2008年のランダム化比較試験のレビューは、症状の改善は、SSRIを使用して1週間目の終わりが最高で、いくらかの改善は少なくとも6週間継続したと結論した。


SSRIのフルオキセチン(日本では未認可)、パロキセチン、エスシタロプラムとSNRIデュロキセチンと偽薬では、反応があった場合、偽薬のほうが改善度が緩やかだが、すべてで時間と共に改善していく傾向が見られた。

しかし、抗うつ薬に反応しなかった患者の一部、全体に対する約25%の患者は、HAM-Dスコアが高いままで、8週間では偽薬より著しく高かった。

これは抗うつ薬に反応しない場合、中止すべきことを示唆していると解釈された。


うつ病は類似した症状を呈する異なる病因の病気の集合なので、抗うつ薬の予後が悪いことを示した。

大うつ病性障害の定義は見当違いの可能性がある。

抗うつ薬はうつ病の根本にある原因に効果があるかについて、2002年のレビューは、使用を終了した場合、抗うつ薬がうつ病の再発の危険性を減少させるという根拠がないと結論した。

このレビューの執筆者らは、対人関係療法(IPT)と認知行動療法(CBT)を挙げ、抗うつ薬を心理療法と組み合わせることを提言した。




●副作用

抗うつ薬が効果を表すのは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質に作用するからであるとされている。

しかし、三環系や四環系抗うつ薬では、抗コリン作用、抗α1作用なども併せ持っており、そのために以下のような副作用が生じることがある。

副作用は薬の種類によって細かく異なる為、注意が必要である。

抗コリン作用による口渇、便秘、目のかすみ、排尿困難など

アドレナリンα1受容体遮断作用による低血圧、めまいなど

抗ヒスタミン作用による眠気、体重増加

抗ムスカリン作用による視力調節障害

手足の痙攣・振戦、全身の痺れなど(重症になると一ヶ月ほど痺れが続く場合もある)

服用開始直後の吐き気については、これについては制吐剤(ガスモチンなど)や六君子湯などの併用によって緩和することが可能である。

性欲減退についてはDNRIとの併用で解消できる場合があることが報告されている。


posted by ホーライ at 03:29| 北京 ☔| 抗うつ薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

抗うつ薬によるうつ病の治療(1)

抗うつ薬(こううつやく、antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害に用いられる精神科の薬である。

不安障害のうち全般性不安障害(GAD)やパニック障害、強迫性障害にも処方される。


投薬による結果がよくないため非推奨であるものに、摂食障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)がある。


添付文書にて適応が認められていない慢性痛、月経困難症などの適用外用途への処方が行われる場合がある。

ほかにADHD、薬物乱用による抑うつ、いびき、偏頭痛の場合もある。

適用外用途の処方には議論がある。

場合によっては、アメリカでは司法省による制裁が行われている。



多くの抗うつ薬は、効果の発現が2〜6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。

しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある。

日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している。



抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は一次選択にはなっていない。

また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる。

2010年には、精神科領域の4学会により、医師に対して不適切な多剤大量処方に対する注意喚起がなされている。



抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性機能障害など様々な#副作用が併存する可能性がある。

2型糖尿病の危険性を増加させる。

さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある。



急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症状に酷似した離脱症状を生じさせる可能性がある。

離脱症状は、少なくとも2〜3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1〜2週間でおさまる。

離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある。


製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した。

その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた。



●主な抗うつ薬

*選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ジェイゾロフト)、シタロプラム(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。

三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が若干少ないとされる。

急に服薬をやめるとSSRI離脱症候群が発現する恐れがある。

強迫性障害、社交不安障害、パニック障害に適応がある。

躁うつ病には禁忌である。中等度から重症の大うつ病では第一選択となる。

効果発現に2週間程度必要である。

投与初期(1?2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。

セロトニン受容体に対する急性刺激と考えられている。

少量ではセロトニン選択性であるが、高用量となるとノルアドレナリンの再取り込みも阻害するようになる。




*セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

第四世代の抗うつ薬と言われるもので、ミルナシプラン(トレドミン)、ヴェンラファキシン(エフェクサー)(日本では開発中止)、デュロキセチン(サインバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。

SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。

TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルアドレナリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。

頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。




*三環系抗うつ薬(TCA)

もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。

セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。

第1世代としては塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)、塩酸クロミプラミン (アナフラニール)、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)。

第2世代としてはアモキサピン (アモキサン)、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。

第3世代としての選択的セロトニン再取り込み阻害薬が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。

その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70?80%と非常に高いことが理由にあげられる。

TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。

抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。

特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。

鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。

起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。

またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。

危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。

緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある。


・アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)抗コリン作用、鎮静作用が最も強いTCAである。

若年者で入眠障害がある患者で好まれる傾向がある。

就寝前に多く飲ませることが多い。


・イミプラミン (イミドール、トフラニール)

最初に作られたTCAである。

アミトリプチリン よりも抗コリン作用、鎮静作用が弱いがノルトリプチリンよりは強い。

起立性低血圧も比較的少ない。

パニック障害に効果があることもある。


・クロミプラミン (アナフラニール)

セロトニンの再取り込み阻害作用が強い。

痙攣がおこる頻度が他のTCAよりも強いため、抗けいれん作用の強い抗不安薬を併用することが多い。

注射薬があるため、うつ病による不穏、焦燥に対して3時間程度で25mgを点滴静注することもある。


・ノルトリプチリン(ノリトレン)

セロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込みを強く抑制する。

焦燥感を起こすことが少ない。有効治療量の幅が狭く処方が難しい。


・アモキサピン (アモキサン)

第二世代のTCAであり、副作用、特に抗コリン作用が軽減されている。

他のTCAよりも効果発現が早いといわれている。



*四環系抗うつ薬

ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。

抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。

塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。


・ミアンセリン(テトラミド)

α2受容体を遮断することでノルアドレナリンの放出を促進する。

抗ヒスタミン作用が強い薬物である。

心毒性がないため非常に使いやすい抗うつ薬である。

呼吸抑制と鎮静という副作用がある。

SSRIとの併用による増強効果が報告されている数少ない薬物である。


・セチプチリン(テシプール)

ミアンセリンを改良した薬物。

中枢性セロトニン作用をもつ。

鎮静の副作用はまれ。


・トリアゾロピリジン系抗うつ薬(SARI)

塩酸トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)が有名である。

5-HTの取り込みを阻害する薬物である。


・モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。

パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。



・ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。

2009年9月7日から使用が開始された。

これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる。

これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。

すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。

また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。

・ミルタザピン - 2009年9月7日に国内での処方が解禁された。

開発元のN.V.オルガノンと統合したシェリング・プラウ(現在は合併してMSD)からレメロン、Meiji Seika ファルマからリフレックスとして発売されている。

2009年9月現在、90カ国で使用されている。

うつ病患者を対象としたミルタザビンの日本での臨床試験(プラセボ対照比較試験)では、投与1週目から有意に高い改善効果が示されており、長期投与試験では、52週まで抗うつ効果が維持されることが確認されている。

こうした試験結果から、従来薬に比べて、効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されている。

ただし国内の臨床試験で、82.7%に何らかの副作用が認められたことに留意する必要がある。

高頻度に認められたのは、傾眠(50%)、口渇(20.6%)、倦怠感(15.2%)、便秘(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(12.4%)などであり、重大な副作用としては、セロトニン症候群、無顆粒球症、好中球減少症、痙攣、肝機能障害、黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が報告されている。



*ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)

日本国内においては未承認である。

塩酸ブプロピオン(商品名ウェルブトリン)が知られている。




*選択的セロトニン再取り込み促進薬(SSRE)

日本国内においては未承認である。

チアネプチン(en:Tianeptine)が知られている。

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2014年05月30日

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『はじめての認知療法』

はじめての認知療法 (講談社現代新書) 大野 裕

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『はじめての認知療法』

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。

うつ・不安が軽くなる、こころが晴れるメソッドとは?

第一人者による認知療法入門書が登場!

「うつ状態になると、私たちは、何事も悲観的に考えるようになり、本来の自分の力を発揮できなくなります。

意識しないうちに、悲観的な自分の世界に入り込んでしまっています。

認知療法では、そうした悲観的な自分の世界から少し顔を上げて、現実に目を向けながら新しい考え方ができるように手助けしていきます」──本書より



自分の「こころのクセ」を知る。

気分と行動の悪循環から抜け出す。

呼吸法、睡眠法で身体をリラックスさせる。

―認知療法への待望の入門書。


認知療法を始めて1年半になります。

この間、いろい露な本を読み認知療法についてはだれよりもわかっているつもりでしたが、この本に出会って、改めてわかりました。

一応、入門編なんですけど、その域を超えて、鬱の人も、鬱でない人も読んでためになる本です。

ホントにお勧めです。

私は、アーロン・T・ベック先生、デビット・D・バーンズ先生の本を何回も読んで実践してきましたが、この800円くらいの大野裕先生の本が一番役に立ちました。




日本における「認知療法」の第一人者である大野先生の本です。

うつ病などの精神疾患に対して「認知療法(Cognitive Therapy)」がどのように適用されるのかを分かりやすく解説している、「認知療法」の入門書です。

200頁ほどで簡潔に、具体例を交えて分かりやすく書かれているので、私は、2日間で一気に読み終えてしまいました。

昔、本で読んで共感した「論理療法」に近いものだったので、個人的には素直に受け入れられました。

例えば、

同じ「事実」でも、人によって、そしてそのときの気持ちの状態によって違った形で解釈されることがあり、それに応じて、落ち込んだり不安になったり腹が立ったりという、違った気持ちになっていることがわかります。

自分が見ている「事実」が客観的な「真実」と違うからです。(この考え方は、認知療法においては重要なポイントだと思います…)

とか

問題を絞り込んだ後は、その問題に対してできるだけ多くの解決策を考えてください。

これを「数の法則」と呼びますが、多く考えれば考えるほど、解決につながる方法が含まれる可能性が高くなります。

そのときに、ばかばかしいと思うものも却下せず、とにかく多くの解決法を考えていくことが大事です。

とか



一度自分の頭を問題から解放して自由にすると、しばらくたって思いがけない解決策が頭に浮かぶことがあります。

私たちの頭には、そうした潜在能力があるのです。

といった考え方には、とても共感しました。

最新のビジネス書(洋書)においても、このような考え方が多く取り上げられていますので、精神疾患の治療法としてだけではなく、日常生活においても大いに活用できる考え方なのだと思います。そういった意味で、多くの人に読んでいただきたい本だと思いました。








posted by ホーライ at 00:55| 北京 ☀| うつ病を治すための本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病の治療(5)

■■■■■■ うつ病の治療(5)  ■■■■■■


●日本におけるうつ病治療の現状


日本における現在のうつ病治療の中心は、薬物療法である。

日本うつ病学会では、厚生労働省からの依頼により、抗うつ薬の副作用をはじめとする薬物療法に関する諸問題を専門家の立場から検討し、適正な抗うつ薬使用法を提言するため、学会内に「抗うつ薬の適正使用に関する委員会」を2009年に設立している。


比較的最近、欧米を中心に気分障害に対する精神療法(認知行動療法、対人関係療法、問題解決療法等)や家族心理介入の有効性についてのエビデンスが次々と発表されるようになっており、日本でもデータの蓄積と薬物療法の限界が強調される傾向とがあいまって、必要性が見直されており、2010年の日本うつ病学会の提言では「薬物療法などの生物学的治療法と、精神療法などの心理学的治療法は車の両輪であり、両者がそろって初めて最適な治療となることは論を俟たない」と述べられている。

また、2012年の日本うつ病学会のガイドラインでも「認知行動療法あるいは対人関係療法と薬物療法を併用した場合は薬物療法単独に比べて再発予防効果が高いことが立証されている」と述べている。

また、不安障害、パーソナリティ障害の合併例では薬物療法に加えて精神療法の併用が勧められる。



上記提言によると、日本で心理療法が十分に行われていない理由としては、

1.認知行動療法ができる心理専門職の不足

2.患者数の著しい増加により、一人の患者に十分な時間がかけにくい

3.薬物療法が進歩した結果、患者・医師双方にとって複雑、時に難解で時間のかかる精神療法を行わなくても、薬の服用のみで十分という風潮が生じている

4.薬物療法に比べて、精神療法の有効性についてのデータが相対的に少なく、積極的な精神療法への動機付けが乏しい


などが挙げられ、その対策として、人材不足の解消、心理職の国家資格化、保険診療化などを提唱している。





●うつ病の予後

大うつ病は、治療の有無に関わらず時間が解決することが多い。

うつの外来患者リストの10 - 15パーセントは数ヶ月以内に減少し、約20パーセントはもはやうつ病基準を完全には満たさない。

エピソードの中央値は23週と推定されており、最初の3ヶ月間で回復する率が最も高い。


日本での研究では、6か月程度の治療で回復する症例が、50パーセント程度であるとされ、多くの症例が、比較的短い治療期間で回復する。

しかし、一方では20パーセント程度の症例では、1年以上うつ状態が続くとも言われ、必ずしもすべての症例で、簡単に治療が成功するわけではない。

また、一旦回復した後にも、再発しない症例がある一方、うつ病を繰り返す症例もある。

うつ病では海外諸国におけるうつ病の自殺率は、最近の報告では59/100,000と極めて低く推測されている。



●うつ病の再発率

研究では、初めて大うつ病を経験した人の80%が一生で1回以上の再発を経験し、その平均は4回であった。

他の一般的な調査では、約半数が治療を行ったかどうかに関わらず回復しているが、残りの半数は最低1回は再発し、およそ15%は慢性的な再発を繰り返す。

再発率は、うつを繰り返すたびに高くなる傾向にあり、初発の場合の次回再発率は50パーセント、2回目の場合75パーセント、3回目の場合は90パーセントにものぼる。




●うつ病の診療科・医療機関

うつ病は早期発見が重要なファクターだが、「心の変調」に自分(または周囲)が気づいた場合でも、どの医療機関を受診すれば良いのか分からず、近所の内科などにかかることも少なくなく、症状を進行させてしまう場合がある。

うつ病を適切に診断・治療する診療科は精神科・神経科・心療内科である。

なお、神経内科は神経専門の診療科なのでうつ病は扱わない。

ただし、近年は「精神科」と聞いて抵抗感を持つ患者や家族も少なくなく、そのため医院の屋号にこれらの診療科の名前を出さなかったり、「メンタルクリニック」「こころクリニック」の名前を使う医院も多い。


各自治体の保健所や精神保健福祉センターでは、無料かつ匿名で「心の変調」やメンタルヘルスの相談に応じ、医療機関も紹介してもらえる。

学生の場合は、児童相談所やスクールカウンセラー、保健センターなどでも良い。

意外に思われるかもしれないが、保健所の業務の6割は精神保健に関するものである。



●社会におけるうつ病

米国では、うつ病による経済損失は5兆円におよぶと試算されており、その内訳は生産性低下53%、医療費28%、自殺17%である。

うつ病は現在では一般に広く知れ渡っているが、以前は「怠け病」などと呼ばれていた。

現在でも、特に軽度のうつ病の場合、怠けているだけと思われることが多い。

「誰でもかかる可能性がある」「罹患し易い」ことを表した『うつ病は心の風邪』という言葉が、一部における「うつ病は放っておいても簡単に治る」という誤解に繋がっている。




●最近のうつ病のトピックス

2011年には、山形県鶴岡市にあるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズおよび東京小平市の国立精神・神経医療研究センターが血液中のエタノールアミンリン酸で大うつ病を診断できると発表した。

同年、広島大学などの研究グループは、血液中のBDNF遺伝子のメチル化を調べることで大うつ病を診断できる可能性があると発表したが、臨床応用できる段階ではない。



今後、研究レベルでは、うつ病等の精神疾患を客観的に診断できるマーカーを探索するために、健常者および患者の血液を用いて、プロテオミクスあるいはメタボロミクスが積極的に行なわれると考えられる。

社会的に普及するかどうかは医療保険適応か先進医療か等の費用の程度が大きな問題である。

100%やそれに近い精度では診断できないため、慎重な運用が求められる。


また、現在のうつ病性障害関連の研究は、大うつ病のみが対象であることがほとんどである。
posted by ホーライ at 00:46| 北京 ☀| うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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