2014年05月23日

鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳』

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳』 大野 裕著

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。



2010年1月15日 朝日新聞朝刊に「自分で学べる認知行動療法の本」として紹介されています。


本書は一般の人たちが認知療法を使ってストレスフルな人生を自分らしく幸せに生きていくことができるように工夫されたセルフワークブックである。

コンパクトなつくりで図表やイラストを多用し、分かりやすさに重点を置く。

認知療法を手軽に学びたいと思っている人たちにも役立つハンディで便利な一冊。



気持ちが沈んだり、ちょっと不安になったり、人間関係に悩んだり、自分を変えたいと思ったり…このノートはそんなあなたのやさしい味方です。

毎日すこしずつ読んですこしずつ書き込んでいくうちにあなたのものの見かたや考えかたが変わり、憂うつな気分や不安がしだいにほぐれていきます。



認知療法の本がずいぶん増えた。

分厚い本、小さな本、いろいろあるけど、第一選択は実はこの本だと思う。

まず薄い。そして字も少ない。そのくせ盛り込まれている技法はかなり多い。

そしてすぐに使える(コピーすれば何度でも使える)穴埋め式のチャートやコラム法の様式がてんこもりである。

いろいろ読んだけど、結局これをコピーして使うのが一番楽だった。

楽であればこそ、認知療法は始められるし、続けられる。



認知療法は本来うつ病やパニック障害に有効な治療法として有名なようですが、私自身の場合はマイナス思考にとらわれる考え方を少しづつ変えたくてこの本を手にしました。

書き込み式になっているのですが直接書くのがもったいなくて新たにノートを準備して日記代わりに自分の感情を分析しています。


本そのものも、字数が多くなく負担になりませんでした。

怒り、不安、悲しみ・・・・

文章にするといかにそういう感情にとらわれていたのかとてもよく分かります。

たとえばストレスが溜まったら日記をつけて思いっきり人の文句などを書きまくってる女性は多いと思うのですが(!?)一時的に気持ちはすっきりしても元になっている発想を転換していかない限りなかなか生きづらいと思うんです。

そんなときにこの本は力になってくれると思いますよ。



認知療法の解説本を数冊読んで見ましたが、その中ではこの本はページ数も少なく専門用語も使われておらず、読みやすい本だと思います。

認知療法全体的に言えることだと思いますが、認知療法を解説している本を使用して認知療法を自分1人で行えるのは、うつ病がかなり回復した状態、または、完治した人が再発予防のために使用できるのだと思います。

中度のうつ病の方は、患者さん1人で認知療法を始めるのは、ちょっとリスクを伴うと思います。

認知療法を行うことによって、逆に気持ちが落ち込んだりする恐れがあると思います。

もし、認知療法を試みてみたいと言う事であれば、主治医に相談してからの方が良いと思います。

更に重度のうつ病の方は、この様な解説本は見る気もしないのではないでしょうか。

もし、認知療法を試みるのであれば、患者さんが主体になるのではなく、主治医やカウンセラーが主体となって行う必要があると思います。



認知療法についての解説本は、書店へ行けば様々なものがりますが、結局、基礎になる考え方や治療で使用するワークノートは、同じようなものです。

認知療法は継続してこそ効果が出てくるのだと思います。






posted by ホーライ at 05:58| 北京 | うつ病を治すための本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『うつのセルフ・コントロール』

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。『うつのセルフ・コントロール』 ピーター・M. レウィンソン著

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。

悲観的になり、悪循環から抜け出すためには自己管理が必要。

そんな思いから、この本を図書館の蔵書から検索して借りました。


アメリカの先生が20年前に書いた本の翻訳なのですが、現代の日本の文化でも十分通用する内容で、翻訳本と思えないぐらい、日本語訳がこなれています。


感情、試行、行動の関係を説いた「社会学習理論」も理解しやすく、豊富な具体例と、実践的な処方箋が与えられていて、最低でも、立ち直るきっかけになると思います。


一人で悩んでいる方には、ぜひお勧めします。つらい時に、期待以上の内容に巡り合えるでしょう。



最近うつ気味なので、図書館でたまたまこの本を借りてよんだところ、翻訳にもかかわらず、熊谷久代さんの翻訳が極めてすばらしく、まるで最初から練達の人が日本語で書いたかのような読みやすさでした。

外国の翻訳の場合、ひどい翻訳に辟易してしまい、投げ出してしまう事が最近多かったのですが、熊谷さんは最高の翻訳をしてくれました。

深く感謝します。

この本の内容は、うつの克服に有益な教えに満ちており、絶対おすすめです。










posted by ホーライ at 03:45| 北京 | うつ病を治すための本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病の治療(4)

■■■■■■ うつ病の治療(4)  ■■■■■■


●読書療法

プラセボ効果を研究するハル大学のアービング・カーシュ博士は、認知行動療法(CBT)を受けなくても、そのメリットの多くを得ることができる方法として読書療法を薦めており、臨床試験で良い結果が得られたものの中から2冊を紹介している。

『うつのセルフ・コントロール』(熊谷久代訳、創元社、1993年)、『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(デビッド・D・バーンズ、星和書店、2004年)はいずれも認知行動テクニックに関する本である。

『いやな気分よ、さようなら』の臨床試験では、短期的には、標準的なCBTを実際に受けた人のほうが改善の度合いが高かったが、3ヶ月後には同等になった。

3年間の追跡調査から効果が持続的であることも示唆されている。

注意点は、読書療法の臨床試験は中程度のうつ病のみを対象として行われたことである。

軽度〜中程度のうつ病であれば、代替法として妥当だが、重度のうつ病にはどのような効果を発揮するのか分かっていない。



●運動療法

貧困、失業、大切な人との離別などがうつを引き起こすこともあるが、これらの社会的、状況的原因は薬によって変えることはできないが、薬で心理状況の改善はできる。

これらの社会的、状況的原因は変えることはできないが、この場合、運動などが有効である。

また、運動療法は薬物療法に比べてうつが再発する可能性が低い。



1800年代初め、アメリカ合衆国で広く利用されたスコットランドの医師ウィリアム・バカン(William Buchan)の医学書『Domestic Medicine』は、憂うつの治療について、「患者はできるだけたくさん戸外で運動すべきである…こうした計画に食生活の厳格な節制を加えるなら、ただ患者を家の中に閉じ込めて薬漬けにするよりも、治療法としてはるかに理にかなっていると述べている。



2004年、英国国立医療技術評価機構(NICE)は「抗うつ薬はリスク便益比の観点から、軽度のうつの初期治療には推奨できないとしている。

寧ろ、医師は薬物以外の代替法を試し、「軽度のうつ病患者には年齢を問わず、構造化された指導付き運動プログラムのメリットを推奨すべきだとしている。



2007年、NICEのガイドライン(現在は失効)によれば、フィジカルトレーニングは軽度の抑うつ治療に推奨されるとされたが、2009年に改定されたガイドラインCG90からは削除されている。


2009年、イギリスの総合診療医(GP)の20%以上(2004年の4倍)が抑うつ症状の患者にしばしば運動療法を「処方」している。

短期的には、6週間以内に著しい改善があり、効果は大きく、抑うつ症状のある患者の70%が運動プログラムに反応したという研究報告がある。

長期的にも多くの副効果(心臓血管機能・認知機能・性的機能・筋力・社会性の向上、高血圧・睡眠の改善)がある。



2009年、プラセボ効果を研究するハル大学のアービング・カーシュ博士は、運動にも心理療法や抗うつ薬と同等の効果があると紹介している。

薬物療法や心理療法ほど多面的な研究はなされていないが、効果を評価する臨床試験は沢山行われている。

主に中程度〜重度の症状に効果があり、定期的に続ける限り持続し、時間が経過すると効果が大きくなる。

さらに、疫学的研究から予防効果も示唆されている。運動の種類は「ウォーキング(有酸素運動)」「ウェイトトレーニング(無酸素運動)」など何でも良く、20分の運動を週3日行えば十分効果がある。

ただし、運動と抗うつ薬を併用するより、運動のみのほうが効果が高い。

臨床試験の欠陥を理由に運動の効果が否定されることがあるが、抗うつ薬の臨床試験にも欠陥が存在している。




重度のうつ病には運動でさえもおっくうで不可能な場合がある。

2012年、日本うつ病学会のガイドラインは「本来軽症に限った治療法ではない」と断った上で、軽症のうつ病への適用について、「運動を行うことが可能な患者の場合、うつ病の運動療法に精通した担当者のもとで、実施マニュアルに基づいた運動療法が用いられることがある。一方で運動の効果については否定的な報告もあり、まだ確立された治療法とは言えない」と述べている。

2013年、コクラン・ライブラリによれば、運動の効果は心理療法や薬物療法と同程度である。

なお、精神科に入院している患者は統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害が多く、うつ病は少ない。





●●●その他の治療法●●●

その他、限定的に行われる特殊な治療法や、実験的段階にあるものとして以下のようなものが挙げられる。


●電気けいれん療法 (ECT)・・・・・私の知り合いは、これで劇的にうつ病がよくなった。

頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こすことで治療を行う。

薬物療法が無効な場合や自殺の危険が切迫している場合などに行う。

最近は全身麻酔を使用した苦痛のない方法がとられることがほとんどである(そのため入院も可能な大病院でしかできない)。

安全管理も慎重に行われるようになった。

前述の場合に有効性が高い治療法であると考える臨床家も多く、保険診療でも認められている。

その一方で、薬物療法など他の方法が功を奏さない場合に限るとするなど慎重な適用を求めるものもいるほか、この治療そのものを勧めない精神科医もいる(電気けいれん療法#勧めない精神科医もいる参照)。



●経頭蓋磁気刺激法 (TMS)

頭の外側から磁気パルスを当て、脳内に局所的な電流を生じさせることで脳機能の活性化を図るもの。

日本では保険は未承認。

6週間治療での寛解率は27%程度、続く24週間治療での寛解率は50-60%程度。

副作用としては、刺激部位の痛みや不快感、頭痛など。



●断眠療法

うつ病患者が夜間眠らないことでうつ症状が急速に改善するという治療法である。

薬物治療への効果が乏しく、うつ状態が長く続いているような場合に施行される。

効果が持続しにくく、その場合、薬物療法や光療法を併用する。



●光療法

強い光(太陽光あるいは人工光)を浴びる治療法。過食や過眠のあることが多い、冬型の「季節性うつ病」(高緯度地方に多い冬季にうつになるタイプ)に効果が認められている。

冬季うつ病の第一義的な治療法は光療法とされ、抗うつ剤よりも有効性が高いことが確認されている。

また、光療法が非季節性のうつ病の治療に有効であることが実証された。

光療法がうつ病に効果があるかどうかは古くから検討されてきたものの、有効、無効の両方の報告があり、有効であることの決定的な証拠はなかったが、最新の研究成果によりその有効性が実証されるに至っている。

季節性うつ病の場合は双極性障害の可能性を念頭に置かねばならない。



●ハーブの利用

ハーブとして利用されているセント・ジョーンズ・ワートは、ドイツをはじめいくつかの国では軽度のうつに対して従来の抗うつ薬より広く処方されている。

日本ではサプリメントとして市販されている。

副作用があり、日本での治療エビデンスは希薄である。

臨床研究の結果は成否さまざまで、軽度から中程度のうつに対して有効でかつ従来の抗うつ薬よりも副作用が少ないとする研究がある一方で、プラセボ以上の効果は見られないとする研究もある。

コクランレビューによる2008年の報告によると、これまでのエビデンスからプラセボ群より優れた効果を示し、標準的な抗うつ薬と同等に効果があるが副作用は小さいことが示唆されるという。

ただし重度の抑うつには効果が弱いとされるほか、同時に服用した他の薬の効果に干渉することがあるため注意が必要とされる。

セント・ジョーンズ・ワートにおいてもセロトニン症候群の可能性があるので、注意が必要である。


posted by ホーライ at 03:33| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月22日

うつ病の治療(3)

■■■■■■ うつ病の治療(3)  ■■■■■■

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法


●うつ病のその他の薬物療法

抗うつ薬の治療反応に乏しい場合、別の種類の抗うつ薬への変薬や追加(併用)のほか、炭酸リチウム、甲状腺ホルモン、抗てんかん薬、非定型抗精神病薬の追加(増強療法)、(米国などでは)アンフェタミン、メチルフェニデートなどが試みられる。

米国や日本ではアリピプラゾールも既存治療で十分な効果が認められない場合に限って認可されている。

また電気けいれん療法(ECT)、経頭蓋磁気刺激法(TMS)の適用を検討することもある。


非定型うつ病に対しては、抗うつ薬(SSRIなど)の他、気分安定薬や抗精神病薬が使用される。

不安障害を併発している場合などは抗不安薬を、不眠が強い場合は睡眠導入剤を併用することも多い。

抗不安薬・睡眠導入剤としてベンゾジアゼピン系がしばしば用いられるが、これらはベンゾジアゼピン依存症・ベンゾジアゼピン離脱症候群をまねき、うつ病を悪化させる。

各国政府はベンゾジアゼピンの処方を最大でも数週間に限るよう勧告しており、NICEではベンゾジアゼピン系の投与は患者と討議の上で短期間のみに限定され、慢性不安症への投与禁止、薬物依存を起こすため2週間以上の投与禁止と定められている。

うつ病の予防・治療日本委員会(JCPTD)によると、薬物治療急性期には抗うつ効果発現までのベンゾジアゼピン系薬物処方は有用であるが、依存性のため長期投与は推奨していない。





●うつ病の薬物療法と自殺

抗うつ薬による治療開始直後には、年齢に関わりなく自殺企図の危険が増加する危険性があるとアメリカ食品医薬品局 (FDA) から警告が発せられ、日本でもすべてのSSRIおよびSNRIの抗うつ薬の添付文書に自殺企図のリスク増加に関する注意書きが追加された。

FDAは、子供・青年・18-24歳の若年者に対しては、SSRI治療は自殺願望と自殺的行動について高いリスクが存在すると報告している成人についてはSSRIと自殺リスクの関係は明確ではない。

あるレビューでは関係性が認められておらず、別のレビューではリスクが増加すると報告され、第三のレビューでは25-65歳ではリスクはなく65歳以上では低リスクと報告している。



疾病データ上では、新しいSSRI時代の抗うつ剤の普及により伝統的に自殺リスクの高い国で自殺率の大幅な低下をもたらしていると分かったが、因果関係は確定されていない。


米国では2007年に、SSRIとその他の抗うつ薬について24歳以下の若年者では自殺リスクを増加させる可能性があるというブラックボックス警告がなされた。

同様の警告は日本の厚生労働省からもされている。


米国ではFDAの警告以降に若年者の自殺死者数が増加している。

FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である。



APAガイドラインでは、抗うつ薬は自殺リスクを減らすエビデンスは小さい、しかしうつ症状の軽減に必要だとしている。


NICEガイドラインによると、2005年4月にヨーロッパ医薬品評価委員会はSSRIとSNRIについて、子供と青年には処方すべきではない(承認適応症を除くがこれは通常の抑うつは含まない)としている。

英国『モーズレイ処方ガイドライン第10版[注 4]』(2009年)では、うつ病の治療が希死念慮および自殺企図を防ぐ最も効果的な方法であり、ほとんどの場合、抗うつ薬による治療が最も効果的な方法であるとしている。




●うつ病の精神療法(心理療法)

貧困、失業、大切な人との離別などがうつを引き起こすこともあるが、これらの社会的、状況的原因は薬によって変えることはできないが、薬で心理状況の改善はできる。

これらの社会的、状況的原因は変えることはできないが、これらの場合、心理療法の認知行動療法(CBT)や読書療法などが有効である。

また、心理療法は薬物療法に比べてうつが再発する可能性が低い。



1998年、世界精神医学会(英語版)の「WPA/PTD うつ病性障害教育プログラム」は、高齢者への精神療法の適用について、「精神療法のみ」「精神療法と抗うつ薬の併用」の二つを挙げている。

また、「多様な治療法がある」「再発を予防するために、投薬は継続しなければならない。治療の成功は社会心理的支援がかかせない」としている。


2009年、プラセボ効果を研究するハル大学のアービング・カーシュ博士は「心理療法のみの場合と、心理療法と抗うつ薬を併用する場合の効果の大きさは同じなのだから、なぜ、わざわざ抗うつ薬を持ち込む必要があるのだろうか」と述べている。

両方を併用すれば、抗うつ薬だけを服用するより効果があるが、心理療法を単独で行う以上の効果はない。

英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインは心理療法の重要性を認めており、6〜8回の認知行動療法(Cognitive behavioral therapy、CBT)または他の心理療法を推奨している。


具体的には、軽度〜中程度はカウンセリング、再発した場合はCBT、重度の場合はCBTと抗うつ薬との併用を勧めている。

英国政府は臨床試験で効果が証明された認知行動療法をはじめとする心理療法の拡充を開始し、薬物療法に代わる治療法として成果を上げている。



2012年、DSM-IVのアレン・フランセス編纂委員長は「精神科の軽度、中程度の症状には、精神療法が少なくとも薬物療法と同じくらい効果があり、精神療法のほうが持続効果は長く、副作用は少ないのです。

非常に多くの人が必要のない薬物療法を受け、回復に大きく役立つであろう精神療法を受けていないというのは、理不尽であり、経済的動機がそうさせているのだと思います」と述べている。

重症の場合、心理療法単独では十分でない。

NIHは、高齢者の場合、再発防止のため薬物療法の併用が有効であるとしている。



●認知行動療法

外界の認識の仕方で、感情や気分をコントロールしようという治療法。

抑うつの背後にある認知のゆがみを自覚させ、合理的で自己擁護的な認知へと導くことを目的とする。

対人関係療法も認知行動療法の要素を持つ。



考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく。

認知行動療法は魔法ではない。

うつ病においても、薬物だけで治療した場合に比べ、認知行動療法を併用した方が、症状の改善と再発予防に効果的であると認められている。



現在認知行動療法(CBT)は、子供と青年の抑うつに対して最も研究エビデンスが多く存在する。

CBTと対人関係療法(IPT)は思春期の抑うつに対して勧められる。英国国立医療技術評価機構(NICE)では、18歳以下の人について薬物治療を行う場合はCBT・ICT・家庭セラピーなどといった心理療法を併用しなければならないとしている。



アメリカ精神医学会のガイドラインでは、認知行動療法等の心理療法は患者の初期治療の選択肢として推奨されている。

日本うつ病学会では、認知療法は薬物療法と同時並行的に行われる精神科治療の基本であり、薬物療法に代わる治療法という見方は明らかに間違っていると強調しているが、同時に、認知療法の優位性を示す研究データがあることも暗に認めている。

うつ病の予防・治療日本委員会(JCPTD)では慢性化していない例では抗うつ薬より推奨している。



認知行動療法は、心理職が国家資格化されている国々では、精神科(精神科医、薬物療法中心)、心理療法科(サイコロジスト、心理療法中心)に分かれることがあり、薬物療法と同時並行的に行われるとは限らない。

認知行動療法は12回〜13回程度で終了するので、3ヶ月程度の短期治療では意味があるが、うつ病が3ヶ月を超えて長期化した場合は、薬物療法等の別の治療法を模索する必要がある。


うつ病患者の8割に伴う不眠症であるが、認知の歪みが原因では無いので、認知行動療法の効果は小さい。

不眠症に対しては、別途精神科から睡眠導入剤を処方してもらう必要がある。

posted by ホーライ at 05:47| 北京 | うつ病の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。(8)『うつと不安の認知療法練習帳』大野 裕ら訳

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。鬱病患者の家族のための本。


人間の感情や感じ方というのは、そのとき直面している問題や状況を、その人がどう捉え、どう考えるかによって大きく変わってくる。

したがって考え方を変えることによって、抱えている問題を乗り越えることは可能なのだ。

本書は、いまアメリカの心理療法の分野で大きな勢力をもち、日本でも急速に広まりつつある認知療法を、うつや不安のなどの症状を抱える一般の読者が、自分で使えるように工夫された練習帳である。


うつ状態や不安である人は、現実を、ありのままの現実よりも悲観的に・破局的に捉えてしまい、苦しみます。認知療法では、その悲観的・破局的なものの捉えかたを修正して患者の気分を楽にすることが目的です(決してネガティブシンキングをポジティブに変えるわけではありません)。



本書では、悲観的な見方を裏付ける根拠と、逆に悲観的な見方を否定する根拠(=反証)を見つけて集める方法を紹介しています。

例えば、ヒゲが濃いことで悩んでいる高校生が、

・悲観的な思考:ヒゲが濃くて恥ずかしい。学校でも同級生の視線が気になってしまう。

・根拠      :実際にヒゲが濃い。男子からもそのことで冷やかされる

・反証      :一部の女子からは「男らしい、ワイルド」と言ってもらえた。



上記のように、(パッと脳裏に浮かぶ自動)思考、それを裏付ける根拠、自動思考を否定する反証を書き出します。

そして最後に、現実をありのままに見つめる「適応的思考」として、

“一部の男子からは冷やかされているが、男らしいと言ってくれる女子もいる”

という考え・ものの見方を自分で導き出すのです。

この本はよく出来ていると思います。



認知療法は、実際にノートに書き出すことが大切なのだと思います。

この練習帳は段階を追ってこれを実践できるようになっています。

思考・気分・行動・身体の関係を調べてみたり、気分を%で測ってみたり…目に見えないものを視覚化することによって、今までもやもやしていた自分象が見えるようになりました。


鬱は辛く苦しい病気だけれど、今では自分を真正面から見つめ直すという貴重な機会を与えられたのだと思っています。

この練習帳で身につけたことは今後の人生でもずっと役に立ってくれることと思います。



認知療法について、3人の主人公が持つそれぞれの悩みと回復の物語を通して、わかりやすく説明されている本です。

僕は自身の生活が本当に苦しい時に、この本やデビッド・D.バーンズ 氏の「いやな気分よ、さようなら」(こちらは、かなり分厚いです)などをよく読んでいました。


ただ、一口に認知療法と言っても、現在ではさまざまな方法や考え方に進歩してきているらしく、必ずしもこれらの本に出ているアプローチだけではないそうです。

いくつかの専門家の方のサイトでは「良い本ではあるものの決して万能ではなく、やはり専門家のアドバイスに従って、人それぞれの症状にあわせたステップを踏むべきだ」といったコメントが載せられていました。



実際のところ、個人的にはこれらの本にずいぶんと助けてもらい、出会えたからこそ何とか乗りこえてこれた…と本当に感謝しているのですが、僕の周囲の人で同じように「悩みを抱えている人」には薦めましたが、受け入れられてもらえなかったのも事実です。

この本のやり方がその人にあっているかどうかだけではなく、本を読む行為そのものが、そういう心理状態の場合簡単ではないことも多いのかもしれません。









posted by ホーライ at 05:32| 北京 | うつ病を治すための本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病の治療(2)

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法


●薬物療法

2012年の日本うつ病学会の大うつ病の治療ガイドラインによれば、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中程度以上の大うつ病では薬物療法は軽症に比べてより積極的に行う。

希死念慮の強い急性期、重症患者には薬物療法と精神療法、とりわけ薬物療法が重要である。

薬物療法では効果がない場合、mECTを検討する。



●抗うつ薬による治療

抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系抗うつ薬あるいは四環系抗うつ薬は、口渇・便秘・尿閉などの抗コリン作用や眠気などの抗ヒスタミン作用といった副作用が比較的多い。

これに対して近年開発された、セロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRIや、セロトニンとノルアドレナリンに選択的に作用する薬剤SNRI、NaSSA等は副作用は比較的少ないとされるが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされる。



抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1週間ないし3週間の継続的服用が必要である。

なお、非定型うつ病については、欧米ではモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害剤)が第一選択として活用されているが、その激しい副作用と厳しい食事制限のため、2012年現在日本で認可されているものはない。



抗うつ薬の有効性および安全性については議論がある。

うつ病は、治療を行わなくても長期的には自然回復することが多く、数ヶ月以内の自然回復率が50%を越えるため、各種治療法の有効性の判断は難しい。

NIMHの専門家たちは、抗うつ薬が回復までの時間短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率の上昇には役立たないと考えている。

SSRIはプラセボ程度の効果しかないとの見解もある。



●日本うつ病学会のガイドラインによれば、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきである。

寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとしている。

英国国立医療技術評価機構(NICE)の2009年のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけない(Do not use antidepressants)としている。



2013年、日本うつ病学会の野村総一郎事務局長によれば、軽症の場合、心理療法を優先とする。

うつ病の重症度が高くなると、薬物療法の有効性があらゆるデータから明確に示されている。

抗うつ薬を服用した重症度の高い患者のうち、効果が見られる患者の割合は70%程度である。

posted by ホーライ at 04:48| 北京 | うつ病の解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病患者の家族のための本『家族・支援者のための うつ・自殺予防マニュアル』下園 壮太著

家族・支援者のための うつ・自殺予防マニュアル

うつ病を治すための本。うつ病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。うつ病患者の家族のための本。


愛する人を救うために今、あなたは何ができますか?

同じうつの人でも、どうして自殺する人と、そうでない人に分かれてしまうのか?

人の力で自殺を100%予防することはできません。

あなたにできることは、まず自分自身を落ち着かせることであり、死にたいと思っている人の気持ちを少しでも楽にさせ、自殺を思いとどまらせるために必要な方法や手順を知ることです。


とても大部な本で、最初は難しいのかなと思って手にしたが、中身はとてもよく作り込んであって、一つ一つ著者の人柄が伝わってくるような親切で、充実したものだった。


読者の大半は、かなり深刻な思いでこの本を手に取るだろうが、確実にこの本はあなたを救ってくれる本になるだろう。

また、ここまで懇切丁寧に解説された本も少ないと思われる。

しかも著者は、精神科医ではないため、薬の話に流されることなく、終始一貫して手だてを考えていこうとしている姿勢には、いかに今までの本が底の薄いものだったのかを改めて感じさせる。

値段も安く感じられる、そんな良書だ。


患者さんと家族に寄り添う姿勢が貫かれている。

医師の書いたうつ病に関する解説とは違って、患者さんの気持ちが少しは分かってあげられるような気がしました。

また、周囲の人に対して、覚悟を決めて距離を取るべきと時には距離をとりなさいというアドバイスも大変貴重だ。



風邪を引いた人は熱が下がるまで安静にし、骨折した人は骨が繋がるまで安静にする事は誰でも知っている事なのに、

風邪を引いた人を寒空の下にさらしたり、骨折した人を無理に歩かせたりしてはいけないのは誰でも知っている事なのに、



どうしてうつ病の人に対する周知の「当たり前」がないのだろう?

この本を読んで今まで疑問にもしなかった疑問が沸いてきます。



私は支援者側の人間ですが、先に同じ下園先生著の「うつからの脱出〜」を読んだ後、支援者としてこちらの本を読む必要性を感じ購読しました。


何事にも「万全」「最善」がないように、この本の方法も100%ではないかもしれません。

ですが支援者として知識と方法と自信を強く得た実感があります。

うつ病にはなにもかもを瞬時に治してくれる光線銃のような治療はないけれど、暗闇の中で道しるべとなるともしびがここにある。

そう感じさせてくれる一冊です。



鬱病患者を家族に持つ人は必見だと思います。

鬱病の学術的な解説ではなく、実際の患者との関わり方を中心に教えてくれます。

身近にいるゆえ、患者のことをよく知っているゆえ、不信が募っていく支援者。

患者が巻き起こす見た目の行動に、支援者が振り回されないよう、鬱病の症状や患者の心の状態が分かり易く書かれてます。

希望を失わない為にも是非とも読んでみて下さい。








タグ:自殺予防
posted by ホーライ at 04:38| 北京 | うつ病患者の家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病を治すための本。鬱病を解説している本。鬱病の方にお勧めの本。(6)『不安もパニックも、さようなら』野村 総一郎ら著

うつ病を治すための本。うつ病を解説している本。うつ病の方にお勧めの本。うつ病患者の家族のための本。

あの「いやな気分よ、さようなら」の著者、バーンズ博士がわかりやすく教える不安に負けない40の認知行動療法テクニックを紹介。(これがスグレモノ!)


日本に認知療法(認知行動療法)を広めたバーンズ博士の最新作。

ベストセラー「いやな気分よ、さようなら」と同様、読者自身が実践し、症状を軽減できる“セルフヘルプ”形式の本書は、薬を飲むことなく、効果的に不安障害を治療できる認知行動療法を紹介します。

パニック発作、対人恐怖(社交不安)、恐怖症、PTSD、強迫性障害などの不安・パニックの症状に打ち勝つ強力な40のテクニックを、読者はご自分の症状に合わせて効果的に選択することができます。

また、精神科医、臨床心理士などの専門家の方にとっても参考になる技法が満載です。


パニック障害は薬物療法が中心となりますが、最終的には薬なしに症状が出ないことが目標だと思います。

パニック障害の原因は脳内物質の異常分泌など様々な説がありますが、思考・習慣にも原因があるのであれば、それらを解決する必要があります。

本書は翻訳書ですが、日本人にとっても読みやすい内容になっています。


既存作の「いやな気分よさようなら」「FeelingGOODハンドブック」「自尊感情を取り戻す為の10日間プログラム」を読んできたが、今回の本が一番とっつきがいい。

数多くの技法を紹介しているし、実例エピソードも豊富で、説得力がある。

また、その技法が効かない可能性もあり、その場合は別の技法を試す。ということを明言しているのもいい。

鬱に悩んできた私にとっては10倍の価格でも惜しくないほどの名著です。









タグ:野村総一郎
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うつ病の治療(1)

うつ病を治す方法、鬱病を治す方法

■■■■■■ うつ病の治療(1)  ■■■■■■

●うつ病の治療

1950年代に抗うつ薬が登場するまでは、電気けいれん療法(1938年創始)、ロボトミー(1935年創始)しか効果の証明された治療法が無かったが、その後抗うつ薬が登場し薬物治療が発達した。

現在、うつ病治療としては(1)休養 (2)薬物療法 (3)精神療法 (4)環境調整 (5)特殊療法(ECTなど)などが組み合わせて行われる。

中でも薬物療法と休養が原則とされる。



基本的に現在はまずうつが病気であることを本人・家族が納得し、「無理をせず、養生して、(原則として)薬を飲んで、回復を待つ」ことである。

自殺の危険性が高い症例では、入院治療が必要となる。

特に、「死にたい」とか「消えてしまいたい」「自分は居ない方がいい」などの希死念慮や自己否定的な内容を口にする場合には、自殺の危険性があり、すみやかな受診が必要である。



●休養

休養がうつ病の特に病初期(急性期)には重要であり、日常生活に著しい障害が生じている場合には、仕事を休んだり、主婦であれば家事を誰かに手伝ってもらうなど、社会的役割を免除してもらい、休養する必要がある。

そのため、自殺の危険は少ない場合でも、入院の適応となる場合がある。

日常生活における障害が軽い軽症例では、これまで通りの生活を続けながら、薬物治療などを行うこともある。

休養、薬物療法、精神療法は治療の3本柱であり、身体疾患と基本的に同じである。



●心理教育(うつ病の対応の原則)

病初期(急性期)の心理教育の原則として「笠原の小精神療法」が有名である。

1)うつ病は病気であり、単に怠けではないことを認識してもらう

2)できる限り休養をとることが必要

3)抗うつ薬を十分量、十分な期間投与し、欠かさず服用するよう指導する

4)治療にはおよそ 3 ヶ月かかることを告げる

5)一進一退があることを納得してもらう

6)自殺しないように誓約してもらう

7)治療が終了するまで重大な決定は延期する



内因性うつ病の症状は、“気の持ちよう” “努力”などで変えられるものではない。

変えられないものを、変えようと無理をすれば、症状を悪化させる。

むしろ、変えようとせず、憂うつな気分に逆らわず、十分な休養を取りながら、回復を待つべきである。

うつ病の症状の一つに、将来を悲観してしまうことがある。

病気のため、もう治らないとしか考えられなくなることも多い。

しかし、うつ病はいかに重症でもいつかは改善するものである。

いつかは良くなるという希望を持つことが重要である。



またあせって人生の決断を下さない方がよい。

例えば転職・退職、離婚などの重要な決断はなるべく後回しにする。

一般にうつ病のため判断能力は低下していることが多く、適切な判断が下せないことが多い。

治療の前提として、治療の基本的原則について、しっかりと医師が説明を行い、患者が納得して治療に取り組むことが必要である。

また、投薬についても、医師がしっかりと説明する必要がある。

患者も、分からないことは質問していくことが必要である。

こうした医師と患者のコミュニケーションが治療の成功には不可欠である。

また、うつ病の一人一人の患者においては、信頼できる主治医をもち、自分に合ったアドバイスを主治医にもらうことが最も重要である。




●家族の対応

家族など周囲の人たちも、長い目でうつ病患者を見守ることが求められる。

「頑張れ」や「さぼるな」という言葉は、患者自身の力ではどうしようもない今の状態を、今すぐに自分の力で変えるようにと、無理を求めるものとなる。

そして、このような言葉は、患者を追いつめ、最悪の場合、自殺の誘因とならないとも限らない。

患者のみならず、周囲の人々も、患者がうつ病であり、患者自身の力では今の状態から抜け出せないことを受け入れ、長い目で回復を信じ、あせらないことが必要である。

「気の持ちようではないか」「旅行にでも行って気分転換してはどうか」といった言葉も、適切ではない。

うつ病でなくとも、嫌なことが起きれば、嫌な気分になるし、そういった一過性の軽い抑うつ気分は多くの人が経験する。

これらの言葉は、うつ病もそれと同じように対処すれば良いものと見ている。

しかし、長期間に及ぶような酷いうつ状態(つまりうつ病)の場合には、適切な治療なしには気の持ちようを正すこともできず、旅行に行く気力も出ないため、これらの言葉はかえって患者を苦しめる。

患者がこれらのアドバイスを受け入れられるほど回復したかどうかの見極めが大切である。




●環境調整

とくに心因が強く影響していると考えられるうつ病の場合、環境のストレスが大きい場合は調整可能かどうかを検討し、対応する。

心理的葛藤に起因すると思われるうつ病では、原因となった葛藤の解決や、葛藤状況から離れることなどの原因に対する対応が必要である。

またうつ病の回復期・リハビリ期においては、段階的復職などの配慮が必要である。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、リワーク支援を実施している。

ストレスへの対処法(認知行動療法の一部)、リハビリ出勤、会社との調整など実施している。

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2014年05月21日

うつ病の診断

■■■■■ うつ病の診断 ■■■■■

●DSM-IV-TRとICD-10の診断基準

抑うつについて最も広く用いられる診断基準は、アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計の手引き改訂4版(DSM-IV-TR)と、世界保健機関の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)である。

前者は米国および非ヨーロッパ諸国で多く用いられ、後者はヨーロッパで多く用いられる。

双方の製作はお互いに反映し合いながら行われている。



ICD-10では「大うつ病」という用語を使用していないが、(軽度・中等度・重度)うつ病エピソードの診断のために、DSM-IVの大うつ病に非常に類似した症状のリストが使用される。

複数のうつ病エピソードが存在し、躁病のないものにはrecurrent depressive disorder(再発性うつ病性障害)という名称が用いられる。


双方のガイドラインでは典型的な抑うつ徴症を示している。


ICD-10では3つの抑うつ徴症(depressed mood, anhedonia, and reduced energy)を示し、そのうち2つはうつ病の診断確定に必須である。

DSM-IV-TRでは2つの主な抑うつ徴症(depressed mood, anhedonia)を示し、少なくともひとつが大うつ病の診断確定に必須である。

DSM-IV-TRでは大うつ病は気分障害に分類される。

診断は単発または繰り返される大うつ病エピソードに基づく。

追加の情報はその他の障害と区別するために用いられている。

特定不能うつ病性障害(en:Depressive Disorder Not Otherwise Specified)は、抑うつエピソードが大うつ病エピソードを満たしていない場合に診断される。




●大うつ病エピソード(DSM-IV-TR)

大うつ病エピソードとは、少なくとも2週間以上の深刻な抑うつ気分の愁訴によって特徴付けられる。

もし患者が躁病や軽躁病のエピソードを持っていれば、診断は代わりに双極性障害となる。

DSM-IV-TRでは症状が死別によるものである場合は除外しているが、しかしその気分が長期化し大うつ病エピソードの特徴付けられる要素がある場合は、死別を原因として抑うつエピソードに入る可能性があるとしている。

DSM-5では死別もうつ病の原因になった。



●臨床評価

大うつ病の診断を行う前に、一般的に医師によって医学的検査と幾つかの調査が他の症状を除外するために行われる。

血液の甲状腺刺激ホルモン(TSH)とチロキシン測定によっての甲状腺機能低下症除外、基礎電解質と血中カルシウム測定で代謝障害の除外、全血球算定(赤血球沈降速度ESRを含む)により全身性疾患や慢性疾患の除外など。

薬物の副作用やアルコール乱用も同様に除外される。

男性の抑うつの場合、テストステロンのレベル測定によって性腺機能低下症も除外される。

客観的認知についての問題が老人の抑うつに現れることがあるが、それはアルツハイマー病などの痴呆性疾患の可能性がある。

認知テストと脳画像イメージによって認知症とうつ病を区別する助けとなる。

CTスキャンは精神病患者の脳病理を除外することができ、また異常兆候を迅速に判断できる。

生物的テストでは大うつ病の診断を行う方法はない。

一般的に、医学的な問題がない限りその後検査を繰り返す必要はない。

パーソナリティ障害や不安障害、不眠症の合併の有無を確認する。



●鑑別疾患

本当のうつ病に該当するもの以外にも、うつ状態を呈するものとして、次のような原因によって引き起こされる。

・一過性の心理的なストレスに起因するもの(心因性のうつ、適応障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) など)

・双極性障害、統合失調症、自律神経失調症、パニック障害など、他の疾患の症状としてのもの

・物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、明らかに身体疾患によるもの

また、器質的疾患からうつ状態となることもある(器質性気分障害)。




●双極性障害との鑑別

うつ病の診断においては、軽躁と鬱を繰り返す双極II型障害を単極性・反復性と誤診するなど、双極性障害と見分けがつきにくいケースが多い。

患者側も、睡眠時間が短くてもすんでしまうなど現代の過酷な社会環境にむしろ適応的であり、ばりばりと働けたなどの充実感などのため、軽躁状態を異常と認識せず、主治医に申告しないこともある。

そのため、大うつ病性障害など「うつ病として」受診に来た患者を診断する場合、初診で躁病エピソードの既往症(軽躁エピソードは特に)を確認し、双極性障害でないかどうか明確に鑑別しておくことが何よりも重要であるとの指摘がある。

これは、大うつ病性障害などの単極性の気分障害と双極性障害は、治療法が根本的に異なるためである。



また、長期経過の中で、うつ状態に加えて躁状態も生じる場合にも、双極性障害(いわゆる躁うつ病)の可能性がある。

そのため、躁状態に転じることを常に注意し、素早く対応することが必要であるとも指摘されている。

若年者は、双極性障害のうつ病相や統合失調症の好発年齢であり、安易に「非定型うつ病」と決めつけることは“誤診”につながる。



うつ病を繰り返し生じる場合には、反復性うつ病と呼ばれており、これも、遺伝研究などによって、躁うつ病と根本的には同一の疾患であるとされている。

一方、再発のないうつ病は、単一エピソードうつ病と呼ばれ、躁うつ病とは異なった疾患であると考えられている。




近年、最先端医療の分野で光トポグラフィーを用いた科学的な診断方法が注目を浴びているが、ごく一部の医療機関でしか行われていない。

うつ病、統合失調症、双極性障害の判断区別を行う事も可能とされる。

先進医療であり保険は未承認。

データの蓄積が少なく、研究途上という性格が強く、現在では検査入院などの専門家による精査とセットでないと実際の診断には難しいというのが実情である。

2012年現在の日本では、「鑑別診断補助」の位置づけである。検査結果は、診断や治療の参考になるよう紹介精神科医へフィードバックされる。



●器質性気分障害

下記のような器質的疾患からうつ状態となることがあり、診察時には注意を要する。

・中枢神経系(脳血管障害、パーキンソン病、脳腫瘍 など)

・内分泌系(副腎疾患(アジソン病など)、甲状腺疾患 (橋本病など)、副甲状腺疾患 など)

・炎症性疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス など)

・歯科治療用重金属中毒



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