うつ病を治す方法、鬱病を治す方法
●薬物療法
2012年の日本うつ病学会の大うつ病の治療ガイドラインによれば、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中程度以上の大うつ病では薬物療法は軽症に比べてより積極的に行う。
希死念慮の強い急性期、重症患者には薬物療法と精神療法、とりわけ薬物療法が重要である。
薬物療法では効果がない場合、mECTを検討する。
●抗うつ薬による治療
抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系抗うつ薬あるいは四環系抗うつ薬は、口渇・便秘・尿閉などの抗コリン作用や眠気などの抗ヒスタミン作用といった副作用が比較的多い。
これに対して近年開発された、セロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRIや、セロトニンとノルアドレナリンに選択的に作用する薬剤SNRI、NaSSA等は副作用は比較的少ないとされるが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされる。
抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1週間ないし3週間の継続的服用が必要である。
なお、非定型うつ病については、欧米ではモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害剤)が第一選択として活用されているが、その激しい副作用と厳しい食事制限のため、2012年現在日本で認可されているものはない。
抗うつ薬の有効性および安全性については議論がある。
うつ病は、治療を行わなくても長期的には自然回復することが多く、数ヶ月以内の自然回復率が50%を越えるため、各種治療法の有効性の判断は難しい。
NIMHの専門家たちは、抗うつ薬が回復までの時間短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率の上昇には役立たないと考えている。
SSRIはプラセボ程度の効果しかないとの見解もある。
●日本うつ病学会のガイドラインによれば、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきである。
寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとしている。
英国国立医療技術評価機構(NICE)の2009年のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけない(Do not use antidepressants)としている。
2013年、日本うつ病学会の野村総一郎事務局長によれば、軽症の場合、心理療法を優先とする。
うつ病の重症度が高くなると、薬物療法の有効性があらゆるデータから明確に示されている。
抗うつ薬を服用した重症度の高い患者のうち、効果が見られる患者の割合は70%程度である。
2014年05月21日
うつ病の疫学・統計
■■■■■ うつ病の疫学・統計 ■■■■■
厚生労働省によれば、うつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は世界では1〜8%、日本では12カ月有病率が1〜〜%である。
また、生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、川上によれば3〜16%である。
日本では、水野らによれば12ヶ月有病率は3.1パーセント、川上によれば生涯有病率6.7パーセントとされている。
これらの研究結果から、ある時点ではだいたい50人から35人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると考えられている。
●性差
男性より女性のほうが2倍ほどうつ病になりやすいとされている。
閉経や子どもの自立による喪失体験、PMSによるストレス、男性より寿命が長いことによる配偶者との死別などによる部分も少なくはないと思われ、社会生活によるストレスが多い男性にも普通に見られる。
女性の発症率の高さについては、妊娠・出産期・閉経期・月経前(PMS、PMDD、セロトニンの減少)の女性ホルモン、セロトニンの激減がマタニティブルーや産後うつに関与している可能性がある。
産後うつは乳児の育児時の睡眠不足もある。
日本ではうつ病が増加傾向にあるが、女性の高齢化による自然増もある。
●患者数とその推移
日本の患者数の少なさについては、受診率の低さが原因としてあげられる。
日本の患者数の年度ごとの増加傾向には、高齢化やうつ病についての啓発活動による受診率の増加が原因としてあげられる。
うつ病の患者数が20世紀になって増加していることについて、SSRIの導入後6年間で2倍に増えるという経験則があり、製薬会社のキャンペーンが影響している、とした説もある。
「副作用の少ない」抗うつ薬の普及に伴い、うつ病と診断される患者数が増加している側面がある。
●子どものうつ病
子どもでもうつになる場合があり、子どもの大うつ病の時点有病率は児童期で0.1から2.6パーセント、青年期で0.7から4.7パーセントとされている。
いじめ等の自殺行為は、重度に発展したうつ病による可能性もある。
うつ気分が、イライラする、怒りっぽくなる、落ち着きがなくなるなどの形で表現されることも多い。
●自殺企図者とうつ病の統計
重大な自殺を図った者の75%に精神疾患があり、その46%はうつ病である。
●喫煙との関連
製薬会社のファイザーが2009年6月に10年以上の喫煙歴がある40 - 90歳の男女計600人を対象にインターネットで行った調査によると、ニコチン依存症の人の16.8パーセントにはうつ病やうつ状態の疑いがあり、ニコチン依存症でない人でのその割合は6.3パーセントのため、ニコチン依存症の人ほど、うつ病・うつ状態の可能性が高いと報告している。
また、典型的な抗うつ薬であるイミプラミンについて、喫煙者は効果が半減するとの指摘がなされている。
ただし、喫煙者であって重症のうつ病の間の禁煙は医師との相談が必要である。
ニコチン離脱時にうつ病が再燃しやすい。
厚生労働省によれば、うつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は世界では1〜8%、日本では12カ月有病率が1〜〜%である。
また、生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、川上によれば3〜16%である。
日本では、水野らによれば12ヶ月有病率は3.1パーセント、川上によれば生涯有病率6.7パーセントとされている。
これらの研究結果から、ある時点ではだいたい50人から35人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると考えられている。
●性差
男性より女性のほうが2倍ほどうつ病になりやすいとされている。
閉経や子どもの自立による喪失体験、PMSによるストレス、男性より寿命が長いことによる配偶者との死別などによる部分も少なくはないと思われ、社会生活によるストレスが多い男性にも普通に見られる。
女性の発症率の高さについては、妊娠・出産期・閉経期・月経前(PMS、PMDD、セロトニンの減少)の女性ホルモン、セロトニンの激減がマタニティブルーや産後うつに関与している可能性がある。
産後うつは乳児の育児時の睡眠不足もある。
日本ではうつ病が増加傾向にあるが、女性の高齢化による自然増もある。
●患者数とその推移
日本の患者数の少なさについては、受診率の低さが原因としてあげられる。
日本の患者数の年度ごとの増加傾向には、高齢化やうつ病についての啓発活動による受診率の増加が原因としてあげられる。
うつ病の患者数が20世紀になって増加していることについて、SSRIの導入後6年間で2倍に増えるという経験則があり、製薬会社のキャンペーンが影響している、とした説もある。
「副作用の少ない」抗うつ薬の普及に伴い、うつ病と診断される患者数が増加している側面がある。
●子どものうつ病
子どもでもうつになる場合があり、子どもの大うつ病の時点有病率は児童期で0.1から2.6パーセント、青年期で0.7から4.7パーセントとされている。
いじめ等の自殺行為は、重度に発展したうつ病による可能性もある。
うつ気分が、イライラする、怒りっぽくなる、落ち着きがなくなるなどの形で表現されることも多い。
●自殺企図者とうつ病の統計
重大な自殺を図った者の75%に精神疾患があり、その46%はうつ病である。
●喫煙との関連
製薬会社のファイザーが2009年6月に10年以上の喫煙歴がある40 - 90歳の男女計600人を対象にインターネットで行った調査によると、ニコチン依存症の人の16.8パーセントにはうつ病やうつ状態の疑いがあり、ニコチン依存症でない人でのその割合は6.3パーセントのため、ニコチン依存症の人ほど、うつ病・うつ状態の可能性が高いと報告している。
また、典型的な抗うつ薬であるイミプラミンについて、喫煙者は効果が半減するとの指摘がなされている。
ただし、喫煙者であって重症のうつ病の間の禁煙は医師との相談が必要である。
ニコチン離脱時にうつ病が再燃しやすい。
うつ病の原因(2)
■■■■■ うつ病の原因(2) ■■■■■
●脳の海馬領域における神経損傷仮説
うつ病の神経損傷仮説:
近年MRIなどの画像診断の進歩に伴い、うつ病において、脳の海馬領域での神経損傷があるのではないかという仮説が唱えられている。
そして、このような海馬の神経損傷には、遺伝子レベルでの基礎が存在するとも言われている。
心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となるという仮説:
また、海馬の神経損傷は幼少期の心的外傷体験を持つ症例に認められるとの研究結果から、神経損傷が幼少期の体験によってもたらされ、それがうつ病発病の基礎となっているとの仮説もある。
コルチゾール(cortisol) は副腎皮質ホルモンであり、ストレスによっても発散される。
分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。
また、このコルチゾールは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の脳のMRIなどを例として観察されている。
心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。
【心理学的仮説】
●病前性格論
心理学的仮説としては、フーベルトゥス・テレンバッハの唱えたメランコリー親和型性格が有名である。
これは、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに仕事の範囲が広がると、責任感から無理を重ね、うつ病を発症するという仮説である。
しかし、このような生活上の悩みがうつの原因になるとしても、すべての症例がこの仮説によって説明できるわけではない。
例えば、家族の一員の死により深刻なうつ症状に陥る人もいれば、短期間で乗り越える人もいる。
一方で、特段の理由もなく深刻なうつを発症するケースもある。
うつ病患者にメランコリー親和型性格者が有意に多いという統計学的エビデンスは数多く報告されているが、それらの値は現代に近づくにつれて減少傾向を示しており、現在ではうつ病患者に特徴的な性格傾向はほとんど見られなくなっている。
うつ病にかかりやすい病前性格として、日本では主にメランコリー親和型性格、執着性格、循環性格などが提唱されてきた。
しかし、近年ではうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、これらの性格に該当しないディスチミア親和型と呼ばれる一群の患者が増加しているとされる。
ディスチミア親和型はパーソナリティ障害ないし、パーソナリティ障害傾向を持つ人々が多く、自己愛的・回避的な問題を抱えるケースが報告されている。
なお、現代ではDSMの普及によって大うつ病性障害にはあらゆる抑うつ症状が混合してしまっており、病前性格の評価そのものが困難になってきている。
成因を問わない操作診断によって生じた混乱に対し、ハゴップ・アキスカルやジャーマン・ベリオスをはじめとした英米圏の学者達は連名でうつ病概念を整理する必要性を説いており、大うつ病性障害からメランコリアを切り離すことについて提言を行っている。
【その他うつ病の発症・経過に影響する因子】
●薬物・アルコールとの関連
DSM-IVでは、その原因が「物質の直接的な精神的作用」に起因すると判断される場合は、気分障害の診断を下すことはできないとしている。
大うつ病に似た症状が物質乱用や薬物有害反応によって起こされていると判断される場合、それは"substance-induced mood disturbance"と定義される。
アルコール依存症または過度のアルコール消費は、大幅に大うつ病の発症リスクを増加させる。
また、逆にうつ病が原因となってアルコール依存症になる場合もある。
ベンゾジアゼピンは不安障害や不眠症の人が服用する薬である。
アルコールと同様に、ベンゾジアゼピンはうつ病発症リスクを増加させる。
この種類の薬は不眠・不安・筋肉痙攣に広く使用されている。
このリスク増加はセロトニンとノルエピネフリンの減少など、薬物の神経化学への効果が一因である可能性がある。
ベンゾジアゼピン系の慢性使用も抑うつを悪化させ、うつ症状は長期離脱症候群の1つである可能性がある。
厚生労働科学研究によれば、実際には睡眠導入剤、抗不安薬としてベンゾジアゼピン系などが多く処方されているが、長期の安全性については疑問符があるため、適正使用ガイドライン等が検討課題であると述べられている。
●社会的要因
貧困と社会的孤立は、一般的に精神衛生上の問題のリスク増加と関連している。
児童虐待(物理的、感情的、性的、またはネグレクト)も、後年になってうつ病を発症するリスクの増加に関連付けられている。
成人では、ストレスの多い生活上の出来事が強く大うつ病エピソードの発症に関連付けられている。
生活上のストレスがうつ病につながる可能性が増加したり、社会的支援の欠如がうつ病につながる可能性がある。
後述する認知行動療法は、考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていくものである。
ライフイベントの影響(閉経、財政難、仕事の問題、人間関係のトラブル、近親者との死別による分離等
●脳の海馬領域における神経損傷仮説
うつ病の神経損傷仮説:
近年MRIなどの画像診断の進歩に伴い、うつ病において、脳の海馬領域での神経損傷があるのではないかという仮説が唱えられている。
そして、このような海馬の神経損傷には、遺伝子レベルでの基礎が存在するとも言われている。
心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となるという仮説:
また、海馬の神経損傷は幼少期の心的外傷体験を持つ症例に認められるとの研究結果から、神経損傷が幼少期の体験によってもたらされ、それがうつ病発病の基礎となっているとの仮説もある。
コルチゾール(cortisol) は副腎皮質ホルモンであり、ストレスによっても発散される。
分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。
また、このコルチゾールは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の脳のMRIなどを例として観察されている。
心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。
【心理学的仮説】
●病前性格論
心理学的仮説としては、フーベルトゥス・テレンバッハの唱えたメランコリー親和型性格が有名である。
これは、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに仕事の範囲が広がると、責任感から無理を重ね、うつ病を発症するという仮説である。
しかし、このような生活上の悩みがうつの原因になるとしても、すべての症例がこの仮説によって説明できるわけではない。
例えば、家族の一員の死により深刻なうつ症状に陥る人もいれば、短期間で乗り越える人もいる。
一方で、特段の理由もなく深刻なうつを発症するケースもある。
うつ病患者にメランコリー親和型性格者が有意に多いという統計学的エビデンスは数多く報告されているが、それらの値は現代に近づくにつれて減少傾向を示しており、現在ではうつ病患者に特徴的な性格傾向はほとんど見られなくなっている。
うつ病にかかりやすい病前性格として、日本では主にメランコリー親和型性格、執着性格、循環性格などが提唱されてきた。
しかし、近年ではうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、これらの性格に該当しないディスチミア親和型と呼ばれる一群の患者が増加しているとされる。
ディスチミア親和型はパーソナリティ障害ないし、パーソナリティ障害傾向を持つ人々が多く、自己愛的・回避的な問題を抱えるケースが報告されている。
なお、現代ではDSMの普及によって大うつ病性障害にはあらゆる抑うつ症状が混合してしまっており、病前性格の評価そのものが困難になってきている。
成因を問わない操作診断によって生じた混乱に対し、ハゴップ・アキスカルやジャーマン・ベリオスをはじめとした英米圏の学者達は連名でうつ病概念を整理する必要性を説いており、大うつ病性障害からメランコリアを切り離すことについて提言を行っている。
【その他うつ病の発症・経過に影響する因子】
●薬物・アルコールとの関連
DSM-IVでは、その原因が「物質の直接的な精神的作用」に起因すると判断される場合は、気分障害の診断を下すことはできないとしている。
大うつ病に似た症状が物質乱用や薬物有害反応によって起こされていると判断される場合、それは"substance-induced mood disturbance"と定義される。
アルコール依存症または過度のアルコール消費は、大幅に大うつ病の発症リスクを増加させる。
また、逆にうつ病が原因となってアルコール依存症になる場合もある。
ベンゾジアゼピンは不安障害や不眠症の人が服用する薬である。
アルコールと同様に、ベンゾジアゼピンはうつ病発症リスクを増加させる。
この種類の薬は不眠・不安・筋肉痙攣に広く使用されている。
このリスク増加はセロトニンとノルエピネフリンの減少など、薬物の神経化学への効果が一因である可能性がある。
ベンゾジアゼピン系の慢性使用も抑うつを悪化させ、うつ症状は長期離脱症候群の1つである可能性がある。
厚生労働科学研究によれば、実際には睡眠導入剤、抗不安薬としてベンゾジアゼピン系などが多く処方されているが、長期の安全性については疑問符があるため、適正使用ガイドライン等が検討課題であると述べられている。
●社会的要因
貧困と社会的孤立は、一般的に精神衛生上の問題のリスク増加と関連している。
児童虐待(物理的、感情的、性的、またはネグレクト)も、後年になってうつ病を発症するリスクの増加に関連付けられている。
成人では、ストレスの多い生活上の出来事が強く大うつ病エピソードの発症に関連付けられている。
生活上のストレスがうつ病につながる可能性が増加したり、社会的支援の欠如がうつ病につながる可能性がある。
後述する認知行動療法は、考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていくものである。
ライフイベントの影響(閉経、財政難、仕事の問題、人間関係のトラブル、近親者との死別による分離等
2014年05月20日
うつ病の分類(2)
●うつ病の分類(2)
■DSM-IV-TRにおけるうつ病(大うつ病性障害)のサブタイプ
メランコリー型うつ病 (en:Melancholic depression)
非定型うつ病 (en:Atypical depression)
緊張性うつ病 (en:Catatonia)
産後うつ病 (en:Postpartum depression)(DSM-5では出産前後のうつ病)
季節性情動障害 (en:Seasonal affective disorder)
■DSM-5で追加されたうつ病(大うつ病性障害)のサブタイプ
破壊的気分調節不全障害(児童の持続的・反復的な不機嫌)Disruptive Mood Dysregulation Disorder
月経前不快障害(月経前の気分不安定)(en:Premenstrual Dysphoric Disorder)
●非定型うつ病
通常のうつ病(メランコリー型うつ)は気分が落ち込む状態が長期にわたって持続して気分が明るくならないが、好きなことをしているときなどには気分が明るくなるようなタイプのうつ病は非定型うつといわれ、うつ病の半分程度は非定型とされる。
ただし、非定型うつ病は双極性障害の初期症状と区別しにくいため、とりわけ親族に双極性障害患者がいる場合は、その可能性を考慮する必要がある。
DSM-IV-TR/DSM-5の「非定型」の基準
上記の定義に加えて下記が2つ以上あり、メランコリー型または緊張病性の特徴を満たさない。
1.顕著な体重増加または過食
2.過眠
3.手足や体が鉛の様に重くなる事がある
4.対人関係に過敏
女性に2〜3倍多い。
高齢者はメランコリー型うつが多く、若年者は非定型うつが多い。
●新型うつ病(現代型うつ病)
従前からの典型的なうつ病とは異なる特徴を持つものの総称で、現代型うつ病とも呼ばれる。
従来のメランコリー親和型の性格標識を持たない患者を指すことが多い。
大うつ病性障害の診断基準を満たし、日本のマスメディアなどで上記の非定型うつ病とほぼ同義に扱われているが、専門用語ではなく、精神医学的に厳密な定義はない。
●うつ病概念の拡大
新しいタイプのうつ病を理解するには、日本における精神医学の発展の歴史を知る必要がある。
戦前から日本はドイツ精神医学の影響を受けており、うつ病=内因性うつ病(メランコリー親和型うつ病)と捉えられてきた。
しかし戦後アメリカ精神医学が主流となり、各国と同様に日本においても操作的診断学が導入されるようになると、あらゆる抑うつ症状が全て「大うつ病性障害」に包含されることとなった。
従来の伝統的診断学においては、病前性格論・生活史診断などを組み合わせてうつ病の鑑別診断が行われており、カルテには薬物が奏効する「内因性うつ病」、心理学的問題の解決が求められる「神経症性うつ病」、「境界性パーソナリティ障害に伴う抑うつ症状」などと記されていた。
しかし操作的診断基準とともにうつ病圏が拡大されると、成因が問われず様々な精神疾患の抑うつ症状が「大うつ病性障害」へと混入して診断されることとなった。
その結果成因が問われないままにうつ病と診断がなされ治療されてきたのが、近年増加した新しいタイプのうつ病である。
症候学的には大うつ病性障害の診断基準を満たすため、確かに「うつ病」ではあるが、必ずしも伝統的診断における「うつ病(内因性うつ病)」とは限らないため、抗うつ薬による薬物療法の効果は限局的である。
パーソナリティ障害の合併例には薬物療法と精神療法の併用が勧められており、気分安定薬やSSRI、少量の抗精神病薬が症状の軽減に有効であることが報告されている。
●従来とは対極にある性格標識
これまで従来のメランコリー親和型の性格標識を持たないうつ病患者が数多く報告されてきた。
笠原の退却神経症[、阿倍の未熟型うつ病、広瀬の逃避型抑うつ、松浪の現代型うつ病などである。
これらは提唱者によって少しずつ特徴の捉え方が異なるが、新しいタイプのうつ病の一部である。
樽味はメランコリー親和型と対比させたディスチミア親和型として定義し、市橋は内因性うつ病ではないが、症候学的には大うつ病性障害の操作的診断基準を満たすことから、非うつ病性うつ病と定義した。
樋口はその構造から、境界性うつ病および自己愛性うつ病と定義した。
この種の新しいタイプのうつ病に共通してみられる心性は、役割意識に乏しく、他責的・他罰的で、薬物が奏効せず、遷延化するという点である。
それらの多くはパーソナリティ障害(パーソナリティ障害の傾向を持つ者)と考えられており、多分に自己愛的、回避的心性を読み取ることができる。
なお、諸外国においても同様に成因を問わない操作診断によるうつ病概念の混乱が生じており、Akiskal、Berrios、Donald Klein、Healy ら英米圏を代表する学者13名は連名で、DSMを発行しているアメリカ精神医学会の学会誌である『The American Journal of Psychiatry』において、大うつ病性障害からメランコリアを切り離し、1つの臨床単位として独立させる必要性を提言している。
■■■■■ 原因 ■■■■■
うつ病の発病メカニズムは未だ不明である。
うつ病の原因は単一のメカニズムで説明されるとは限らず、複数の病態からなる症候群である可能性もある。
現在までに、うつ病の発病メカニズムを説明するために、複数の、生物学的あるいは心理学的な仮説が提唱されている。
●生物学的仮説
生物学的仮説としては、薬物の有効性から考え出されたモノアミン仮説、死後脳の解剖結果に基づく仮説、低コレステロールがうつおよび自殺のリスクを高めるとの調査結果、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあり、2013年現在も活発に研究が行われている。
モノアミン仮説のうち、近年はSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した薬物の売り上げ増加に伴い、セロトニン仮説がよく語られる。
また、海馬の神経損傷も論じられている。
しかしながら、臨床的治療場面を大きく変えるほどの影響力のある生物学的な基礎研究はなく、決定的な結論は得られていない。
臨床現場では抗うつ薬を投与することでセロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを促す治療が行われているが、あくまで対症療法的なものであり、成因の解明は新たな治療薬の開発に役立つことが期待されている。
●モノアミン仮説
1956年、抗結核薬であるイプロニアジド、統合失調症薬として開発中であったイミプラミンが、KlineやKuhnにより抗うつ作用も有することが発見された。
発見当初は作用機序は明らかにされておらず、他の治療に使われる薬物の薬効が偶然発見されたものであった。
その後イプロニアジドからモノアミン酸化酵素(MAO)阻害作用、イミプラミンにノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害作用があることが発見された。
その後これらの薬物に類似の作用機序を持つ薬物が多く開発され、抗うつ作用を有することが臨床試験の結果明らかなった。
よってモノアミン仮説とは、大うつ病性障害などのうつ状態は、モノアミン類、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の低下によって起こるとした仮説である。
しかし脳内の病態が明らかにされていない以上、逆の病態が大うつ病性障害の根本原因と結論付けることは出来ず、あくまで仮説にとどまっている。
さらにこの仮説に対する反論としては、シナプス間隙のノルアドレナリンやセロトニンの低下がうつ病の原因であるとすれば、抗うつ薬は即効性があってしかるべきである。
うつの改善には最低2週間要することを考えると、この意見は一理あると言える。
■DSM-IV-TRにおけるうつ病(大うつ病性障害)のサブタイプ
メランコリー型うつ病 (en:Melancholic depression)
非定型うつ病 (en:Atypical depression)
緊張性うつ病 (en:Catatonia)
産後うつ病 (en:Postpartum depression)(DSM-5では出産前後のうつ病)
季節性情動障害 (en:Seasonal affective disorder)
■DSM-5で追加されたうつ病(大うつ病性障害)のサブタイプ
破壊的気分調節不全障害(児童の持続的・反復的な不機嫌)Disruptive Mood Dysregulation Disorder
月経前不快障害(月経前の気分不安定)(en:Premenstrual Dysphoric Disorder)
●非定型うつ病
通常のうつ病(メランコリー型うつ)は気分が落ち込む状態が長期にわたって持続して気分が明るくならないが、好きなことをしているときなどには気分が明るくなるようなタイプのうつ病は非定型うつといわれ、うつ病の半分程度は非定型とされる。
ただし、非定型うつ病は双極性障害の初期症状と区別しにくいため、とりわけ親族に双極性障害患者がいる場合は、その可能性を考慮する必要がある。
DSM-IV-TR/DSM-5の「非定型」の基準
上記の定義に加えて下記が2つ以上あり、メランコリー型または緊張病性の特徴を満たさない。
1.顕著な体重増加または過食
2.過眠
3.手足や体が鉛の様に重くなる事がある
4.対人関係に過敏
女性に2〜3倍多い。
高齢者はメランコリー型うつが多く、若年者は非定型うつが多い。
●新型うつ病(現代型うつ病)
従前からの典型的なうつ病とは異なる特徴を持つものの総称で、現代型うつ病とも呼ばれる。
従来のメランコリー親和型の性格標識を持たない患者を指すことが多い。
大うつ病性障害の診断基準を満たし、日本のマスメディアなどで上記の非定型うつ病とほぼ同義に扱われているが、専門用語ではなく、精神医学的に厳密な定義はない。
●うつ病概念の拡大
新しいタイプのうつ病を理解するには、日本における精神医学の発展の歴史を知る必要がある。
戦前から日本はドイツ精神医学の影響を受けており、うつ病=内因性うつ病(メランコリー親和型うつ病)と捉えられてきた。
しかし戦後アメリカ精神医学が主流となり、各国と同様に日本においても操作的診断学が導入されるようになると、あらゆる抑うつ症状が全て「大うつ病性障害」に包含されることとなった。
従来の伝統的診断学においては、病前性格論・生活史診断などを組み合わせてうつ病の鑑別診断が行われており、カルテには薬物が奏効する「内因性うつ病」、心理学的問題の解決が求められる「神経症性うつ病」、「境界性パーソナリティ障害に伴う抑うつ症状」などと記されていた。
しかし操作的診断基準とともにうつ病圏が拡大されると、成因が問われず様々な精神疾患の抑うつ症状が「大うつ病性障害」へと混入して診断されることとなった。
その結果成因が問われないままにうつ病と診断がなされ治療されてきたのが、近年増加した新しいタイプのうつ病である。
症候学的には大うつ病性障害の診断基準を満たすため、確かに「うつ病」ではあるが、必ずしも伝統的診断における「うつ病(内因性うつ病)」とは限らないため、抗うつ薬による薬物療法の効果は限局的である。
パーソナリティ障害の合併例には薬物療法と精神療法の併用が勧められており、気分安定薬やSSRI、少量の抗精神病薬が症状の軽減に有効であることが報告されている。
●従来とは対極にある性格標識
これまで従来のメランコリー親和型の性格標識を持たないうつ病患者が数多く報告されてきた。
笠原の退却神経症[、阿倍の未熟型うつ病、広瀬の逃避型抑うつ、松浪の現代型うつ病などである。
これらは提唱者によって少しずつ特徴の捉え方が異なるが、新しいタイプのうつ病の一部である。
樽味はメランコリー親和型と対比させたディスチミア親和型として定義し、市橋は内因性うつ病ではないが、症候学的には大うつ病性障害の操作的診断基準を満たすことから、非うつ病性うつ病と定義した。
樋口はその構造から、境界性うつ病および自己愛性うつ病と定義した。
この種の新しいタイプのうつ病に共通してみられる心性は、役割意識に乏しく、他責的・他罰的で、薬物が奏効せず、遷延化するという点である。
それらの多くはパーソナリティ障害(パーソナリティ障害の傾向を持つ者)と考えられており、多分に自己愛的、回避的心性を読み取ることができる。
なお、諸外国においても同様に成因を問わない操作診断によるうつ病概念の混乱が生じており、Akiskal、Berrios、Donald Klein、Healy ら英米圏を代表する学者13名は連名で、DSMを発行しているアメリカ精神医学会の学会誌である『The American Journal of Psychiatry』において、大うつ病性障害からメランコリアを切り離し、1つの臨床単位として独立させる必要性を提言している。
■■■■■ 原因 ■■■■■
うつ病の発病メカニズムは未だ不明である。
うつ病の原因は単一のメカニズムで説明されるとは限らず、複数の病態からなる症候群である可能性もある。
現在までに、うつ病の発病メカニズムを説明するために、複数の、生物学的あるいは心理学的な仮説が提唱されている。
●生物学的仮説
生物学的仮説としては、薬物の有効性から考え出されたモノアミン仮説、死後脳の解剖結果に基づく仮説、低コレステロールがうつおよび自殺のリスクを高めるとの調査結果、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあり、2013年現在も活発に研究が行われている。
モノアミン仮説のうち、近年はSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した薬物の売り上げ増加に伴い、セロトニン仮説がよく語られる。
また、海馬の神経損傷も論じられている。
しかしながら、臨床的治療場面を大きく変えるほどの影響力のある生物学的な基礎研究はなく、決定的な結論は得られていない。
臨床現場では抗うつ薬を投与することでセロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを促す治療が行われているが、あくまで対症療法的なものであり、成因の解明は新たな治療薬の開発に役立つことが期待されている。
●モノアミン仮説
1956年、抗結核薬であるイプロニアジド、統合失調症薬として開発中であったイミプラミンが、KlineやKuhnにより抗うつ作用も有することが発見された。
発見当初は作用機序は明らかにされておらず、他の治療に使われる薬物の薬効が偶然発見されたものであった。
その後イプロニアジドからモノアミン酸化酵素(MAO)阻害作用、イミプラミンにノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害作用があることが発見された。
その後これらの薬物に類似の作用機序を持つ薬物が多く開発され、抗うつ作用を有することが臨床試験の結果明らかなった。
よってモノアミン仮説とは、大うつ病性障害などのうつ状態は、モノアミン類、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の低下によって起こるとした仮説である。
しかし脳内の病態が明らかにされていない以上、逆の病態が大うつ病性障害の根本原因と結論付けることは出来ず、あくまで仮説にとどまっている。
さらにこの仮説に対する反論としては、シナプス間隙のノルアドレナリンやセロトニンの低下がうつ病の原因であるとすれば、抗うつ薬は即効性があってしかるべきである。
うつの改善には最低2週間要することを考えると、この意見は一理あると言える。
うつ病を治す方法、鬱病を治す方法
そもそもうつ病とは?
うつ病(うつびょう、鬱病、欝病)とは、精神障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患である。
双極性障害(躁うつ病)と区別するために「単極性うつ病」と呼ばれることもある
●うつ病の定義
うつ病は他の精神疾患と同様、原因は特定されていないため、原因によってうつ病を分類したり定義したりすることは現時点では困難である。
「うつ病」に相当する英語は“depression”であるが、“depression”は疾病全体を指すこともあれば抑うつ気分などの症状、さらには一時的な落ち込みなどを指すこともあり、日本語の「うつ病」と完全に同一ではない。
以前は内因が関与している内因性うつ病と心因が強く関与している心因性うつ病(神経症性うつ病)とに分けて論じられることが一般的であった。
しかし上述のように原因による分類・定義が困難なため、1980年にアメリカ精神医学会が「精神障害の分類と統計の手引第3版(DSM-III)」を発表してからは、これら操作的診断基準によって分類することが一般的となった(#分類の項も参照)。
「うつ病」という用語は、狭い意味では「精神障害の診断と統計の手引き第4版(DSM-IV)」における、大うつ病性障害(英語:major depressive disorder)に相当するものを指しているが、広い意味でのうつ病は、一般的には抑うつ症状が前景にたっている精神医学的障害を含める。
そのなかには気分変調性障害をはじめとする様々なカテゴリーが含まれている。
操作的診断による「大うつ病性障害」などの概念と、従来診断による「内因性うつ病」などは同じ「うつ病」であっても異なる概念であるが、このことが専門家の間でさえもあまり意識されずに使用されている場合があり、時にはそれを混交して使用しているものも多い。
そのため一般社会でも、精神医学会においても、うつ病に対する大きな混乱が生まれており、注意が必要である。
この記事では、主には(DSM-IVおよびそのテキスト改訂版であるDSM-IV-TRに基づく)「大うつ病性障害」について記述しているが、記事内でも様々な定義による「うつ病」の概念が使用されている。
●「うつ状態」と「うつ病」
うつ状態、抑うつ症状を呈するからといって、うつ病であるとは限らない。
抑うつ状態は、精神医療において最も頻繁に見られる状態像であり、診療においては「熱が38度ある」程度の情報でしかない。
状態像と診断名は1対1対応するものではなく、抑うつ状態は、うつ病以外にも様々な原因によって引き起こされる(#鑑別疾患参照)。
また、うつ状態のうち、大うつ病エピソードとして扱われるのは、DSM-IVの診断基準に従って、「薬物依存以外、身体疾患以外、死別反応以外のもので、2週間以上にわたり毎日続き、生活の機能障害を呈している。」というある程度の重症度を呈するものである。
DSM-5では「死別反応」もうつ病に該当する様になった。
●うつ病の病態
うつ病は、単一の疾患ではなく症候群であり、さまざまな病因による亜型を含むと考えられる。
いわゆる「典型的」なうつ病(内因性うつ病)の場合、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていると推測されている(#モノアミン仮説)。
性格や考え方の問題ではないと考えられている。
この場合、通常は抗うつ薬がよく効き、治療しなくても時間が解決する場合もあると言われている。
一方、心理的要因が多いと思われるうつ病では、原因となった葛藤の解決や、葛藤状況から離れることなどの原因に対する対応が必要である。
●うつ病分類
うつ病などのうつ症状を呈する精神疾患の分類方法は多様である。
【操作的診断基準(DSM-IV, ICD-10など)による分類】
1980年にアメリカ精神医学会が「精神障害の分類と統計の手引第3版(DSM-III)」を発表し、「うつ病性障害」を、ある程度症状の重い「大うつ病」と、軽いうつ状態が続く「気分変調症」に二分した。
原因による分類・定義が現時点では困難であるため、1994年に発表された「精神障害の診断と統計の手引き第4版(DSM-IV)」「疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第10版(ICD-10) 第5章 精神および行動の障害」でも、基本的にはDSM-IIIのうつ病性障害の診断分類の構成が継承されている。
【古典的分類】
古典的分類(従来診断)では、疾患の成因についての判断が優先され、「心理的誘因が明確でない内因性うつ病」と、「心理的誘因が特定できる心因性うつ病」の二分法が中心となっている(狭義には前者が“うつ病”とされ、心因性のものは「適応障害」などに分類されることも多い)。
操作的診断基準は、診断一致率の高さなどのため研究や統計に有用と考えられ、うつ病に関するほとんどの研究・統計にはDSM-IVやICD-10が使用されている。
一方、臨床場面では心理的誘因の評価が治療において重要であり、従来の枠組みによる考え方が有用な場合もある。
例えば、“心因性のうつ”では、原因から遠ざかれば一晩で元気になる可能性もあり、治療や環境変化などへのレスポンスが大きく異なっている。
【重症度による分類】
DSM-IVにおいては、大うつ病性障害の診断を満たすものについて、さらに、「軽度」(いくつかの愁訴が最低限の基準に該当する)、「中等度」、「重度」(社会的や職業的能力を妨げている)に分類される。
「精神病性の特徴(妄想・幻覚など)を伴うもの」(一般に「精神病性うつ病」とも呼ばれる)は「重度」にランクされる。
症状が改善して診断基準を満たさなくなったものの、一部の症状が残存しているものを「部分寛解」という。
【病相の回数による分類】
うつ病相が1回のみの単一エピソードうつ病に対して、うつ病を繰り返すものを反復性うつ病という。
【治療反応性による分類】
DSM-IVなどには定義されておらず、基準は曖昧であるが、研究などでは「少なくとも2つ以上の抗うつ薬を十分な量・長期にわたり投与しても症状が改善しないケース」を治療抵抗性うつ病(英語版)あるいは難治性うつ病ということが多い。
【病前性格による分類】
心理学的成因仮説の代表は、病前性格論である。
かつてうつ病にかかりやすい患者の病前性格としてメランコリー親和型性格者が多い事が統計的に確認されていたが、現代ではうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、うつ病に特異的な病前性格は見いだせなくなっている。
メランコリー親和型性格は1961年にテレンバッハが提唱したもので、秩序を愛する、几帳面、律儀、生真面目、融通が利かないなどの特徴を持つ。
内因性うつ病はこの対応を指す。
主として反復性のないうつ病を呈するとされる。
循環性格はエルンスト・クレッチマーが提唱したもので、社交的で親切、温厚だが、その反面優柔不断であるため、決断力が弱く、板挟み状態になりやすいという特徴を持つ。
躁うつ病の病前性格の一つであるとされる。
執着性格は1941年に下田光造が提唱したもので、仕事熱心、几帳面、責任感が強いなどの特徴を持つ。
反復性うつ病ないし躁うつ病の病前性格の1つであるとされる。
ディスチミア親和型は2005年に樽味伸が提唱したもので、メランコリー親和型と比してより若年層に見られる。
社会的役割への同一化よりも、自己自身への愛着が優先する。
また成熟した役割意識から生まれる自責的感覚を持ちにくい。
ストレスに対しては他責的・他罰的に対処し、抱えきれない課題に対し、時には自傷や大量服薬を行う。
幼い頃から競争原理が働いた社会で成長した世代が多く、現実で思い通りにならない事態に直面した際に個の尊厳は破れ、自己愛は先鋭化する。回避的な傾向が目立つ。
| ディスチミア親和型 | メランコリー親和型 | |
| 年齢層 | 青年層 | 中高年層 |
| 関連する気質 | スチューデント・アパシー 退却傾向と無気力 | 執着気質 メランコリー性格 |
| 病前性格 | 「自己自身(役割ぬき)への愛着 規範に対して『ストレス』であると抵抗する 秩序への否定的感情と万能感 もともと仕事熱心ではない | 社会的役割・規範への愛着 規範に対して好意的で同一化 秩序を愛し、配慮的で几帳面 基本的に仕事熱心 |
| 症候学的特徴 | 不全感と倦怠 回避と他罰的感情(他者への非難) 衝動的な自傷、一方で「軽やかな」自殺企図 | 焦燥と抑制 疲弊と罪業感(申し訳なさの表明) 完遂しかねない「熟慮した」自殺企図 |
| 薬物への反応 | 多くは部分的効果に留まる(病み終えない) | 多くは良好(病み終える) |
| 認知と行動特性 | どこまでが「生き方」でどこからが「症状経過」か不分明 | 疾病による行動変化が明らか |
| 予後と環境変化 | 休養と服薬のみではしばしば慢性化する 置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある | 休養と服薬で全般に軽快しやすい 場・環境の変化は両価的である(時に自責的となる) |

